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R+Wは、風力エネルギー実験施設で使用するXXLサイズの安全クラッチを開発しました。現在ギネス記録に申請中です。


安全クラッチは回転機器が途切れること無く稼働し続けるのに重要な部品です。安全クラッチは、繊細な機械部品をコストのかかる修理はもちろん、長時間の設備停止につながるトルク過負荷による機械部品の損傷から守ります。損傷が発生した際、動力はミリ秒以内に遮断されます。したがって、安全クラッチを選定し使用する場合には、もちろん安全第一ですが、専門知識と精度が必要です。

R+Wでは、カップリングの特殊対応が日常業務の一部となっています。ドイツを拠点とするこの会社は、開発部門の経験値と専門知識により、経済界や科学界からはいつも詳細かつ過酷な条件の問い合わせを受けています。これには、国際宇宙ステーション(ISS)用の安全クラッチや、世界最大の機械で最も強力な粒子加速器である大型ハドロン衝突型加速器(LHC)用の分離アダプタタイプの金属ベローズ形カップリングなど、有名なプロジェクトも含まれます。

 

過酷な条件が創造性を生み出す

2017年夏には、21.5トンにもおよぶ世界最大の安全クラッチ、MSTF-20,000の取り付けも終わり、重要なプロジェクトが無事完了しました。このプロジェクトの条件は、全てが過酷でした。この注文は、デンマークの新しい風力エネルギー実験施設で、2つの6メガワットモータ用の伝達シャフトを製造していたスペインのカップリングメーカーからでした。トルク過負荷からの保護が必要で、手動で再連結が可能な安全クラッチを追加するには、これを専門とするパートナーの助けがどうしても必要でした。この特別な要求を満たすことができる唯一のメーカーがR+Wであり、20167月に開発を始めました。

「当社の設計仕様は、風力タービンによる膨大な負荷サイクル、それに応じて克服しなければならなかった何kNmもの範囲、スペイン仕様の構造のすべてに対応させました。」とR+Wの技術部部長Rainer Benzは説明します。これは実際には、安全クラッチが15,00020,000kNmの遮断トルクに対応するように設計されていることを意味します。一般的な安全クラッチでは、最大2,800Nmの切り離しトルクですので、通常の7,000倍に相当します。安全クラッチの条件は、外径4m、内径はわずか70cm、全長は47cmでした。「MSTF-20,000は、他の重工業分野安全クラッチと同じ原理で設計されていますが、寸法が標準とは少しだけ違います。」とRainer Benzは続けて説明しました。

 

設計に費やした7ケ月

7か月にわたる集中的な設計作業を開始してから、R+W開発チームはまず3Dモデルを作成しこの特殊な課題に取り組みました。実際のカップリングは、このバーチャルな試作品に基づいて製作されました。エンジニアはまた、未知の物理的パラメータを研究するために有限要素法を使用しました。従来の使用法や標準的なサイズでは通常発生しないカップリングの弱点を見つけることに注力しました。「風力エネルギー実験施設では、極端な荷重による変形や亀裂の危険性を極めて慎重に確認しています。長期間カップリングが安全に機能するには、この作業が非常に重要です。」とRainer Benzは付け加えました。設計担当者は、摩耗による故障を防ぐために、このカップリング特有のポイントを強化しました。

 

巨大なジグソーパズルに取り組んだ3週間

その後、カップリングの11つの部品はすべて特殊な生産工程で鍛造されました。部品を組み立てるために念入りに計画された次の工程では、ドリル穴のわずかな位置ずれも許されないため、絶対的な精度が要求されました。大きな安全クラッチと、それを取り扱うクレーンを使用するため特に高い天井が必要だったことから、プロジェクトチームはバイエルン州メムブリスから50km離れた同州アシャッフェンブルクに、巨大な安全クラッチ組み立て専用倉庫を借りました。3人のエンジニアが3週間かけ、この巨大なジグソーパズルを完成させました。大きさの都合上あちこちの面から部品を組み立てることは不可能で、11つの部品を片方の面からのみ取り付けるしかありませんでした。「私たちは開き直り、ピザを積み重ねるというアイデアを採用しました。実際に作業を始めると、部品を1つずつ基盤に配置することは、理想的な手順でした。」とRainer Benzは当時を振り返ります。チームはまた、タイムラプス動画でこのワクワクする工程を記録しました。

MSTF-20,000は組付けの最終工程のためにスペインのアンダルシアに輸送することになっていましたが、今度は物流上の問題がやってきました。3.5トンの大型輸送の骨組みにより、21.5トンの安全クラッチはさらに重量を増しました。出荷準備は整ったものの、低床貨物車には1,500kmの走行に必要な幅がありませんでした。フランスでは高速道路でこのような大型輸送を行うことは認められていないため、目的地に到着するまでには3日間かかりました。徹底的な機能試験の後、現時点で世界最大の安全クラッチで保護されているこの製品は、風力エネルギー試験施設に設置するためデンマークに輸送されました。

 

まだまだあります。安全クラッチのパイロットプロジェクト

「この難しいプロジェクトが成功裏に終わり、喜びもひとしおでした。このように極めて厳しい要求に対応できるのは、プロセスを深く理解し、さまざまな視点から物事を考えることができる企業だけです。」とRainer Benzは締めくくりました。世界最大安全クラッチとしてギネスブックへ出願中で、登録されることになれば、喜びにいっそう花を添えることになります。成果として、数百万Nm級のプロジェクトは他にもすでに始まっており、開発チームの太鼓判が押されています。もちろん根本的な部分は同じですので、それぞれのプロジェクトの条件に合った製品がご用意できるでしょう。

 

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