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MST|記事一覧

 


R+Wは、風力エネルギー実験施設で使用するXXLサイズの安全クラッチを開発しました。現在ギネス記録に申請中です。


安全クラッチは回転機器が途切れること無く稼働し続けるのに重要な部品です。安全クラッチは、繊細な機械部品をコストのかかる修理はもちろん、長時間の設備停止につながるトルク過負荷による機械部品の損傷から守ります。損傷が発生した際、動力はミリ秒以内に遮断されます。したがって、安全クラッチを選定し使用する場合には、もちろん安全第一ですが、専門知識と精度が必要です。

R+Wでは、カップリングの特殊対応が日常業務の一部となっています。ドイツを拠点とするこの会社は、開発部門の経験値と専門知識により、経済界や科学界からはいつも詳細かつ過酷な条件の問い合わせを受けています。これには、国際宇宙ステーション(ISS)用の安全クラッチや、世界最大の機械で最も強力な粒子加速器である大型ハドロン衝突型加速器(LHC)用の分離アダプタタイプの金属ベローズ形カップリングなど、有名なプロジェクトも含まれます。

 

過酷な条件が創造性を生み出す

2017年夏には、21.5トンにもおよぶ世界最大の安全クラッチ、MSTF-20,000の取り付けも終わり、重要なプロジェクトが無事完了しました。このプロジェクトの条件は、全てが過酷でした。この注文は、デンマークの新しい風力エネルギー実験施設で、2つの6メガワットモータ用の伝達シャフトを製造していたスペインのカップリングメーカーからでした。トルク過負荷からの保護が必要で、手動で再連結が可能な安全クラッチを追加するには、これを専門とするパートナーの助けがどうしても必要でした。この特別な要求を満たすことができる唯一のメーカーがR+Wであり、20167月に開発を始めました。

「当社の設計仕様は、風力タービンによる膨大な負荷サイクル、それに応じて克服しなければならなかった何kNmもの範囲、スペイン仕様の構造のすべてに対応させました。」とR+Wの技術部部長Rainer Benzは説明します。これは実際には、安全クラッチが15,00020,000kNmの遮断トルクに対応するように設計されていることを意味します。一般的な安全クラッチでは、最大2,800Nmの切り離しトルクですので、通常の7,000倍に相当します。安全クラッチの条件は、外径4m、内径はわずか70cm、全長は47cmでした。「MSTF-20,000は、他の重工業分野安全クラッチと同じ原理で設計されていますが、寸法が標準とは少しだけ違います。」とRainer Benzは続けて説明しました。

 

設計に費やした7ケ月

7か月にわたる集中的な設計作業を開始してから、R+W開発チームはまず3Dモデルを作成しこの特殊な課題に取り組みました。実際のカップリングは、このバーチャルな試作品に基づいて製作されました。エンジニアはまた、未知の物理的パラメータを研究するために有限要素法を使用しました。従来の使用法や標準的なサイズでは通常発生しないカップリングの弱点を見つけることに注力しました。「風力エネルギー実験施設では、極端な荷重による変形や亀裂の危険性を極めて慎重に確認しています。長期間カップリングが安全に機能するには、この作業が非常に重要です。」とRainer Benzは付け加えました。設計担当者は、摩耗による故障を防ぐために、このカップリング特有のポイントを強化しました。

 

巨大なジグソーパズルに取り組んだ3週間

その後、カップリングの11つの部品はすべて特殊な生産工程で鍛造されました。部品を組み立てるために念入りに計画された次の工程では、ドリル穴のわずかな位置ずれも許されないため、絶対的な精度が要求されました。大きな安全クラッチと、それを取り扱うクレーンを使用するため特に高い天井が必要だったことから、プロジェクトチームはバイエルン州メムブリスから50km離れた同州アシャッフェンブルクに、巨大な安全クラッチ組み立て専用倉庫を借りました。3人のエンジニアが3週間かけ、この巨大なジグソーパズルを完成させました。大きさの都合上あちこちの面から部品を組み立てることは不可能で、11つの部品を片方の面からのみ取り付けるしかありませんでした。「私たちは開き直り、ピザを積み重ねるというアイデアを採用しました。実際に作業を始めると、部品を1つずつ基盤に配置することは、理想的な手順でした。」とRainer Benzは当時を振り返ります。チームはまた、タイムラプス動画でこのワクワクする工程を記録しました。

MSTF-20,000は組付けの最終工程のためにスペインのアンダルシアに輸送することになっていましたが、今度は物流上の問題がやってきました。3.5トンの大型輸送の骨組みにより、21.5トンの安全クラッチはさらに重量を増しました。出荷準備は整ったものの、低床貨物車には1,500kmの走行に必要な幅がありませんでした。フランスでは高速道路でこのような大型輸送を行うことは認められていないため、目的地に到着するまでには3日間かかりました。徹底的な機能試験の後、現時点で世界最大の安全クラッチで保護されているこの製品は、風力エネルギー試験施設に設置するためデンマークに輸送されました。

 

まだまだあります。安全クラッチのパイロットプロジェクト

「この難しいプロジェクトが成功裏に終わり、喜びもひとしおでした。このように極めて厳しい要求に対応できるのは、プロセスを深く理解し、さまざまな視点から物事を考えることができる企業だけです。」とRainer Benzは締めくくりました。世界最大安全クラッチとしてギネスブックへ出願中で、登録されることになれば、喜びにいっそう花を添えることになります。成果として、数百万Nm級のプロジェクトは他にもすでに始まっており、開発チームの太鼓判が押されています。もちろん根本的な部分は同じですので、それぞれのプロジェクトの条件に合った製品がご用意できるでしょう。

 

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一般的に安全クラッチは装置や周辺部品を保護し、意図しない不具合や故障によって起こるトルク過負荷からの安全を確保します。そうすることで、設備停止時間の削減というさらなるメリットがもたらされます。


過大なトルクがかかった場合に、確実かつ効果的に駆動被動間を切り離すこと。安全クラッチの主な役割は、ほとんどの場合この1点に限られるでしょう。R+Wはさまざまな業界のお客様に、特殊な条件にもぴったりの製品を提供しています。R+Wのスタッフと相談することで、それぞれの状況に応じた適切な安全クラッチが選定できます。どのような用途に使用するかが分かれば、選択肢を提案いたします。そして提案したカップリングの概要および、機能とメリットに関する情報をお伝えします。このステップでは、可能な限り実演やサンプルによってより深くご理解をいただきます。次に、R+Wの設計担当者とともに適切な安全クラッチを選択します。標準製品で条件を満たすことができない場合は、特殊な製品をご用意いたします。

 

シャーピン型カップリングはもう時代遅れです

露天採掘場で働く保全担当者から、現在稼働中の3台の機械に使用しているシャーピン型カップリングに関する問い合わせがありました。この装置は移動式破砕装置で、採掘した土からきめの粗い石や砂利を取り除き、例えば粘土に加工します。振動や衝撃を減衰させるために、これまでは、駆動系を衝撃の大きなトルク過負荷(1)から保護する弾性の高いシャーピン型カップリングが使用されて来ました。トルク過負荷が発生した場合、シャーピンがせん断され切り離されるまで応力が加わります。これは確かにコストの低い設計で、従来は文句なしの方法でした。しかし、メーカーがピンの材質を変更したため、せん断した際に取り外すのが難しくなってしまいました。そのためピンの破損状況によっては、機械が稼働を再開できるまでには、早くても1時間、ひどい場合には丸1日かかってしまうこともありました。R+Wの重工業分野安全クラッチMST2(2)は、設備停止時間と復旧にかかる時間が短く、このような状況には最適です。

 

安全クラッチが選ばれる理由とその原理

安全クラッチは、ドライブトレイン中のツマリなどによるトルク過負荷から機械を保護します。トルク過負荷が発生すると(すなわちトルクが許容値を超えると)、安全クラッチが動力を確実に遮断します。機械を再び作動させるのに特別な工具は必要ありません。従来のシャーピン形カップリングとは異なり、交換部品の在庫も不要です。この安全クラッチは、ゼロバックラッシのボールソケット原理に基づいています。他のカップリングとは異なり、ソケットとトルク調節可能なトルクモジュールで構成されています。それぞれのトルクモジュールにはばねが内蔵されており、クラッチボールを軸方向に押し当てています。ボールの半分がセーフティモジュールから飛び出し、相手側の円錐型ソケットに入り込みます。この機構により、バックラッシなく正確にトルクが伝達されます。ばねがクラッチボールを押し当てることができなくなるまで接線力が発生すると、クラッチボールはトルクモジュールのハウジング内に後退します。遮断されている間、クラッチボールは軸方向に動くプランジャによってハウジング内に導かれるようになっています。カップリングを再連結するには、マレットでソケットを軽くたたくか、またはトルクモジュールの裏側のプランジャをレバーで押し戻すことによって、クラッチボールを元の位置に戻すだけです。設備停止による計り知れないコストは、安全クラッチに投資することで削減し、防ぐことができます。シャーピンと比較すると初期投資は多少大きくなりますが、設備停止の短縮によるコスト削減によってすぐに回収できるでしょう。

 

25万N・mを超えるトルクからの保護

MSTシリーズの安全クラッチは、最大250,000Nmのトルクに対応した標準品があり、設備によってはさらに大きなトルクにも対応できる特殊品もご用意できます。耐久性が高く、強力な安全クラッチは、さまざまな締結方法(キー締結、テーパーロック締結など)と多様な条件に対応可能なサイズをご用意しております。お客様にぴったりの製品は、1個からでもご購入いただけます。

 

ゼロバックラッシの安全クラッチ

MSKシリーズは、0.12,800Nmの遮断トルクに対応しています。このシリーズには、キー、テーパーロック、クランプ締結で1軸および2軸使用に対応しており、高剛性のベローズ形カップリングまたは振動減衰性のあるエラストマ形カップリングをご用意しております。さまざまな条件に対応するために、自動再連結が可能な原点復帰型とインデックス型、高速回転対応の手動再連結フリーホイール型、再連結する前にわずかな角度だけ遮断する特殊な負荷保持型の4つの遮断/再連結方法があります。小さな慣性モーメント、高速回転、より効率的な工程など、絶えず変化する市場の要件に対応するために、R+Wは特に高い出力密度を特長とする軽量の安全クラッチ、MSLシリーズもございます。1軸および2軸使用に対応しており(3)、さまざまな仕様をご用意しております。

 

ATEX認証の製品もお任せください

重工業分野、精密機器製品分野の両分野においてR+Wの安全クラッチはATEX認証が必要となる爆発性雰囲気でも使用できます。欧州連合ATEXガイドラインに適合した特殊なATEX認定リミットスイッチで安全クラッチの遮断を検知し、緊急停止状態を知らせることができます。ATEX対応の製品についてはお問い合わせください。

 

付属品

R+Wは、安全クラッチに使用する実用的な専用ツールを幅広くご用意しております。重工業分野向け安全クラッチのメンテナンスを迅速かつ簡単に行うための切り離しツール、トルク調整を容易にする調整レンチ、遮断を検出し、緊急停止信号を送る近接センサーやリミットスイッチもございます。

 

効果てきめんの危険回避 

貴重な機器を保護し、ダウンタイムを回避するにはコンマ1秒単位が勝負です。機械式の安全クラッチは、取り付けと使用が容易であるという重要な技術的メリットをお客様にもたらすだけでなく、工程の安全性向上にも大きく貢献します。

詳しい情報はHPまたは無料のR+Wアプリで安全クラッチについてご確認いただけます。ぜひご覧ください!

 

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押し出し機は、プロセス工学でよく使用されます。押し出し機には主に2つの種類があり、それぞれの工程に応じて分類されます。1つは材料の成形に使用される押し出し機成形機で、もう1つは化学的、物理的な改質に使用される混錬機能のある押し出し成形機です。押し出し工程中に、個体液体を問わずさまざまな材料が圧力をかけられ、出口から押し出されます。対応可能な用途も幅広く、建設、自動車、航空、医療技術および家具製造業における押出技術など様々な分野に用いられます。このため、カップリングを含め適切な部品を選択することがさらに重要になります。


 

押し出し機の構造と機能

押し出し機は通常、シリンダとその中の長いスクリュシャフトで構成されています。シリンダの端には成形の出口(ダイ)が配置されます。シャフトの動力としては歯車駆動の電気モータが使用されることが多く、シリンダの反対側の端に取り付けられます。粘土、セラミック、ゴム、熱可塑性ポリマー、業務用食品生地、アルミニウムなどの材料が、ホッパーからシリンダに供給されます。塗料や強化材などの添加材料が必要な場合は、サイドフィーダーで供給します。シリンダ内部は3つの区域に分かれ、それぞれの区域では異なる工程を担当します。第1区域の加熱区域では材料が供給され、溶融され、圧縮されます。第2区域では材料はさらに圧縮されます。第3区域の押し出し区域では材料が均一にダイへ流れるようにします。押し出し機を使用する製品は、パイプ、ホース、フィルム、自転車のリム、焼き菓子、スナック菓子、カラメルなど、他にもたくさんありますが、駆動装置にとっては、難しい課題になることが多いです。高圧、高温、混錬がこの工程にとって非常に重要です。歯車や軸などの高価な部品を保護するためにトルク過負荷発生時に動力を遮断する安全クラッチは、非常に合理的です。

 

押し出し機に取り付けられた半割クランプの安全クラッチ

重工業分野MSTシリーズの安全クラッチは、どんな種類の押し出し機にも対応可能です。これらの耐久性の高いカップリングはコンパクトな設計にもかかわらず、高いトルクに特化して開発されました。異物が機械へ侵入することによって発生することが多いトルク過負荷。このとき安全クラッチは、押し出し機を損傷から保護するために、1ミリ秒以内で動力を確実に遮断します。これにより、修理費用と設備停止時間を大幅に削減できます。トルク過負荷の原因を取り除いたあと、安全クラッチ外周部に組み付けられているプランジャに軸方向の力を加えれば、安全クラッチは素早く簡単に再連結できます。安全クラッチは、振動を減衰させ衝撃を吸収すると同時に、偏心、偏角、エンドプレイ方向のミスアライメントを許容できるように、エラストマ形カップリングと一体化した状態で設計されています。両側半割クランプ締結、または片側はフランジにもう一方はキー締結ハブを組み合わせるような、ご希望に沿った締結方法に対応いたします。安全クラッチは、軸直角方向から取り付け、取り外しが可能で、モータを取り外すことなく取り付けられます。押し出し機向け特殊安全クラッチは、20014,000Nmの遮断トルクに対応しており、オプションでATEX認定も承っております。

 

モジュール設計

安全クラッチの内蔵部品は、表面に黒色酸化処理を施した硬化鋼でできています。トルクモジュール(ボールソケット式プランジャ)は、遮断トルク調整範囲を変更するために数を増やしたり減らしたりすることができるほか、指定の範囲内でなら設定遮断トルクを変更することも可能です。ハブとエラストマ形カップリングは鋳鉄製です(ダクタイル鋳鉄40)。エラストマインサートはTPUまたはハイトレル®製で、押し出し機の使用方法に合わせたショア硬さを選択できます。例えば98Sh A(高振動減衰)または64Sh D(高剛性)のショア硬さのエラストマインサートを取り扱っており、各タイプは色によって区別されています。エラストマは、カップリングおよびドライブライン全体の特性を左右し、回転方向の振動を最適化するのに役立ちます。

 

安全装置としての安全クラッチMSTシリーズ

R+Wの安全クラッチは、耐久性が高い設計のため、押し出し機のほかにも圧延機やその他の製鉄設備、風力発電機、掘削機、水処理プラント、産業用シュレッダ、トンネル掘削機など、条件の厳しい様々な用途に使用されています。コンパクトでシンプルな設計と精密な調整機能により、これらすべての用途に最適です。安全クラッチは200250,000Nmの範囲に対応しています。1軸と2軸の両方に対応しており、トルク過負荷発生時に、動力を完全に遮断します。

 

低トルクモデル安全クラッチMSKシリーズ

R+Wの安全クラッチは、特に押し出し機と使用する場合には、お客様との度重なるご相談ののち、条件に合った製品を選定、またはカスタマイズいたします。遮断トルク、伝達トルク、締結方法、必要なスペースは、たくさんの要素のうちのほんの一部です。MSKシリーズの精密安全クラッチは低いトルク(0.12,800Nm)の用途に適しています。締結方法は、キー、テーパーロック、クランプ、半割クランプなど、さまざまです。機械の設計によっては、スプロケットまたはプーリを用い1軸で使用することもできます。また、原点復帰型、インデックス型、フリーホイール型、負荷保持型など、4つの遮断システムをご用意しております。それとは別に、カスタマイズも可能です。

 

振動減衰と半割クランプ  

R+W エラストマ形カップリングには、安全クラッチ機能なしのタイプもあり、許容トルクは0.5~25,000Nmです。カップリングは、どんなに取り付けが簡単なものでも、振動減衰とミスアライメント許容が可能です。前述のようにインサートのショア硬さが選択可能で、この特性はドライブライン全体に影響します。締結方法は、キー、テーパーロック、クランプ、半割クランプ締結といった選択肢があります。半割クランプは、押し出し機だけでなく、工作機械、印刷機、包装機のサーボドライブ、制御および位置決め装置にも多く使用されています。

押し出し機に適切なカップリングを採用することは、費用対効果の高い投資と言えるでしょう。R+Wスタッフは、押し出し機の保護について喜んでご相談に乗ります。詳しい情報はHPR+Wアプリへ。

 

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試験機向けカップリング


自動車産業の近代的な駆動系の開発は、設計者にとって大きな課題です。特定の条件を満たす部品1つを開発するのに、設計や計算は複雑さを増すばかり。試験機はこのような状況で重要な役割を果たします。試験機に使用される部品は、最高の性能を発揮する必要があります。カップリングメーカーR+Wは、そんな用途にぴったりの様々な製品をご用意しております。


試験機は、精密な試験、高精度な工程や寸法測定、柔軟性など、最高の条件を満たすためにあらゆることをこなす必要があります。そのためには、効率的で信頼性の高い、高性能なカップリングが必要です。カップリングメーカーは多くの試験に対応できる試験機に適したカップリングを提供するのに、設計・開発の際に技術仕様を複雑に組み合わせる必要があります。トルク、速度、バランス、剛性、ミスアライメント、慣性モーメント、スペースなどは、考慮すべき事項のうち、ほんの一部です。ある大手自動二輪車メーカーがR+Wに依頼をした案件では、高性能レース用エンジンを組み立て試験機で確実に試験と検査ができるように、再現性、制御性能、およびシステムダイナミクスに関して最高の水準を満たす必要がありました。この複雑な試験には、特殊品の製作が必要でした。

 

軽量設計と高性能材料

R+Wが技術系大学と共同で開発したMSLシリーズは、このような厳しい要求の用途に理想的な製品です。先端素材と特殊塗料を組み合わせた、軽量かつ小型で強力な設計。ボールソケットの原理により、ゼロバックラッシで安全に作動します。先端素材と特殊塗料によりMSKシリーズに比べて最大60%の軽量化を実現しています。例えば、MSLPの呼びトルク30は、トルク調整範囲は最大135Nm、質量200g、慣性モーメント0.1×10-3kgm2です。本体とフランジの特殊加工により、繰り返し精度+/-5%でミリ秒以内に反応できる安全クラッチを実現しています。MSLシリーズの安全クラッチは、許容トルクと寸法および質量の比率が世界市場においても他に類を見ないものとなっています。

 

精度向上のためのモジュール設計

レース用エンジン試験機の基本的な設計は、大量生産車のメーカーによって使用されているものとほぼ同じでしたが、この用途では700N・mのトルク、最大16,000r/minの回転速度をゼロバックラッシかつ高い剛性を維持したまま正確に伝達するという、非常に高い精度で大きな負荷を処理する必要がありました。軸を締結し、偏心、偏角、エンドプレイを許容するには、できるだけコンパクトな「ダブル」設計が必要でした。また、重量は最大でも5kgという制限と、非常に高いバランス等級も考慮しなければなりませんでした。その後、試験機上のすべての部品がうまく動作することを確実にするために、あらかじめバランス取りされたカップリングは、組み立て後に駆動系全体として再度バランス取りを行いました。

R+Wの技術者は、MLP3タイプの板ばね形カップリング(図1)を基に、条件をすべて満たす特殊品の開発に成功しました。高性能材料で製造され、回転対称構造のテーパーロックハブ使用したコンパクトで軽量のカップリングは、スペースと重量の制限を満たしながら、ゼロバックラッシで信頼性の高いトルク伝達を保証します。全体的な精度を実現するために、バランスウエイトを取り付けるための特殊な穴を設けました。これによって、組み立て後にカップリングの質量を変更して再度バランス取りを行うことが可能になります。耐久性の高い製品が新たに開発されたことにより、試験担当者は高性能エンジンの能力を試し、ようやくスタートラインに立つことができます。

 

トルク過負荷からの保護もカスタマイズで

トルクを遮断する安全クラッチは、試験機で使用される精密カップリングの一歩先を行きます。トルク計やギヤなどの駆動系部品を、トルク過負荷や設備故障による損傷から保護します。その結果、設備停止時間が短縮され、稼働率が向上します。

ある自動車業界のお客様の例では特殊な安全クラッチが採用されましたが、この用途でも、精度、サイズ、トルク、回転速度の条件を再考する必要がありました。結果、重工業分野安全クラッチMSTシリーズ(図2)の強化版が開発されました。このシリーズには、等間隔に配置された耐久性の高いトルクモジュールがあり、特に高トルク向けの用途に合わせて設計されています。また、7,000r/minの回転速度で確実に作動する必要がある上、トルク過負荷が発生した場合は2,000N・mの遮断トルクで駆動被動間を安全に切断しなければならないため、トルクモジュールはいっそう重要な役割を担っています。

特殊品は、標準品よりもコンパクトに設計されているため、非常に狭い空間にも取り付けが可能です。今回のカップリングは、外径わずか200mm、全長(付属品含む)263mm、最高回転速度7,000r/min、許容トルクは3,000N・mです。板ばねが内蔵されており、軸のミスアライメントを許容します。特にコンパクトであることに加え、ブレーキディスクなどの特殊な部品との締結が可能です。以前使用されていた他社製品とは対照的に、R+Wの製品には付属品も当初から含めて設計されました。完成品として、お客様はアダプタフランジなどによる不要な質量を排除し、コストも削減できました。

重工業分野MSTシリーズ安全クラッチは、標準で最大25Nmの遮断トルクに対応可能なボールソケット式クラッチです。特殊品の場合は、さらに高い遮断トルクも実現可能です。カップリングの円周上に等間隔で配置された耐久性の高いトルクモジュール(3)には、実質的にトルクの上限はないと言ってもよいほどです。トルク過負荷が発生した場合、あらかじめ荷重が与えられた安全クラッチ内のクラッチボールは、それぞれのソケットから押し出され、駆動被動間を完全に遮断します。プランジャの背面に取り付ける追加のスイッチプレートを利用すれば、センサまたはリミットスイッチによってカップリングが遮断されたかどうかを確認することができます。設備が停止したのを確認し、プランジャの背面に軸方向の力を加えれば、再連結が可能です。必要であれば、遮断トルクは簡単に調整できます。

 

多様性と開発と最適化  

R+Wの品ぞろえは、お客様の条件に応じて変化します。ここで説明したシリーズに加えて、例えば0.1~2,800N・mの小さな安全クラッチもご用意しております。安全クラッチだけでなく、さまざまなベローズ形カップリング、エラストマ形カップリング、歯車形カップリング、長尺形カップリング、板ばね形カップリングなどがあり、どんな用途にも適した製品をお客様に提供します。R+Wでは、今後の動向やますます厳しくなる条件に対応するため、お客様のご要望に応じて新製品や特殊な製品の研究開発部門を別に設けており、社内の静的/動的試験機では、さまざまな製品テストを実施することができます。R+Wには、あらゆる種類の試験機を最適化するのに適切なカップリングを選択するための知識と経験があります。よってお客様は確実な計画を立て、コストを最小限に抑えることができるのです。

 

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ギヤポンプの保護


ギヤポンプは、ハウジング内で回転する2つのインボリュート歯車の外周を通して液体を搬送するために使用されます。液体の流量は、歯車の速度によって制御されます。R+Wが開発した特殊な安全クラッチは、ポンプ内に異物が入ってツマリが発生した場合にギヤの損傷を防ぎます。


ギヤポンプを使用して、粘性のある (ゴム状に近い) 液体を搬送するお客様から問い合わせがありました。この液体は、固まるのを防ぐため、高温で搬送する必要があります。また、この液体は、金属片などの異物によって汚染されることが多く、金属探知機が設置されていますが、必ずしもポンプ内への進入を防ぐことができるとは限りません。これらの固形物がポンプに入ると、詰まりを起こして歯車を損傷し、費用のかかる修理につながります。

 

ツマリが発生すると

この製造工程では、液体が均質な状態で搬送されることが不可欠です。固形物が詰まって修理が必要な場合は、まずシステムを冷却する必要があります。それまではポンプを分解することはできません。しかし、搬送中の液体が冷却中に固化すると、ポンプの内部を洗浄する工程は複雑になり手間がかかります。つまり、生産ラインは数時間にわたって停止するため、設備停止によるコストは膨大になります。もしこの工程で部品が破損すれば、高価なギヤ本体の費用に加えて、さらに費用がかさむことになります。ギヤは特殊品であることもあり、納期は長く、その分価格も高くなります。

R+Wの安全クラッチは、このような用途や課題にとって有効な投資であることが証明されています。このポンプにはMST4タイプの(図1)安全クラッチを選定しました。MST4には重工業分野向け安全クラッチの両側に歯車形カップリングがついており、モータとギヤポンプの間に取り付けられます。耐久性の高いMST4歯車形カップリングは、小さなサイズで大きなトルクを伝達しながら、軸のミスアライメントを許容します。最も重要なのは、安全クラッチを使用すれば、ギヤポンプの損傷も防止できるということです。固形物によるトルク過負荷を防ぐ場合、あらかじめ設定されたトルク値でカップリングを遮断し、モータとギヤポンプを切り離します。

モジュール構造により、1サイズにつき3段階のトルク調整範囲を設定できます。つまり、1つの製品で様々な用途に対応できるのです。また、トルクモジュール(図2)はカップリングの外側から容易に脱着できるため、カップリングを取り外すことなく調整範囲を変更することができます。この用途では、トルク調整範囲1.2~4.0 kN・m、遮断トルク2.27 kN・m、外径は220mm、全長は350mmでした。

 

広範囲にわたり連続してトルクを調整 

すべてのトルクモジュールには、お客様指定荷重と、最小値および最大値を示すマーキングが付いています。この用途では、お客様が調整ナットを用いて遮断トルク値を容易に調整できるように、特殊な目盛りも追加しました。トルクモジュールは、ご要望に応じて調整できないタイプも選択いただけます。

この案件では、安全クラッチを使用することで著しく性能が改善しました。カップリングは、そもそもツマリが発生することそのものを防ぐことはできませんが、高価な歯車の損傷を防ぎ、設備の停止時間を大幅に減らすことができます。そのためお客様は、初めて遮断が発生した時点で、その費用対効果を実感することになるでしょう。

MSTシリーズの安全クラッチは、1軸および2軸用に様々な仕様とサイズがあり、200~25万N・mの遮断トルクに対応可能です。条件によっては、100万N・mを超えるような特殊な製品もご用意しております。

 

歯車形カップリングのメリット 

歯車形カップリングは、MST4のように安全クラッチと組み合わせて使用できるだけではありません。MBZシリーズの歯車形カップリングは、純粋なカップリングとして208万N・mまで対応しています。例えば、キー締結またはしまりばめによる締結が可能な軸穴を備えたコンパクトなタイプ(図3)や、スペーサの長さが選択可能なタイプ(図4)も選択可能です。

MBZシリーズの歯車形カップリングは、小さなバックラッシと高い剛性でトルクを伝達します。理想的なトルク伝達を保証するために、ハブ側とフランジ側の両方の歯車が高精度の歯車加工機で製造されています。これによって偏心、偏角、エンドプレイを許容することが可能になります。最適な本体に最適な歯数のインボリュート歯車の形状になっており、歯車形カップリングは、従来の他社製同等品よりも効率的で耐久性に優れています。歯車のかみ合い率が高いことにより歯にかかる負荷は低く、同じ空間でもより高いトルクを伝達し、キーを2か所用いることでさらに高い出力密度を実現できます。特に条件の厳しい用途の場合、同じサイズで許容トルクを45%アップすることができる代替材料もご用意しております。MBZシリーズの設計は、全体的な摩耗を防ぐだけでなく、永くお使いいただけるようになっています。

 

取り付けは簡単で、柔軟性が高く、頻繁なメンテナンスも不要 

出力密度の強みに加えて、MBZシリーズが魅力的な選択肢であるのには、その他多くの機能が挙げられます。オプションでシールを追加することにより、必要な高性能グリースを長期間保ち、メンテナンス頻度を低減できます。また、MBZシリーズの取り付け、組み立てには細目ねじが使用されており、締め付けトルクは小さく、取り付けが容易です。このシリーズのさらなるメリットは、追加のブレーキディスクや延長ハブ、またはハブを反転させDBSEを広げるなど、お客様の条件に合う無数の特殊仕様は言うまでもなく、その汎用性の高さでしょう。ご要望に応じてその他のオプションもご用意しております。特別な条件がある場合には、ご相談ください。

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駆動技術におけるカップリングの条件


部品としてのカップリングに求められるが満たすべき条件は、特殊さを増しています。駆動技術における新しい用途には、特殊なカップリングが必要です。したがって、分野に応じてカップリングを分類することがメリットとなります。


機械工学は多面的で非常に面白い分野です。従来からの機械の概念では、高い剛性や速度、短いサイクルタイムで100分の1mm単位の高精度な位置決めを必要とます。包装機械、印刷機、産業用ロボット、自動化システムなどは、このような条件が求めれられることも少なくありません。その一方で、従来の概念とまったく異なる課題に直面する場合もあります。その対象となるのが通常では考えられないほどの塵埃の蓄積、並外れた温度変化、非常に強い力などの極端な環境条件を満たさなければならない機械です。これは製鉄所や鉄工所、海洋工学、または調整・工程技術などの分野に当てはまり、正確さだけでは日々の要求に対応できません。

このような背景に対してR+Wは、設計者が世界中のどこからでも、特定の用途に合う完璧なカップリングを素早く見つけられるよう、2つの分野を設けました。「精密機器」と「重工業」の2つの分野により、上記の用途すべてのパターンに対応するカップリングをご用意しております。精度の高いカップリング界の牽引役として、R+Wはここ数年、重工業分野で飛躍的な発展を遂げてきました。R+Wは用途ありきの製品に特化しているため、今日では多くの分野で「カップリング」の代名詞となっています。それでは、様々な用途について説明します。

 

鉄鋼・非鉄金属分野 

鉄鋼・非鉄金属加工は非常に大きな分野です。この分野のお客様との取引が始まったのは20年前のことです。最初は熱間圧延鋼メーカからの、冷却ラインに新しいカップリングが欲しいという問い合わせでした。このライン上で圧延された帯鋼は、巻き取り機でコイルを形成する前に、冷却スプレーによって1,300°C超から約800°Cまで冷却します。冷却ラインは個々に制御された50以上のフィードローラからなり、これらがローラコンベアを構成しています。従来使用されていたシンプルなジョーカップリングには、ミスアライメントを許容するためにポリアミドや樹脂などが使用されていましたが、熱間圧延鋼の高い放射熱により破損することが多くありました。コストのかかる設備停止時間に加えて、取り付ける数の分だけ交換用を在庫する必要があり、余計なコストが発生していました。スペースが小さいことから、取り付け・取り外しには非常に時間がかかり、その分のコストもかかっていました。そこでR+Wは、標準のベローズ形カップリングMBK2を基にした製品を開発しました。このカップリングは、非常にダイナミックなサーボドライブと使用するために、軸のミスアライメントを許容すると同時に、トルクを伝達する際には剛性が高く、長年人気のある商品です。今回は過酷な環境に合わせるため、改良が加えられました。クランプハブは通常の高強度アルミニウム製ではなく、鋼製に変更しました。また、特殊な焼き入れ工程によって生成された酸化皮膜は、冷却水に対して腐食からの保護に優れています。ベローズが破損した場合の飛散防止機能も追加し、安全性を強化しました。ステンレス鋼ベローズがトルク過負荷や不適切な取り付け方法によって損傷を受けた場合でも、内部の固定機構により、トルクを確実に伝達することができます。これにより、倉庫の在庫と、カップリング交換に必要な設備停止時間を、年に1回の定期点検のみに減らすことができます。

 

高トルク化 

また別の例では、最大トルクまで保護することが求められました。上下ペアになった、垂直方向に調整可能なワークロールからなるシステムは、鋼板の平坦度を調整する役割を果たします。システムには30KWの電気モータを使用しており、1,150r/minで約250N・mのトルクを発生します。従来使用されていたブレーキディスク一体型のエラストマ形カップリングは、トルクをトランスファーギヤボックスの入力軸に伝達していました。これは、歯車を順番にシフトダウンさせ、ユニバーサルシャフトでギヤボックスの出力シャフトに接続された上下のワークロール間にトルクを分配します。

調整される前の鋼板の厚さは常に同じとは限らないため、ワークロールに入る前に傾きやツマリが発生することがあり、極端に大きなトルクがかかることがあります。これは週に数回の頻度で発生します。このトルクは時間の経過とともに、ユニバーサルシャフト、オイルワイパー、ロール表面などの部品に繰り返し損傷を与え、高価なギヤボックスの損傷に至ることもあります。この問題を解決するためにR+Wは、精密安全クラッチと一体化したエラストマ形カップリングを紹介しました。この安全クラッチはばねを利用したボールソケット式で、設定されたトルクに達すると、数ミリ秒以内に動力を遮断します。トルクが再び通常に戻ると、カップリングは自動的に再連結し、トルクを伝達し続けます。動力の遮断は、移動リングの移動を近接スイッチで検出することができ、すぐに機械を停止させることができます。ブレーキを保持するのに必要なブレーキディスクもカップリングに含まれています。またR+Wの技術者は、既存のカップリングを置き換えることで他の部品の修正などが発生しないように、カップリングの形状を適応させました。お客様にとっては無理のない置き換えで済み、将来的には設備の可動率が向上するでしょう。

設備の可動率を高めるという課題は、生産ラインの担当者に共通しており、自動車産業用の冷延鋼鈑メーカにも当てはまります。ある例では20年もののワークロールを使用した冷間圧延機の部品を交換する必要がありました。従来の駆動源は1,100KWの低電圧モータで、歯車形カップリングを用いて、トルクをヘリカルギヤ装置の入力軸に伝達していました。これは純粋なトランスファーギヤボックスとしてワークロールを作動させます。2本のギヤボックス出力軸とワークロールはスピンドルギヤで連結します。基本的にこのカップリングは、より大きな両軸端間距離を締結するための中間軸を備えた金属製の特殊な歯車形カップリングです。スピンドルギヤとギヤボックスの出力軸の間には、トルクリミッタの機能を持った流体継手もあり、これにより交換作業が困難であることがわかりました。故障発生後に稼働を再開させるのは複雑で、時間を要しました。カップリングの再試運転に必要な修理キットも、在庫として保管する必要がありました。これらの修理キットは高価で、必要なときに入手できないということがよくあります。ここでもR+Wが状況の改善に貢献しました。スピンドルギヤはMBXタイプの高剛性ベローズ形カップリングに置き換えられ、厳しい生産条件に対応しました。

 

歯車形カップリング一体型重工業向け安全クラッチ  

今回は流体継手をなくし、MST4タイプの安全クラッチに置き換えました。モータとギヤボックス入力間の標準的な歯車形カップリングを置き換えたため、据え付けには影響がありましたが、結果的に、大きなメリットがもたらされました。

  • 交換部品や修理キットの在庫不要
  •  安全クラッチはMST4が1つでOK
  • シンプルな操作性により、特別な技術知識のない作業者も、故障発生時に迅速かつ容易に再試運転を行うことが可能

MSTシリーズは、小型の精密分野安全クラッチと同様にボールソケット式ですが、より高い遮断トルクを実現するために独立してばね荷重を受ける複数のトルクモジュールを利用しています。タイプによっては、最大12個のトルクモジュールを取り付けることが可能です。トルクモジュールの設計は非常に単純です。焼き入れされたクラッチボールが、スクリュがついたハウジングによって軸方向に予圧を与え、皿ばねを圧縮します。クラッチボールの半分はトルクモジュールから飛び出ており、対応するソケットにセットされます。クラッチボールに作用する円周上の力が設定トルクに達すると、ボールは数ミリ秒以内にトルクモジュールのハウジング内に戻ります。ロック機構により、ボールが勝手に外へ戻ってしまうのを防ぎます。このとき、駆動被動間は切り離され、駆動系が保護されます。故障の原因が取り除かれたら、Pハンマーでトルクモジュールの背面に衝撃を加えるだけで、カップリングは再連結されます。

 

特殊仕様も簡単に

また、安全クラッチをニーズに合わせて個別に調整することもできます。MSLシリーズはモジュール式のため、さまざまな組み合わせが可能です。すべての安全クラッチは、クリンゲンベルク工場で指定の遮断トルク値に設定します。新しい構造により、遮断トルク値を現場で変更することもできます。トルク範囲は調整リングに目盛りで示されており、設定値を変更する際の目安になります。遮断トルク値を調整しても、製品の機能や性能に変化はありません。

カップリングを、塵埃の多い環境や液体、強力な洗浄剤などと接触する可能性のある環境で使用する場合に備え、R+Wは内部部品を密閉することを可能にしました。これは同時に、カップリングからグリースが漏れないようにする機能も果たします。この設計では、全部品がハウジングに完全に内蔵され、特殊なシールが施されます。特別に開発されたOリングは、カップリング本体に装着され、大きな移動リングで覆います。この製品は、外部からのあらゆる影響から保護し、クリーンルームでも使用できます。

 

より高い遮断トルク  

年を追うごとに、より高い遮断トルク値に対応する、より大型のカップリングに対する需要が増加しています。早くも2014年にR+Wは大型ギヤボックスメーカから、298kN・mの遮断トルクに対応したMSTを受注しました。そうしている間に、100万N・mの壁を超えることが出来ました。デザインの面ではまだ限界に達しておらず、将来の見通しは明るいでしょう。

時代の変化やビジネスの発展に伴い、R+Wは「精密製品分野カップリング」市場のリーダーとしての評価以上の評価を得ており、現在では「重工業分野カップリング」の高品質サプライヤーとしても認知され、競合他社にはない独自の優位性を持っています。同社の伝統的な設計に対する柔軟性は、多様な機械に精通していることと相まって、過酷な条件に耐えうる駆動技術に貢献しています。この記事で説明したような金属加工の場合も、あるいは過酷な条件下で信頼性の高いカップリングを必要とする他のさまざまな業界の場合でも、成長中の重工業分野は、精密製品分野と同様に、適切なカップリングが見つかる可能性がますます高くなっています。

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白と黒で時代の流れに乗る


R+Wはこの1年で明確な差別化を図っており、ハノーバーメッセでは、白と黒に分けて展示しました。白は精密製品分野、黒は重工業分野を表しています。代表のFrank Kronmüllerは「当社の専門化戦略は、カップリング部品に対する要求がより特殊になるにつれて必然的なものでした。駆動技術における新たな用途の数は増え続けており、特殊なカップリングが必要とされています。これは、どのシリーズにおいてもかなり特殊な製品を求められていることから明らかでしょう。」と説明しています。


ハノーバーメッセで注目されていたのはエネルギー分野でした。この分野では、大規模な発電所による一方的な供給から、消費者と生産者の相互ネットワークへと、市場が大きく変化しています。消費者は生産者にもなり、その逆の場合もあるでしょう。「統合エネルギー」への傾向は、展示会でのメイントピックの1つです。バイオガスプラント、マイクロガスタービン、風力、水力による発電などにはすべて、適切なカップリングが必要です。

 

エネルギー分野の事例  

例えば風力発電の場合、いわゆるピッチ制御システムは、ロータブレードの傾斜(ピッチ角)を測定し、監視し、制御することで、風の状態が変化にしても一貫した能力を発揮することができます。正確な位置決めには、ゼロバックラッシでメンテナンス不要のベローズ形カップリングが使用され、正確な位置決め、高い再現性、信頼性の高いトルク伝達を組み合わせています。R+Wは、MBK2シリーズを基に大型洋上風力発電所向けの特殊品を開発しました。外洋での厳しい環境条件に耐えることができるように、鋼製のハブには特殊な表面仕上げを施しており、ハブとベローズは溶接で接合されています。

カップリングはバイオガスプラントでも活躍しています。メタンがガスエンジンに送り込まれ、レシプロエンジンで発電します。このバイオガス基質は、前処理の破砕工程において、石などの固体粒子の不純物が混ざり、システムにコストのかかる損傷をもたらすことがあります。そこで、信頼性の高い保護装置として、振動減衰および衝撃吸収が可能なエラストマ形カップリング付き安全クラッチをご提案しました。例えば駆動被動間を接続するためにMELS2シリーズを実際に使用しました。さまざまなショア硬さが選択できるエラストマインサートは、あらゆるミスアライメントを許容し、用途に応じた振動や衝撃を吸収します。固形物によってツマリが生じ、結果としてトルク過負荷が生じた場合、あらかじめ設定された遮断トルクによって、カップリングは、ばねを利用したボールソケット式の機構により、数ミリ秒以内にエンジンとロータを遮断します。これにより損傷を防止し、設備停止時間を短縮します。

3つ目の例はマイクロガスタービンです。分散型発電設備で使用されることが多く、高負荷に曝されることも少なくありません。あるプロジェクトでは、小型ベローズ形カップリングが年間を通じて常に10N・m、7万r/minの速度で確実に作動する必要がありました。R+Wでは、MK 2/100を基に、特殊なベローズによって必要な安全マージンを確保し、ベアリングの損傷がない限り工程内で発生する復元力を低減する特殊な製品を開発しました。標準品の約4倍のトルク過負荷に耐え、作業者に十分な信頼性をもたらすでしょう。

 

自動化の精度 

ハノーバーメッセで注目され続けているもう1つのトピックは自動化です。高度に自動化された工業製品の生産ラインには、ガントリーローダーや産業用ロボットなどに正確なモーションシステムが必要です。ダイナミックな多関節ロボットは、多くの生産ラインにおいてサイクルタイムの短縮に貢献しています。これには、速度、精度、加速度など、高い要求に対応するように設計された駆動部品が必要です。

R+Wは、MELシリーズのエラストマ形カップリングを、産業用ロボットなどの用途向けに開発しました。伸縮性のあるエラストマインサートは、高い柔軟性と優れた強度を同時に実現します。振動や衝撃の減衰効果を持ち、軸のミスアライメントを許容することができます。

エラストマ形カップリングの設計には多くの条件が関わります。荷重、起動、温度要因は、エラストマインサートの耐久性に影響します。インサートは、様々なショア硬さが選択できるため、振動減衰性、剛性、ミスアライメント許容において、ほぼすべての用途に対して適切な解決策が見つかるでしょう。位置決め精度が優先される場合には、ベローズ形カップリングを選択することもできます。R+Wの設計者は、適切なカップリングをおすすめできるように経験を積んでいます。

 

カップリング業界のインダストリー4.0  

自動化と密接に関連しているデジタル化は以前から注目を集めており、無人化による自動化レベルの向上に伴い、精密な作動部品や機能的な安全対策が求められています。インダストリー4.0の時代には、カップリングは生産性を向上させる重要な役割を担い、必要な安全性を確保することができます。

Kronmüllerは「最新の自動化生産ラインでは、考え抜かれたデジタル戦略「インダストリー4.0」でも、カップリングは重要な部品として残っています。これはトルク伝達だけではなく、安全装置としての役割も担います。」と強調します。例えば、機械式安全クラッチが有利な点は、駆動系を遮断するまでの速度であり、これは、電子式あるいはセンサによる手段を大きく上回り、不具合も発生しにくいことが挙げられます。

「電子制御によって遮断する場合には、少なくとも15~17ミリ秒かかります。安全クラッチは3~5ミリ秒以内に反応するため、勝者は明らかです。さらに、センサは不具合の原因となることがあるため、意図せぬ作動停止をしないよう定期的に確認する必要があります。」1つの軸に対して必要なのは1つの安全クラッチだけで、容易に調整ができ、さまざまな取り付け方法に対応しています。「これはカップリングの大きなメリットとなるでしょう。」とKronmüllerは述べています。

R+Wはお客様の生産ラインのデジタル化をサポートしたいと考えており、常に新しい用途を探しています。同時に、標準品についてもできる限り多くの用途に対応できるよう、既存の製品ラインナップを編成し直し、拡大しました。サイズの整理と部分的な再設計により、R+Wは今後の傾向に十分対応できると考えています。

 

ハノーバーメッセについて

「私たちにとって、ハノーバーメッセには2つの目的があります。1つは当然、私たちの技術と製品を紹介し、新しいお客様に良い印象を持ってもらいたいと思っています。これが展示会の最重要点です。もう1つは、ここで紹介されているトレンドとイノベーションです。市場の方向性や、どのような用途に対応する必要があるかを見極める良い指標となります。展示会では、当社の製品を使用することにより改善可能な技術を体験できます。これはとても刺激的なイベントです。」—Frank Kronmüller

カップリングを、塵埃の多い環境や液体、強力な洗浄剤などと接触する可能性のある環境で使用する場合に備え、R+Wは内部部品を密閉することを可能にしました。これは同時に、カップリングからグリースが漏れないようにする機能も果たします。この設計では、全部品がハウジングに完全に内蔵され、特殊なシールが施されます。特別に開発されたOリングは、カップリング本体に装着され、大きな移動リングで覆います。この製品は、外部からのあらゆる影響から保護し、クリーンルームでも使用できます。

 

製品ラインナップの方針 

「カップリングは繋げるのになくてはならない存在です。しかし、本当にカップリングが特別な存在であり、差別化されているところは、付加的な機能の部分です。R+Wではお客様と密に連携し、特殊な用途向けの製品を実現しています。これらの特殊品は、技術的な観点において常に一歩先を行くものであり、市場のニーズに応えるものであるため、私たちとしても高く評価しています。特殊品の開発により得られた知識は、標準シリーズに順次展開され、多くのお客様にメリットをもたらします。どちらも当社にとって重要ですので、将来的には特定のカップリングを指定する必要はありません。」—Frank Kronmüller

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厳しい条件のための特殊品


ロール成形機は、平面鋼板を加工して、目的の断面形状を成形します。鋼板は、ギヤモータで駆動されるロールを通過します。R+Wの耐久性の高いカップリングにより、駆動装置とロールを接続します。


ロール成形機は、帯鋼や鋼板から断面形状を成形するのに使用します。自動車、家具、建設業、一般的なエンジニアリングなど、多くの業種でロール成形機による成形品が使用されています。代表的な製品としては、建設用足場、ガードレール、スチールラック、引き出しのスライドレールなどがあります。

他の成形方法と比べて、ロール成形は柔軟性と費用対効果が飛び抜けています。生産速度は200m/分にのぼり、特に大量生産に適しています。通常の圧延とは異なり、金属の厚さはほぼ一定に保たれます。しかしツールの配置方法は、通常の圧延にもロール成形にも共通しています。対になったロールが、工程を踏んで連続的に成形します。従来の圧延機と同様に、鋼板は回転する装置によって引き抜かれ、ロール成形機によって、必要な曲げ工程を経て、最終的な形状に加工されます。

最近ますます重要になってきていることですが、品質と工程の安定性を均一に保つためには、使用する駆動装置の信頼性と再現性が高いことが不可欠です。ドイツのカップリングメーカーR+Wは、鉄鋼業界で長年の経験があり、厳しい条件を満たす幅広い種類のカップリングをご用意しています。

 

ミルスタンドは設置スペースに大きく影響します 

アジアにある大規模なロール成形工場では、2つの曲げ工程を有するシステムの導入が計画されていました。スタンド上のロールを、連続して接続されたギヤモータに結合するためには、それぞれの圧延機に精密カップリングが必要でした。カップリングの寸法はミルスタンドの条件に基づき、外径200 mm、全長145 mm以下である必要がありました。コンパクトなサイズにもかかわらず、2,000N・mのトルクを伝達し、十分な安全マージンも必要でした。その結果カップリングは、最大加速トルク3100N・m、最大トルク5,500N・mまで対応する必要がありました。

R+Wの技術者は、これらの条件を満たす製品として、MBK8/1500ベローズ形カップリング(図1)を基に特別な設計により、必要な特性をすべて備えたカップリングを開発しました。この特別に設計されたステンレス製ベローズによって、カップリングの出力密度は実質的に3倍にもなりました。全長144 mm、外径190 mmのカップリングはこの用途にとって完璧な製品でした。MBK 8タイプは、ギヤと直接接続するために開発された、ゼロバックラッシの高剛性ベローズ形カップリングです。コンパクトなこのタイプは、もともとロボットギヤ向けに考案されました。これによって、駆動側と被動側を接続しながら回転方向の剛性を維持し、ミスアライメントも許容します。金属製のベローズは復元力が低く、偏心、偏角、エンドプレイを許容します。歯車との接続には、フランジを使用します。耐摩耗性が高く耐久性に優れ、高速でも確実なトルク伝達を実現します。

 

様々なタイプのカップリング  

金属加工の分野では様々なカップリングが使用されています。ある案件では、重工業分野安全クラッチMST 1の特殊品が選定されました。その時の条件は、偏心、偏角、エンドプレイを許容しながら、トルク過負荷が発生した際、確実に1,500N・mに制限可能な、コンパクトで、回転方向への剛性が高い安全クラッチでした。ミルスタンドで使用されるカップリングは、ギヤシャフトに接続するため、取り付けが容易なクランプハブを使用する必要がありました。さらに安全クラッチは、状況に応じて設定トルクが調整可能である必要がありました。

MST 1/5は、モジュール設計によって、条件を満たす理想的な製品となりました。これらは標準で1軸用に設計されていま すが、ミスアライメントを許容する追加の部品と容易に組み合わせることもできます。インテリジェントモジュール設計では、クランプハブと締結するベローズ形カップリングを、今回の案件ではフランジ取り付けにすることができます(図2)。これにより、歯車と直接締結することが可能となり、ベローズによってミスアライメントの許容もできるようになりました。呼びトルク5kN・mは、1,200~4,000N・mの範囲での使用が可能で、要求された遮断トルク1,500N・mを容易に実現できました。この調整機能は次に紹介する案件でも、理想的な製品が見つかることにつながりました。

MSTシリーズは安全機能がメリットで、重工業分野の用途として高い需要があります。耐久性の高い安全クラッチは、不具合が発生した場合にコストのかかる損傷から駆動系を保護し、また潜在的な設備停止時間を最小限に抑えます。MSTシリーズはそのほかすべてのR+W安全クラッチと同様に、ばねを使用したボールソケット式で、それぞれの安全クラッチが伝達可能なトルクは、トルクモジュールの数とピッチ円直径によって決まります。トルク過負荷が発生すると、トルクモジュール内で予圧を与えられたクラッチボールがソケットから軸方向に移動し、ミリ秒以内に駆動側と被動側の動力が完全に遮断されます。プランジャに軸方向の力を加えると、安全クラッチは簡単に再連結します。あらかじめ設定された遮断トルク値は、必要に応じて簡単に調整可能です。

MSTシリーズの安全クラッチは、条件に応じてカスタマイズが可能です。シリーズやタイプによって、例えばキー、テーパーロック、フランジ(図3)、などの締結方法があり、標準で最大25万N・mの1軸または2軸で使用可能な、回転方向の剛性が高い製品や、振動減衰性のある製品もご用意しております。ご要望に応じて、さらに高いトルク範囲を実現した特殊品も対応可能です。

紹介した2つの例は、カップリングを選定し開発する際に考慮すべき条件の多さを示しています。機能、工程の信頼性、コスト効率の面で適切なカップリングをお客様に提供するためには、カップリングの業界や用途の知識はもとより、柔軟性や技術的な専門知識が重要になります。R+Wは様々な業界の設計担当者や技術者と密に協力しており、今や製品ラインナップは膨大です。歯車形カップリング、板ばね形カップリング、エラストマ形カップリングなど非常に多くのタイプの開発につながり、どのような条件にも適したカップリングが見つかるでしょう。

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回転式仕切弁の安全クラッチ


石炭バンカーか、穀物サイロか、代替燃料(木質ペレットなど)の貯蔵庫か、セメント工場のような貯蔵環境であるかは関係なく、バルク材の大きな貯蔵庫への積み降ろしは、一見複雑に見えるかもしれません。


貯蔵庫に積み込むときと、降ろすときでは、課題が異なります。第1に、モノを輸送し続けることが重要です。貯蔵庫が大きければ大きいほど、貯蔵庫の出口にかかる圧力も大きくなります。しかし、重要なのは流動挙動であり、これはバルク材の種類によって完全に異なります。液体と比べて、貯蔵庫中のバルク材の線形圧力の増加はありません。ここでは、回転式仕切弁が必要な流出量の制御を担っています。仕切弁は砂利用の仕切弁としても知られており、その機能は回転ポンプに似ています。回転式仕切弁は通常、材料貯蔵庫の出入口にフランジが付けられ、フランジが材料の入出力をします。基本的な機能原理は非常に単純です。ハウジング内のロータは電気機械的にコントロールされます。ロータ上には回転方向に平行な薄板金属が一定の角距離で取り付けられており、これがロータセルとなります。圧力と重力によって、材料は、仕切弁の入力側を通り、貯蔵庫の出力側からロータセル内に落下します。ロータの回転とその結果生じる遠心力によって、材料は仕切弁の出力側でロータセルから解放されます。バルク材の流量はロータの回転速度とセルの大きさによって正確に制御できます。より複雑な用途では、回転式仕切弁が同時にエアシールを形成します。例えば、チャンバーミルは、減圧下で使用されることも多くあります。回転式仕切弁はこの役割も担うので、空気が混じってしまうことは最小限に抑えられます。

 

設備故障や設備停止からの保護  

搬送される材料によっては、固まったり、異物が侵入したりして、ロータが固着することがあります。このような状況は必然的に始動トルクの大幅な増加につながり、歯車や仕切弁ロータの故障の原因となることがあります。これは、生産性が低下するだけでなく、故障した駆動部品を交換するために不必要なコストがかかることになります。しかしR+Wは、このような状況を完璧に防ぐことができます。安全クラッチMELS2タイプがおすすめです。

MELS2は、標準的なジョーカップリングのハブが使用されています。ハブの間には、異なるショア硬さが選択可能で、駆動被動間のミスアライメントを許容する柔軟なエラストマインサートがあります。しかし片方のハブには、予圧を与えたばねを利用したボールソケット式の安全クラッチ機能を備えており、バックラッシが発生しないようになっています。クラッチボールがカップリングの本体に支えられており、特殊な皿ばねが動力伝達の基盤となります。伝達されるトルクが設定トルク値に達すると、エンジンとギアの間の動力は、ミリ秒以内に完全に遮断されます。

カップリングの遮断トルクは、お客様のご要望に基づいてあらかじめ設定されており、調整範囲内であれば必要に応じていつでも簡単に再調整できます。様々なサイズをご用意しているため、目的に合わせて柔軟に調整が可能です。遮断トルクは、呼びトルクとタイプによって、1~から1,800N・mに対応可能です。

手動で再連結するフリーホイール型の他に、MELS2には3つの遮断タイプがあります。「原点復帰型」は遮断後、被動側にかかるトルクが許容トルク以下になると、自動的に再連結します。再連結位置は1点のみで、ちょうど360°回転したところで自動的に再連結します。インデックス型も同様に機能しますが、再連結位置は1か所ではなく60°ごとの6か所あり、オプションで30°、45°、90°、120°ごとの再連結も対応可能です。負荷保持型には、トルク過負荷が発生した際に駆動被動間が一定の角度回転後、負荷を維持する機能があります。

 

重工業分野向け安全クラッチ 

高トルク用途にはMST2をお勧めしております。原理的には、この安全クラッチは前述したものと同様の仕組みですが、200~165,000N・mの遮断トルクに対応しています。従来は、シャーピンカップリングが多く使用されていましたが、現在はMST2が制御可能な信頼性の高い緊急停止装置として動作します。また、メンテナンス費用が極めて低く、取り扱いが簡単であるというメリットがあります。設備故障により動力が遮断された後は、カップリングを元の位置に戻すだけです。カップリングに組み込まれたトルクモジュールをプラスチックハンマーで叩くと、カップリングはすぐにお使いいただけるようになります。従来のシャーピンカップリングや流体継手と比べて、ピン、オイル、特別なポンプなどの追加の消耗品は必要ありません。したがって、特別な資格のない担当者も素早く、簡単に再連結を行うことができるのです。

さらに、オプションでMELS 2とMST2は、状態をモニターすることもできます。カップリングが遮断されると、移動リングは軸方向に移動します。この機械な移動は、別途設けた近接スイッチによって検出することができます。MELS2とMST 2はコンパクトな設計にもかかわらず、過酷な環境にも対応しています。特殊ベアリング、追加シール、ハイグレード鋼、ATEX環境対応設計などのオプション機能により、この安全クラッチはあらゆる環境の駆動装置に適した安全装置となるでしょう。

最初に述べた回転式仕切弁の例についてもそうでしたが、一般的にどの遮断タイプが適切か、またどのようなオプションが必要かを判断することはできません。適切なカップリングを選択するには、メーカの経験と専門知識が頼りです。R+Wの営業担当者は世界中におり、世界中どこにいても適切な製品選定をお手伝いできます。

 

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