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MLP板ばね形カップリングがリニューアル


ダイナミックな信頼性、革新性、多様性、発展は、R+Wの理念DRIVEを実現するためのキーワードです。1990年以来、R+Wはお客様を第一に考え、カップリング市場での地位を確立してきました。R+Wのお客様との密接な関係がMLPシリーズ板ばね形カップリングのリニューアルとどのように関係しているかについて、北米地域のセールス&マーケティングマネージャー、Andy Lechnerが雑誌Pump Engineerから取材を受けました。


R+Wが最初にMLPシリーズ板ばね形カップリングを発売してから数年が経過し、今回のリニューアルではサイズ展開が増えただけでなく、最新のAPI 610基準を満たすようになりました。R+WアメリカのAndy Lechnerが、新旧製品の異なる点と、R+Wがお客様のご要望に合った製品をお届けするまでのプロセスを紹介します。

 

初期タイプからの成長  

MLPシリーズの板ばね形カップリングの設計は、精密加工された2つのハブと、ミスアライメントを許容しながら摩擦力による締結を可能にする高強度スクリュとブッシングで取り付けられた精密な中間軸で構成されています。板ばねは高弾性、耐腐食性のばね鋼、ハブと中間軸は高強度鋼でできています。またMLPAタイプはすべてAPI610、ISOバランス等級G6.3、AGMAクラス9を最低限のバランス品質として満たしています。周辺機器に干渉することなく取り外し可能で、板ばねが破損した場合の安全キャッチを内蔵した中間軸が特長です。

新しいタイプにも引き継がれた部分もあります。「この製品は、動力を接触面の摩擦力のみで伝達するという当初からの原理を引き継いでいます。他の多くの板ばね形カップリングが純粋な摩擦力のみではなく、組み付けボルトのせん断荷重を利用して動力伝達をしているなか、この原理は私たちのこだわりでもあります。R+Wはバックラッシのないカップリングの経験が豊富であり、負荷の変化や、逆回転が発生するような用途において信頼性を考慮した設計を行っているため、当社はこの分野のスペシャリストであると自負しています。純粋な摩擦力による伝達設計は、組み付けボルトのシャンクに応力を集中させることなく、より均等に力を分散させ、摩耗や早期故障につながる可能性のあるカップリング内部の移動を防止します。したがって、耐疲労性と最大限の信頼性を実現するために設計された、真のメンテナンスフリーカップリングと言えるでしょう。」

 

お客様とのカップリング  

新製品を取り巻く変化は、R+Wとお客様との密接な関係によってもたらされました。「数年前に新しく重工業分野の製品としてラインを立ち上げて以来、お客様のご要望に基づいた特殊な設計を通して非常に良い経験を積んできました。既存のお客様にはR+Wとは相談しやすいと感じていただいており、初期の製品はお客様とともに描く、白紙のキャンバスのようでした。」とLechnerは説明します。

初期製品の取り扱い開始後、R+Wはお客様からのフィードバックに基づき、経験と知識を標準設計に取り入れました。Lenchnerは次のように続けます。「当社は、製品ラインナップをさらに肉付けし、サイズとトルク容量を改善しました。また材料とコストをお客様の用途に合わせて調整しました。」

Lechnerは、R+Wがお客様から受け取ったフィードバックの本質をつかみ、新しい製品に反映させました。「私たちはこれまで、物理的にスペースの制約がある多くのお客様にも対応してきました。そのため、スペースに合わせて自社製品を再設計する経験に基づき、今回のリニューアルではサイズを改善するために必要なことをリストアップすることができました。」

 

さらなるサイズ展開、FEA、MLPA  

新しい製品は、お客様のニーズにより近いサイズをご用意したため、初期の製品とは異なります。リニューアルされた製品は、サイズ展開を2倍に増やしましたが、許容トルク30012,000Nm、最大トルク70024,000Nmと、トルク範囲は当初から変更していません。「共通モータ軸径などを念頭に、すべてのサイズの間に1段階サイズを追加しました。私たちはお客様に、たとえばモータ軸の寸法のせいで、呼びトルクの大きいカップリングに変更させるようなことはしたくありません。またカタログには、標準よりも短い中間軸や半割クランプハブ、標準より駆動軸が長い場合に適したタイプなど、様々なオプションも記載されています。当社の製品の約半分はカタログに載っておらず、この状況は今後も続くと思いますが、この新しい設計は多くのお客様にとってより良いアイデアをもたらすはずです」とLechnerは言います。

有限要素法
R+Wの技術者は、有限要素解析 (FEA) を使用して、仕様や性能の面で経験に基づいたデータを補完しています。このような手法は、関連する誤差関数を最小限に抑えるのに有効です。「使用されている認定技術によって、当社のカップリングに何ができるのかを明確に把握しています。それぞれの部品が対応できることとできないことを把握しているため、お客様にとって最適な製品を設計するのに役立ちます。」

MLPAタイプ
API 610規格を満たすMLPAタイプの中にも重要なオプションがあります。「この規格は遠心ポンプに特化していますが、カップリング本体も一定のバランス等級とその他の条件を満たす必要があります。この規格では、カップリングが円滑に稼働し、高い性能を発揮しなければならないことが明確に定義されています。」

Lechnerは、初期の製品が発売された後、お客様とより密に協力したからこそ、このような特定の条件を理解し、MLPAタイプをリニューアルすることができたと説明しています。MLPAタイプは、耐摩耗性が高くメンテナンスの必要がないカップリングで、周辺機器に干渉することなく、ポンプやモータに取り付けが可能です。MLPAにはR+Wがこれまでに発売した製品の中で初めて、インチ寸法でもご用意しております。

 

すべてのアプリケーションについて最新の認定を取得

「R+Wは長年にわたりISO 9001の認証を取得しています。お客様のご要望があれば、それ以外の認証の取得や条件も多数満たしています。たとえば北米では、航空宇宙産業向けの製品に関してAS9120の認証を取得しました。また、すべてのカップリングはATEX認証を取得しています。安全クラッチはビューローベリタスに登録されています。私たちは、お客様が製品を使用するために必要なすべての承認を切り抜ける準備ができています。」 とLechner氏は言います。

 

ゼロからのスタート 

特別なお客様からの特殊品開発依頼だけに協力するのではなく、全社的な理念として、お客様1人1人に特別な対応をすることを重視しているため、R+Wのカップリングは、お客様に選ばれる製品として際立っています。

Lechnerは、R+Wがどのように新しいお客様との仕事を楽しんでいるかを説明します。「新しいお客様に協力することは、新しいニーズに対応する良い機会です。当社は、お客様の要求を満たすことに関しては柔軟性があると評判があります。私たちは、カップリングの設計と開発については新しい考え方を持っているので、何十年もこのタイプのカップリングを使ってきたベテランでも、新しい仕入先として私たちを選択することで間違いなく利益を得ることができます。」

 

ドイツ製カップリングは、世界中でカスタマイズ可能  

カップリングは、ドイツのR+W本社で製造されています。その後、製品は世界中にあるR+Wの支店に配送され、倉庫に保管されたり、カスタマイズが行われたりします。たとえば、北米の施設はシカゴ郊外にあります。「北米の施設では、多数の部品が在庫されているほか、ドイツの本社と共同研究している設計チームもあります。」またこの施設には、カップリングの改造に必要なすべての工具が備わっており、中国とイタリアにもこのような施設があります。

4月初め、リニューアルされた製品がドイツで発売されました。北米での発売は2016年6月に予定されており、その時点では世界中で発売される予定です。

 

あらゆる用途に 

Lechnerは、どの業界で初期の板ばね形カップリングが最も受け入れられたかについてこう語っています。「駆動系部品の試験機分野からは、即座に大きな反響がありました。モータ、ポンプ、変速機、車軸などあらゆる回転機器の試験を行っている企業は、もともとR+Wがカスタマイズを得意としていることをよく知っており、強力な隙間市場でした。試験機では、回転特性に干渉しないカップリングが必要です。その点、この製品はバックラッシがなく、高速回転時でも長い軸間距離を接続できるので、優れた製品です。またこのカップリングは、振動を吸収したり発生させたりすることなく、測定を行いながら動力を伝達することもできます。」

Lechnerは、このカップリングがAPI 610の遠心ポンプに適した製品であることは明確であると言います。しかし、モータと遠心ポンプの設計担当者なら誰でも、メンテナンスの必要がないことでメリットを感じることも付け加えました。「交換する部品がなく、潤滑剤も不要で、理論的に耐用年数は半永久的です。」

この製品は、メンテナンス不要の設計なだけでなく、バランスよく円滑な回転が可能なカップリングです。「振動はどのような用途においても重要な問題であり、これは振動を最小限に抑えることを目的としたカップリング設計です。」

 

常に新鮮な気持ちで将来を見据える 

R+Wがカップリング市場でどのように競争力を維持しているかという質問に対して、Lechnerは「結局はカスタマーサービスとカスタマイズに重点を置いているからだと思います。私たちは1990年に創業した比較的若い会社なので、この業界の中でも新しい見方を得ることができました。このことが、短いリードタイムでカスタマーサービスに集中できる企業になった理由です。技術者がデザインを市場に出すまでの時間はますます短くなっています。お客様への迅速な対応が可能で、お客様の立場を考えた会社であることは、当初から重要なポイントでした。今日までに、多くのお客様がその恩恵を受けていると思います。」と答えました。

R+Wは将来を見据えています。同社はすでに、別の重工業向けボールソケット式安全クラッチのリニューアルに取り組んでいます。「この製品は、トルク過負荷発生時に駆動被動間の動力伝達を遮断するように設計されています。MLP板ばね形カップリングと同様に、最初の発売から数年の間に得た経験を生かして、将来のニーズに合わせて製品ラインを再構築するためにリニューアルを進めています。」

 

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