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MLP|記事一覧

 


製鉄は一貫した工程として設計されるため、故障が発生しにくい部品が頼りです。長年、剛性の低いカップリング付きのローラコンベヤの駆動を使用していた事例がありました。しかし、このような仕組みは摩耗しやすく、また頻繁なメンテナンスが必要でした。これを剛性の高い板ばね形カップリングに置き換えれば、もう面倒なメンテナンスは不要です。


一般に、製鉄設備で使用される弾性軸継手は、剛性の低いものと高いものの2つに分類されます。剛性の低いカップリングは振動を減衰させ、衝撃を吸収します。特殊なゴム化合物とポリウレタンによって不要な動きが下流の部品に伝わる前にふるいにかけられます。

 

高トルクは特別な課題

変化の激しい用途の場合、カップリングに作用するトルクが大きくなると、回転方向へのたわみは著しく増加し、時には数度にも及ぶことがあります。すると、駆動側から被動側に回転時の角度が正確に伝達されないことになります。このとき、剛性の低い、柔軟な弾性のあるカップリングにはある程度の磨耗が発生します。プラスチックやゴム製品の経年変化や脆性、また、プラスチックとハブの間の相対的な移動は、いずれ摩耗をもたらします。したがって、定期点検とミスアライメントを許容する部品の交換は不可欠です。剛性の低い弾性軸継手を選択する場合、メンテナンスの程度と頻度は考慮すべき重要な点です。メンテナンス上の理由でカップリングが破損した場合、コストのかかる重大な設備停止のリスクを抱えることになります。

 

振動減衰させない、正確なミスアライメント許容

次は剛性の高いカップリングです。これは歯車形カップリングのはめ合いや板ばね形カップリングの板ばねによって実現されます。通常35024,000Nmのトルクは、ハブに接続された板ばねによって摩擦力で伝達されます。よってスクリュと板ばねの間に発生する微小な振動はなくなり、カップリング全体の剛性が向上します。その結果、カップリングは磨耗せずメンテナンスは不要になります。対照的に、コンパクトな歯車形カップリングは、定期的なメンテナンスが必要でトルク伝達時はバックラッシがあります。

 

板ばね形カップリングによる工程の信頼性

板ばね形カップリングは、多くの用途、特に製鉄所など重工業向けとしての価値が実証されています。ドイツのクリンゲンベルクにあるR+Wの営業部北東チーム、Mirko Friesは板ばね形カップリングMLPシリーズを、効率的で洗練された製品としてお勧めしています。「MLPシリーズは、ハブと板ばねが摩擦力によって接続されているため、逆転が伴う場合でも最大限のトルクが伝達できると同時に耐摩耗性が高く、メンテナンス不要です。つまり、コストと労力が削減され、設備の稼働率と信頼性が向上します。」

MLPシリーズは、許容トルク35024,000Nmまでのサイズに対応しています。シングルタイプ(キー締結MLP1タイプ)とダブルタイプ(ゼロバックラッシでトルク伝達が可能なテーパーロック締結MLP3)のいずれかを選択します。シングルタイプは、偏角およびエンドプレイを許容し、ダブルタイプはさらに、カップリングや機械への影響が大きい偏心も許容でき、キーまたはクランプハブによる摩擦で軸とハブを締結するため、どのような用途にも合うカップリングです。Mirko Friesは次のように説明します。「R+Wの技術者が集まる経験豊富なチームが、適切なカップリングの選び方についてアドバイスします。起こりうる不具合を熟知しており、最も効果的で信頼性の高いカップリングをご用意いたします。」

 

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試験機向けカップリング


自動車産業の近代的な駆動系の開発は、設計者にとって大きな課題です。特定の条件を満たす部品1つを開発するのに、設計や計算は複雑さを増すばかり。試験機はこのような状況で重要な役割を果たします。試験機に使用される部品は、最高の性能を発揮する必要があります。カップリングメーカーR+Wは、そんな用途にぴったりの様々な製品をご用意しております。


試験機は、精密な試験、高精度な工程や寸法測定、柔軟性など、最高の条件を満たすためにあらゆることをこなす必要があります。そのためには、効率的で信頼性の高い、高性能なカップリングが必要です。カップリングメーカーは多くの試験に対応できる試験機に適したカップリングを提供するのに、設計・開発の際に技術仕様を複雑に組み合わせる必要があります。トルク、速度、バランス、剛性、ミスアライメント、慣性モーメント、スペースなどは、考慮すべき事項のうち、ほんの一部です。ある大手自動二輪車メーカーがR+Wに依頼をした案件では、高性能レース用エンジンを組み立て試験機で確実に試験と検査ができるように、再現性、制御性能、およびシステムダイナミクスに関して最高の水準を満たす必要がありました。この複雑な試験には、特殊品の製作が必要でした。

 

軽量設計と高性能材料

R+Wが技術系大学と共同で開発したMSLシリーズは、このような厳しい要求の用途に理想的な製品です。先端素材と特殊塗料を組み合わせた、軽量かつ小型で強力な設計。ボールソケットの原理により、ゼロバックラッシで安全に作動します。先端素材と特殊塗料によりMSKシリーズに比べて最大60%の軽量化を実現しています。例えば、MSLPの呼びトルク30は、トルク調整範囲は最大135Nm、質量200g、慣性モーメント0.1×10-3kgm2です。本体とフランジの特殊加工により、繰り返し精度+/-5%でミリ秒以内に反応できる安全クラッチを実現しています。MSLシリーズの安全クラッチは、許容トルクと寸法および質量の比率が世界市場においても他に類を見ないものとなっています。

 

精度向上のためのモジュール設計

レース用エンジン試験機の基本的な設計は、大量生産車のメーカーによって使用されているものとほぼ同じでしたが、この用途では700N・mのトルク、最大16,000r/minの回転速度をゼロバックラッシかつ高い剛性を維持したまま正確に伝達するという、非常に高い精度で大きな負荷を処理する必要がありました。軸を締結し、偏心、偏角、エンドプレイを許容するには、できるだけコンパクトな「ダブル」設計が必要でした。また、重量は最大でも5kgという制限と、非常に高いバランス等級も考慮しなければなりませんでした。その後、試験機上のすべての部品がうまく動作することを確実にするために、あらかじめバランス取りされたカップリングは、組み立て後に駆動系全体として再度バランス取りを行いました。

R+Wの技術者は、MLP3タイプの板ばね形カップリング(図1)を基に、条件をすべて満たす特殊品の開発に成功しました。高性能材料で製造され、回転対称構造のテーパーロックハブ使用したコンパクトで軽量のカップリングは、スペースと重量の制限を満たしながら、ゼロバックラッシで信頼性の高いトルク伝達を保証します。全体的な精度を実現するために、バランスウエイトを取り付けるための特殊な穴を設けました。これによって、組み立て後にカップリングの質量を変更して再度バランス取りを行うことが可能になります。耐久性の高い製品が新たに開発されたことにより、試験担当者は高性能エンジンの能力を試し、ようやくスタートラインに立つことができます。

 

トルク過負荷からの保護もカスタマイズで

トルクを遮断する安全クラッチは、試験機で使用される精密カップリングの一歩先を行きます。トルク計やギヤなどの駆動系部品を、トルク過負荷や設備故障による損傷から保護します。その結果、設備停止時間が短縮され、稼働率が向上します。

ある自動車業界のお客様の例では特殊な安全クラッチが採用されましたが、この用途でも、精度、サイズ、トルク、回転速度の条件を再考する必要がありました。結果、重工業分野安全クラッチMSTシリーズ(図2)の強化版が開発されました。このシリーズには、等間隔に配置された耐久性の高いトルクモジュールがあり、特に高トルク向けの用途に合わせて設計されています。また、7,000r/minの回転速度で確実に作動する必要がある上、トルク過負荷が発生した場合は2,000N・mの遮断トルクで駆動被動間を安全に切断しなければならないため、トルクモジュールはいっそう重要な役割を担っています。

特殊品は、標準品よりもコンパクトに設計されているため、非常に狭い空間にも取り付けが可能です。今回のカップリングは、外径わずか200mm、全長(付属品含む)263mm、最高回転速度7,000r/min、許容トルクは3,000N・mです。板ばねが内蔵されており、軸のミスアライメントを許容します。特にコンパクトであることに加え、ブレーキディスクなどの特殊な部品との締結が可能です。以前使用されていた他社製品とは対照的に、R+Wの製品には付属品も当初から含めて設計されました。完成品として、お客様はアダプタフランジなどによる不要な質量を排除し、コストも削減できました。

重工業分野MSTシリーズ安全クラッチは、標準で最大25Nmの遮断トルクに対応可能なボールソケット式クラッチです。特殊品の場合は、さらに高い遮断トルクも実現可能です。カップリングの円周上に等間隔で配置された耐久性の高いトルクモジュール(3)には、実質的にトルクの上限はないと言ってもよいほどです。トルク過負荷が発生した場合、あらかじめ荷重が与えられた安全クラッチ内のクラッチボールは、それぞれのソケットから押し出され、駆動被動間を完全に遮断します。プランジャの背面に取り付ける追加のスイッチプレートを利用すれば、センサまたはリミットスイッチによってカップリングが遮断されたかどうかを確認することができます。設備が停止したのを確認し、プランジャの背面に軸方向の力を加えれば、再連結が可能です。必要であれば、遮断トルクは簡単に調整できます。

 

多様性と開発と最適化  

R+Wの品ぞろえは、お客様の条件に応じて変化します。ここで説明したシリーズに加えて、例えば0.1~2,800N・mの小さな安全クラッチもご用意しております。安全クラッチだけでなく、さまざまなベローズ形カップリング、エラストマ形カップリング、歯車形カップリング、長尺形カップリング、板ばね形カップリングなどがあり、どんな用途にも適した製品をお客様に提供します。R+Wでは、今後の動向やますます厳しくなる条件に対応するため、お客様のご要望に応じて新製品や特殊な製品の研究開発部門を別に設けており、社内の静的/動的試験機では、さまざまな製品テストを実施することができます。R+Wには、あらゆる種類の試験機を最適化するのに適切なカップリングを選択するための知識と経験があります。よってお客様は確実な計画を立て、コストを最小限に抑えることができるのです。

 

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最高の精度とダイナミクスを実現するカップリング


カップリングメーカのR+Wは、国際金属加工見本市EMOのモットーに、「インテリジェント生産のためのコネクティングシステム」を掲げています。カップリングは、インダストリー4.0の時代であっても、設備オペレータにとって重要な役割を果たします。慎重に選択すれば、駆動系の性能を向上させ、速度、安全性、および精度を達成するのに不可欠なものとなるでしょう。


世界最大の金属加工見本市では、業界全体が最新の設備や効率の高い製品を発表します。EMOハノーバーでは、工作機械、生産システム、精密工具、自動マテリアルハンドリング、コンピュータ技術、産業用電子機器および付属品の切削と成形に焦点を当てています。またこの見本市は、その国際的な範囲と規模だけではなく、出展されているイノベーションの数が際立っています。2013年に開催された前回のEMOハノーバーでは、45%の出展者が新しく開発されたものを展示した、という調査結果がありました。カップリング専門メーカであるR+Wは、今年も機械市場にすばらしい革新をもたらすでしょう。

工作機械は、駆動部品にとって条件の厳しい用途です。効果的に稼働することを保証するためには、迅速に、柔軟に、そして正確に作動する必要があります。非常に高速でダイナミックな動きとともに、0に近い公差を持つ正確な位置決めが求められます。このようなシステムは、振動減衰、剛性、バランス、慣性モーメントなどが完璧に調整されて初めて正確に作動します。R+Wには、どのような条件の工作機械であっても適切なカップリングをご提案できる経験があります。

 

ダイナミックな荷重をコントロール 

カップリングは、駆動系の作動状態、そして最終的にはシステム全体に大きな影響を与えます。R+Wは非常にダイナミックな荷重と、正確な再現性および正確なトルク伝達を両立させることを目的とした、精密分野向けのさまざまなゼロバックラッシ対応カップリングをご用意しております。このタスクを実現するためにゼロバックラッシ対応製品には、振動減衰エラストマ形カップリング、剛性の高い金属ベローズ形カップリング、板ばね形カップリング、トルクを遮断する安全クラッチがございます。

ゼロバックラッシの精密機器分野エラストマ形カップリングは、振動を減衰すると同時に、高い位置決め精度のために適度な剛性をもたらします。また、0.5~25,000N・mのトルクに対応し、偏心、偏角、エンドプレイを許容することができます。適切に選択することで、エラストマ形カップリングのインサートが駆動系全体の振動を最適化します。R+Wはどんな要求にも対応できるよう、さまざまなショア硬さなどの特性を持つインサートをご用意しており、振動減衰性、剛性、電気伝導性、熱安定性の条件を満たすことができます。きっと、振動減衰と剛性の間で適当な中間地点が見つかるでしょう。エラストマ形カップリングの締結方法には、取り付けが簡単なクランプ、半割クランプ、コレット軸などがあります。MEL6SPタイプは、スピンドルドライブなどの高速回転向けに開発されています。エラストマインサートは振動を減衰する効果を持ちながら、圧入して取り付けられていることから、ゼロバックラッシを実現します。テーパーロックハブとジョーにより、高い同心度とバランスを維持したまま滑らかな動力伝達が可能です。

 

精度向上のためのモジュール設計

特殊素材に加え、それぞれの部品をスマートに圧縮することで、寿命や精度に影響を与えることなく、さらなる軽量化を実現しました。R+Wのために開発された特殊な皿バネは、ボールソケットの原理を進化させ、トルクを最大50%強化しました。ばね荷重を利用した機構により、お客様が求める、半永久的なゼロバックラッシかつ剛性の高いカップリングが完成しました。クラッチボールは、円錐状のソケットに固定されています。特殊な特性曲線を持つ皿バネにより、瞬時に、正確にトルク過負荷から保護することを可能にします。設定した遮断トルクを超えると、安全クラッチの出番です。クラッチボールは元の位置を離れ、トルクの流れが遮断され、残留摩擦がゼロになります。クラッチボールは、対応するソケットに固定されている間は動きません。これにより、予め設定された遮断トルクに達していない、通常稼働中はクラッチボールが摩耗しないようになっています。遮断時にばね荷重は低下し、移動リングも軽量なため、摩耗は最小限にとどまります。他の摩擦クラッチに発生するような環境要因による遮断トルク値の変化は論外です。

 

位置決め

ゼロバックラッシで高剛性のベローズ形カップリングは、工作機械、歯切り盤、その他自動化システムにおける、非常にダイナミックなサーボモータ軸に課される特有の条件に対応するのに理想的な製品です。これら精密カップリングは、位置決め精度が最優先される場合に使用されます。耐久性が高くと、メンテナンス不要な設計により、高い費用対効果と信頼性を実現します。ベローズ形カップリングは、0.05~10万N・mのトルクを伝達し、さらに偏心、偏角、エンドプレイを許容します。エラストマ形カップリングと同様にベローズ形カップリングも、最適な軸締結方法と組み合わせて長尺形カップリングのご注文も可能です。

 

高速回転対応製品

R+Wの新製品で高速回転に最適なのは、MBK3SPタイプのベローズ形カップリングです。このカップリングは外側のテーパーロックハブが特長で、回転速度が非常に速い場合であっても滑らかに作動します。回転対称性によって優れたバランス品質も保証します。前述した用途の他に、ベローズ形カップリングは試験機、紙工機械、印刷・ラベリング装置、包装機械にも使用されています。MKシリーズは、測定システム、制御システム、より小さなサーボドライブやロータリエンコーダーなどの用途に適しています。

 

クーラントが軸の中を通る!? 

EMOでは、高い耐久性と性能が求められる場合に理想的な、板ばね形カップリングの多彩な用途を発見する場でもありました。板ばね形カップリングは350~24,000N・mに対応しており、高い剛性を持っています。様々なタイプから選択可能で、ゼロバックラッシのテーパーロック締結が可能なMLP3(ダブル)とMLP4(シングル)は、特に逆回転のトルクにも適しています。

さまざまな標準品に加えて、中間軸にクーラント供給システムが一体化した特殊品もご用意しております。これは、特にDBSEが長い工作機械を扱うメーカにとっては、大きなメリットです。特別に設計されたこのカップリングは、パイプの両端にハブが固定されており、長い距離でもクーラントを直接工具に導くことができます。テーパーロックハブと動バランス取りによって、滑らかな動作と最小限の振動が実現します。さらに、軸のミスアライメントは、剛性の高い板ばねによって許容されます。耐久性が高く、強力なMLPシリーズは、お客様にシンプルな設計、短い組み立て時間、速い加工速度、永い寿命をもたらします。

MSK、MELS、とMSLシリーズのゼロバックラッシ精密機器分野安全クラッチは、0.1~2,800N・mに対応しており、多くのメリットを提供します。あらかじめ設定した遮断トルクにより、安全クラッチは、ギヤ、軸、ボールねじなどの機械部品を、トルク過負荷とその後の損傷から保護することができます。この機能により、故障時の設備停止時間を大幅に短縮します。R+Wの重工業分野製品のMSTシリーズは更に大きな最大25万N・m以上のトルクに対応できる製品もご用意しております。

 

R+Wアプリのバーチャルカップリング  

今年のEMOハノーバーもまた、R+Wの様々なカップリングをご紹介する素晴らしい舞台となるでしょう。しかし、そんなに長く待てない!という皆さまには、新しいR+Wアプリをご紹介します。バーチャルリアリティによって、お客様はこれまで以上に3次元的で双方向的かつ詳細に、さまざまなカップリングを体験することができます。製品に近づくための唯一の方法は、実際に触れることです。最新バージョンのアプリでは、安全クラッチの調整や再連結の方法などについて知ることもできます。バーチャルショールームでは、R+Wの可能性をご紹介します。R+Wは、このような革新的なアイデアによって、仮想的な方法だけでなく、実用的で大胆な方法で製品をお客様に提供しています。

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MLP板ばね形カップリングがリニューアル


ダイナミックな信頼性、革新性、多様性、発展は、R+Wの理念DRIVEを実現するためのキーワードです。1990年以来、R+Wはお客様を第一に考え、カップリング市場での地位を確立してきました。R+Wのお客様との密接な関係がMLPシリーズ板ばね形カップリングのリニューアルとどのように関係しているかについて、北米地域のセールス&マーケティングマネージャー、Andy Lechnerが雑誌Pump Engineerから取材を受けました。


R+Wが最初にMLPシリーズ板ばね形カップリングを発売してから数年が経過し、今回のリニューアルではサイズ展開が増えただけでなく、最新のAPI 610基準を満たすようになりました。R+WアメリカのAndy Lechnerが、新旧製品の異なる点と、R+Wがお客様のご要望に合った製品をお届けするまでのプロセスを紹介します。

 

初期タイプからの成長  

MLPシリーズの板ばね形カップリングの設計は、精密加工された2つのハブと、ミスアライメントを許容しながら摩擦力による締結を可能にする高強度スクリュとブッシングで取り付けられた精密な中間軸で構成されています。板ばねは高弾性、耐腐食性のばね鋼、ハブと中間軸は高強度鋼でできています。またMLPAタイプはすべてAPI610、ISOバランス等級G6.3、AGMAクラス9を最低限のバランス品質として満たしています。周辺機器に干渉することなく取り外し可能で、板ばねが破損した場合の安全キャッチを内蔵した中間軸が特長です。

新しいタイプにも引き継がれた部分もあります。「この製品は、動力を接触面の摩擦力のみで伝達するという当初からの原理を引き継いでいます。他の多くの板ばね形カップリングが純粋な摩擦力のみではなく、組み付けボルトのせん断荷重を利用して動力伝達をしているなか、この原理は私たちのこだわりでもあります。R+Wはバックラッシのないカップリングの経験が豊富であり、負荷の変化や、逆回転が発生するような用途において信頼性を考慮した設計を行っているため、当社はこの分野のスペシャリストであると自負しています。純粋な摩擦力による伝達設計は、組み付けボルトのシャンクに応力を集中させることなく、より均等に力を分散させ、摩耗や早期故障につながる可能性のあるカップリング内部の移動を防止します。したがって、耐疲労性と最大限の信頼性を実現するために設計された、真のメンテナンスフリーカップリングと言えるでしょう。」

 

お客様とのカップリング  

新製品を取り巻く変化は、R+Wとお客様との密接な関係によってもたらされました。「数年前に新しく重工業分野の製品としてラインを立ち上げて以来、お客様のご要望に基づいた特殊な設計を通して非常に良い経験を積んできました。既存のお客様にはR+Wとは相談しやすいと感じていただいており、初期の製品はお客様とともに描く、白紙のキャンバスのようでした。」とLechnerは説明します。

初期製品の取り扱い開始後、R+Wはお客様からのフィードバックに基づき、経験と知識を標準設計に取り入れました。Lenchnerは次のように続けます。「当社は、製品ラインナップをさらに肉付けし、サイズとトルク容量を改善しました。また材料とコストをお客様の用途に合わせて調整しました。」

Lechnerは、R+Wがお客様から受け取ったフィードバックの本質をつかみ、新しい製品に反映させました。「私たちはこれまで、物理的にスペースの制約がある多くのお客様にも対応してきました。そのため、スペースに合わせて自社製品を再設計する経験に基づき、今回のリニューアルではサイズを改善するために必要なことをリストアップすることができました。」

 

さらなるサイズ展開、FEA、MLPA  

新しい製品は、お客様のニーズにより近いサイズをご用意したため、初期の製品とは異なります。リニューアルされた製品は、サイズ展開を2倍に増やしましたが、許容トルク30012,000Nm、最大トルク70024,000Nmと、トルク範囲は当初から変更していません。「共通モータ軸径などを念頭に、すべてのサイズの間に1段階サイズを追加しました。私たちはお客様に、たとえばモータ軸の寸法のせいで、呼びトルクの大きいカップリングに変更させるようなことはしたくありません。またカタログには、標準よりも短い中間軸や半割クランプハブ、標準より駆動軸が長い場合に適したタイプなど、様々なオプションも記載されています。当社の製品の約半分はカタログに載っておらず、この状況は今後も続くと思いますが、この新しい設計は多くのお客様にとってより良いアイデアをもたらすはずです」とLechnerは言います。

有限要素法
R+Wの技術者は、有限要素解析 (FEA) を使用して、仕様や性能の面で経験に基づいたデータを補完しています。このような手法は、関連する誤差関数を最小限に抑えるのに有効です。「使用されている認定技術によって、当社のカップリングに何ができるのかを明確に把握しています。それぞれの部品が対応できることとできないことを把握しているため、お客様にとって最適な製品を設計するのに役立ちます。」

MLPAタイプ
API 610規格を満たすMLPAタイプの中にも重要なオプションがあります。「この規格は遠心ポンプに特化していますが、カップリング本体も一定のバランス等級とその他の条件を満たす必要があります。この規格では、カップリングが円滑に稼働し、高い性能を発揮しなければならないことが明確に定義されています。」

Lechnerは、初期の製品が発売された後、お客様とより密に協力したからこそ、このような特定の条件を理解し、MLPAタイプをリニューアルすることができたと説明しています。MLPAタイプは、耐摩耗性が高くメンテナンスの必要がないカップリングで、周辺機器に干渉することなく、ポンプやモータに取り付けが可能です。MLPAにはR+Wがこれまでに発売した製品の中で初めて、インチ寸法でもご用意しております。

 

すべてのアプリケーションについて最新の認定を取得

「R+Wは長年にわたりISO 9001の認証を取得しています。お客様のご要望があれば、それ以外の認証の取得や条件も多数満たしています。たとえば北米では、航空宇宙産業向けの製品に関してAS9120の認証を取得しました。また、すべてのカップリングはATEX認証を取得しています。安全クラッチはビューローベリタスに登録されています。私たちは、お客様が製品を使用するために必要なすべての承認を切り抜ける準備ができています。」 とLechner氏は言います。

 

ゼロからのスタート 

特別なお客様からの特殊品開発依頼だけに協力するのではなく、全社的な理念として、お客様1人1人に特別な対応をすることを重視しているため、R+Wのカップリングは、お客様に選ばれる製品として際立っています。

Lechnerは、R+Wがどのように新しいお客様との仕事を楽しんでいるかを説明します。「新しいお客様に協力することは、新しいニーズに対応する良い機会です。当社は、お客様の要求を満たすことに関しては柔軟性があると評判があります。私たちは、カップリングの設計と開発については新しい考え方を持っているので、何十年もこのタイプのカップリングを使ってきたベテランでも、新しい仕入先として私たちを選択することで間違いなく利益を得ることができます。」

 

ドイツ製カップリングは、世界中でカスタマイズ可能  

カップリングは、ドイツのR+W本社で製造されています。その後、製品は世界中にあるR+Wの支店に配送され、倉庫に保管されたり、カスタマイズが行われたりします。たとえば、北米の施設はシカゴ郊外にあります。「北米の施設では、多数の部品が在庫されているほか、ドイツの本社と共同研究している設計チームもあります。」またこの施設には、カップリングの改造に必要なすべての工具が備わっており、中国とイタリアにもこのような施設があります。

4月初め、リニューアルされた製品がドイツで発売されました。北米での発売は2016年6月に予定されており、その時点では世界中で発売される予定です。

 

あらゆる用途に 

Lechnerは、どの業界で初期の板ばね形カップリングが最も受け入れられたかについてこう語っています。「駆動系部品の試験機分野からは、即座に大きな反響がありました。モータ、ポンプ、変速機、車軸などあらゆる回転機器の試験を行っている企業は、もともとR+Wがカスタマイズを得意としていることをよく知っており、強力な隙間市場でした。試験機では、回転特性に干渉しないカップリングが必要です。その点、この製品はバックラッシがなく、高速回転時でも長い軸間距離を接続できるので、優れた製品です。またこのカップリングは、振動を吸収したり発生させたりすることなく、測定を行いながら動力を伝達することもできます。」

Lechnerは、このカップリングがAPI 610の遠心ポンプに適した製品であることは明確であると言います。しかし、モータと遠心ポンプの設計担当者なら誰でも、メンテナンスの必要がないことでメリットを感じることも付け加えました。「交換する部品がなく、潤滑剤も不要で、理論的に耐用年数は半永久的です。」

この製品は、メンテナンス不要の設計なだけでなく、バランスよく円滑な回転が可能なカップリングです。「振動はどのような用途においても重要な問題であり、これは振動を最小限に抑えることを目的としたカップリング設計です。」

 

常に新鮮な気持ちで将来を見据える 

R+Wがカップリング市場でどのように競争力を維持しているかという質問に対して、Lechnerは「結局はカスタマーサービスとカスタマイズに重点を置いているからだと思います。私たちは1990年に創業した比較的若い会社なので、この業界の中でも新しい見方を得ることができました。このことが、短いリードタイムでカスタマーサービスに集中できる企業になった理由です。技術者がデザインを市場に出すまでの時間はますます短くなっています。お客様への迅速な対応が可能で、お客様の立場を考えた会社であることは、当初から重要なポイントでした。今日までに、多くのお客様がその恩恵を受けていると思います。」と答えました。

R+Wは将来を見据えています。同社はすでに、別の重工業向けボールソケット式安全クラッチのリニューアルに取り組んでいます。「この製品は、トルク過負荷発生時に駆動被動間の動力伝達を遮断するように設計されています。MLP板ばね形カップリングと同様に、最初の発売から数年の間に得た経験を生かして、将来のニーズに合わせて製品ラインを再構築するためにリニューアルを進めています。」

 

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