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MST2|記事一覧

 


一般的に安全クラッチは装置や周辺部品を保護し、意図しない不具合や故障によって起こるトルク過負荷からの安全を確保します。そうすることで、設備停止時間の削減というさらなるメリットがもたらされます。


過大なトルクがかかった場合に、確実かつ効果的に駆動被動間を切り離すこと。安全クラッチの主な役割は、ほとんどの場合この1点に限られるでしょう。R+Wはさまざまな業界のお客様に、特殊な条件にもぴったりの製品を提供しています。R+Wのスタッフと相談することで、それぞれの状況に応じた適切な安全クラッチが選定できます。どのような用途に使用するかが分かれば、選択肢を提案いたします。そして提案したカップリングの概要および、機能とメリットに関する情報をお伝えします。このステップでは、可能な限り実演やサンプルによってより深くご理解をいただきます。次に、R+Wの設計担当者とともに適切な安全クラッチを選択します。標準製品で条件を満たすことができない場合は、特殊な製品をご用意いたします。

 

シャーピン型カップリングはもう時代遅れです

露天採掘場で働く保全担当者から、現在稼働中の3台の機械に使用しているシャーピン型カップリングに関する問い合わせがありました。この装置は移動式破砕装置で、採掘した土からきめの粗い石や砂利を取り除き、例えば粘土に加工します。振動や衝撃を減衰させるために、これまでは、駆動系を衝撃の大きなトルク過負荷(1)から保護する弾性の高いシャーピン型カップリングが使用されて来ました。トルク過負荷が発生した場合、シャーピンがせん断され切り離されるまで応力が加わります。これは確かにコストの低い設計で、従来は文句なしの方法でした。しかし、メーカーがピンの材質を変更したため、せん断した際に取り外すのが難しくなってしまいました。そのためピンの破損状況によっては、機械が稼働を再開できるまでには、早くても1時間、ひどい場合には丸1日かかってしまうこともありました。R+Wの重工業分野安全クラッチMST2(2)は、設備停止時間と復旧にかかる時間が短く、このような状況には最適です。

 

安全クラッチが選ばれる理由とその原理

安全クラッチは、ドライブトレイン中のツマリなどによるトルク過負荷から機械を保護します。トルク過負荷が発生すると(すなわちトルクが許容値を超えると)、安全クラッチが動力を確実に遮断します。機械を再び作動させるのに特別な工具は必要ありません。従来のシャーピン形カップリングとは異なり、交換部品の在庫も不要です。この安全クラッチは、ゼロバックラッシのボールソケット原理に基づいています。他のカップリングとは異なり、ソケットとトルク調節可能なトルクモジュールで構成されています。それぞれのトルクモジュールにはばねが内蔵されており、クラッチボールを軸方向に押し当てています。ボールの半分がセーフティモジュールから飛び出し、相手側の円錐型ソケットに入り込みます。この機構により、バックラッシなく正確にトルクが伝達されます。ばねがクラッチボールを押し当てることができなくなるまで接線力が発生すると、クラッチボールはトルクモジュールのハウジング内に後退します。遮断されている間、クラッチボールは軸方向に動くプランジャによってハウジング内に導かれるようになっています。カップリングを再連結するには、マレットでソケットを軽くたたくか、またはトルクモジュールの裏側のプランジャをレバーで押し戻すことによって、クラッチボールを元の位置に戻すだけです。設備停止による計り知れないコストは、安全クラッチに投資することで削減し、防ぐことができます。シャーピンと比較すると初期投資は多少大きくなりますが、設備停止の短縮によるコスト削減によってすぐに回収できるでしょう。

 

25万N・mを超えるトルクからの保護

MSTシリーズの安全クラッチは、最大250,000Nmのトルクに対応した標準品があり、設備によってはさらに大きなトルクにも対応できる特殊品もご用意できます。耐久性が高く、強力な安全クラッチは、さまざまな締結方法(キー締結、テーパーロック締結など)と多様な条件に対応可能なサイズをご用意しております。お客様にぴったりの製品は、1個からでもご購入いただけます。

 

ゼロバックラッシの安全クラッチ

MSKシリーズは、0.12,800Nmの遮断トルクに対応しています。このシリーズには、キー、テーパーロック、クランプ締結で1軸および2軸使用に対応しており、高剛性のベローズ形カップリングまたは振動減衰性のあるエラストマ形カップリングをご用意しております。さまざまな条件に対応するために、自動再連結が可能な原点復帰型とインデックス型、高速回転対応の手動再連結フリーホイール型、再連結する前にわずかな角度だけ遮断する特殊な負荷保持型の4つの遮断/再連結方法があります。小さな慣性モーメント、高速回転、より効率的な工程など、絶えず変化する市場の要件に対応するために、R+Wは特に高い出力密度を特長とする軽量の安全クラッチ、MSLシリーズもございます。1軸および2軸使用に対応しており(3)、さまざまな仕様をご用意しております。

 

ATEX認証の製品もお任せください

重工業分野、精密機器製品分野の両分野においてR+Wの安全クラッチはATEX認証が必要となる爆発性雰囲気でも使用できます。欧州連合ATEXガイドラインに適合した特殊なATEX認定リミットスイッチで安全クラッチの遮断を検知し、緊急停止状態を知らせることができます。ATEX対応の製品についてはお問い合わせください。

 

付属品

R+Wは、安全クラッチに使用する実用的な専用ツールを幅広くご用意しております。重工業分野向け安全クラッチのメンテナンスを迅速かつ簡単に行うための切り離しツール、トルク調整を容易にする調整レンチ、遮断を検出し、緊急停止信号を送る近接センサーやリミットスイッチもございます。

 

効果てきめんの危険回避 

貴重な機器を保護し、ダウンタイムを回避するにはコンマ1秒単位が勝負です。機械式の安全クラッチは、取り付けと使用が容易であるという重要な技術的メリットをお客様にもたらすだけでなく、工程の安全性向上にも大きく貢献します。

詳しい情報はHPまたは無料のR+Wアプリで安全クラッチについてご確認いただけます。ぜひご覧ください!

 

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回転式仕切弁の安全クラッチ


石炭バンカーか、穀物サイロか、代替燃料(木質ペレットなど)の貯蔵庫か、セメント工場のような貯蔵環境であるかは関係なく、バルク材の大きな貯蔵庫への積み降ろしは、一見複雑に見えるかもしれません。


貯蔵庫に積み込むときと、降ろすときでは、課題が異なります。第1に、モノを輸送し続けることが重要です。貯蔵庫が大きければ大きいほど、貯蔵庫の出口にかかる圧力も大きくなります。しかし、重要なのは流動挙動であり、これはバルク材の種類によって完全に異なります。液体と比べて、貯蔵庫中のバルク材の線形圧力の増加はありません。ここでは、回転式仕切弁が必要な流出量の制御を担っています。仕切弁は砂利用の仕切弁としても知られており、その機能は回転ポンプに似ています。回転式仕切弁は通常、材料貯蔵庫の出入口にフランジが付けられ、フランジが材料の入出力をします。基本的な機能原理は非常に単純です。ハウジング内のロータは電気機械的にコントロールされます。ロータ上には回転方向に平行な薄板金属が一定の角距離で取り付けられており、これがロータセルとなります。圧力と重力によって、材料は、仕切弁の入力側を通り、貯蔵庫の出力側からロータセル内に落下します。ロータの回転とその結果生じる遠心力によって、材料は仕切弁の出力側でロータセルから解放されます。バルク材の流量はロータの回転速度とセルの大きさによって正確に制御できます。より複雑な用途では、回転式仕切弁が同時にエアシールを形成します。例えば、チャンバーミルは、減圧下で使用されることも多くあります。回転式仕切弁はこの役割も担うので、空気が混じってしまうことは最小限に抑えられます。

 

設備故障や設備停止からの保護  

搬送される材料によっては、固まったり、異物が侵入したりして、ロータが固着することがあります。このような状況は必然的に始動トルクの大幅な増加につながり、歯車や仕切弁ロータの故障の原因となることがあります。これは、生産性が低下するだけでなく、故障した駆動部品を交換するために不必要なコストがかかることになります。しかしR+Wは、このような状況を完璧に防ぐことができます。安全クラッチMELS2タイプがおすすめです。

MELS2は、標準的なジョーカップリングのハブが使用されています。ハブの間には、異なるショア硬さが選択可能で、駆動被動間のミスアライメントを許容する柔軟なエラストマインサートがあります。しかし片方のハブには、予圧を与えたばねを利用したボールソケット式の安全クラッチ機能を備えており、バックラッシが発生しないようになっています。クラッチボールがカップリングの本体に支えられており、特殊な皿ばねが動力伝達の基盤となります。伝達されるトルクが設定トルク値に達すると、エンジンとギアの間の動力は、ミリ秒以内に完全に遮断されます。

カップリングの遮断トルクは、お客様のご要望に基づいてあらかじめ設定されており、調整範囲内であれば必要に応じていつでも簡単に再調整できます。様々なサイズをご用意しているため、目的に合わせて柔軟に調整が可能です。遮断トルクは、呼びトルクとタイプによって、1~から1,800N・mに対応可能です。

手動で再連結するフリーホイール型の他に、MELS2には3つの遮断タイプがあります。「原点復帰型」は遮断後、被動側にかかるトルクが許容トルク以下になると、自動的に再連結します。再連結位置は1点のみで、ちょうど360°回転したところで自動的に再連結します。インデックス型も同様に機能しますが、再連結位置は1か所ではなく60°ごとの6か所あり、オプションで30°、45°、90°、120°ごとの再連結も対応可能です。負荷保持型には、トルク過負荷が発生した際に駆動被動間が一定の角度回転後、負荷を維持する機能があります。

 

重工業分野向け安全クラッチ 

高トルク用途にはMST2をお勧めしております。原理的には、この安全クラッチは前述したものと同様の仕組みですが、200~165,000N・mの遮断トルクに対応しています。従来は、シャーピンカップリングが多く使用されていましたが、現在はMST2が制御可能な信頼性の高い緊急停止装置として動作します。また、メンテナンス費用が極めて低く、取り扱いが簡単であるというメリットがあります。設備故障により動力が遮断された後は、カップリングを元の位置に戻すだけです。カップリングに組み込まれたトルクモジュールをプラスチックハンマーで叩くと、カップリングはすぐにお使いいただけるようになります。従来のシャーピンカップリングや流体継手と比べて、ピン、オイル、特別なポンプなどの追加の消耗品は必要ありません。したがって、特別な資格のない担当者も素早く、簡単に再連結を行うことができるのです。

さらに、オプションでMELS 2とMST2は、状態をモニターすることもできます。カップリングが遮断されると、移動リングは軸方向に移動します。この機械な移動は、別途設けた近接スイッチによって検出することができます。MELS2とMST 2はコンパクトな設計にもかかわらず、過酷な環境にも対応しています。特殊ベアリング、追加シール、ハイグレード鋼、ATEX環境対応設計などのオプション機能により、この安全クラッチはあらゆる環境の駆動装置に適した安全装置となるでしょう。

最初に述べた回転式仕切弁の例についてもそうでしたが、一般的にどの遮断タイプが適切か、またどのようなオプションが必要かを判断することはできません。適切なカップリングを選択するには、メーカの経験と専門知識が頼りです。R+Wの営業担当者は世界中におり、世界中どこにいても適切な製品選定をお手伝いできます。

 

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