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MSL2|記事一覧

航空機器対応小型で効率的な安全クラッチ


軽量化、小型化、効率化といった傾向は、近年、航空宇宙産業に革命をもたらしています。先端素材と最新の生産技術を駆使したスマート軽量構造は、新たな設計・開発の理念です。このような状況の中、ドイツのクリンゲンベルグに本社を置く安全クラッチメーカー、R+Wは、航空業界向けの新しいハイテク部品の開発に取り組んでいます。小型で強力な安全クラッチによって設置スペースの大小を問わず、高精度でトルク過負荷から保護することを実現しています。


航空機・航空機器の大手メーカーから、輸送・サービス業務用の移動キャビンに搭載されるスマートリフト向け安全クラッチについて問い合わせがありました。目標は、コンパクトな設計による質量と慣性モーメントの削減です。航空機のモデルによって異なりますが、全長30mm以下、総重量200g以下で、40135Nmの遮断トルクが必要です。最終的には、この安全クラッチを最小限のスペースでシザーリフトに組み込むことになります。この航空機メーカーは、安全クラッチメーカーであるR+Wの革新的な軽量安全クラッチを選択しました。MSLPタイプの呼びトルク30が採用され、お客様の更なる条件に対応すべく仕様が変更されました。この装置はあらゆる気象条件下で使用できるように、液体や汚れから保護する密閉設計で、トルク過負荷からの保護も果たすことが必要でした。

 

軽量安全クラッチ MSLシリーズ

R+Wが技術系大学と共同で開発したMSLシリーズは、このような厳しい要求の用途に理想的な製品です。先端素材と特殊塗料を組み合わせた、軽量かつ小型で強力な設計。ボールソケットの原理により、ゼロバックラッシで安全に作動します。先端素材と特殊塗料によりMSKシリーズに比べて最大60%の軽量化を実現しています。例えば、MSLPの呼びトルク30は、トルク調整範囲は最大135Nm、質量200g、慣性モーメント0.1×10-3kgm2です。本体とフランジの特殊加工により、繰り返し精度+/-5%でミリ秒以内に反応できる安全クラッチを実現しています。MSLシリーズの安全クラッチは、許容トルクと寸法および質量の比率が世界市場においても他に類を見ないものとなっています。

 

精度向上のためのモジュール設計

特殊素材に加え、それぞれの部品をスマートに圧縮することで、寿命や精度に影響を与えることなく、さらなる軽量化を実現しました。R+Wのために開発された特殊な皿バネは、ボールソケットの原理を進化させ、トルクを最大50%強化しました。ばね荷重を利用した機構により、お客様が求める、半永久的なゼロバックラッシかつ剛性の高いカップリングが完成しました。クラッチボールは、円錐状のソケットに固定されています。特殊な特性曲線を持つ皿バネにより、瞬時に、正確にトルク過負荷から保護することを可能にします。設定した遮断トルクを超えると、安全クラッチの出番です。クラッチボールは元の位置を離れ、トルクの流れが遮断され、残留摩擦がゼロになります。クラッチボールは、対応するソケットに固定されている間は動きません。これにより、予め設定された遮断トルクに達していない、通常稼働中はクラッチボールが摩耗しないようになっています。遮断時にばね荷重は低下し、移動リングも軽量なため、摩耗は最小限にとどまります。他の摩擦クラッチに発生するような環境要因による遮断トルク値の変化は論外です。

 

4タイプの遮断方法

現在MSL軽量シリーズは標準仕様でMSLNMSLPMSL2MSLEMELSL5つのタイプを取り揃えております。お客様は取り付け方法に応じて、1軸(プーリやスプロケットなどに接続)用のクランプまたはキー締結、2軸用のクランプハブを選択可能で、後者はミスアライメントも許容します。また剛性の高い金属ベローズ形カップリングか、振動減衰性の高いエラストマ形カップリングのいずれかを選択できます。どのタイプも自動再連結対応で、原点復帰型またはインデックス型をお選びいただけます。

原点復帰型(W型)は、特殊な配列のソケットが本体側に加工されており、360°回転すると元の位置に戻ります。クラッチボールとソケットの数は、カップリングが安全に機能し、再連結後も摩耗しないように設計されています。これにより、ドライブトレインは完全に同じ速度で回転します。インデックス型(D型)も同じ原理で動作しますが、ソケットは等間隔に配置されているので、再連結は60°ごと6か所の位置で行われます。お客様の条件に応じて、工場にて連結位置を30°、45°、90°、120°に変更することも可能です。各タイプには呼びトルク3060150300のサイズがあります。遮断トルクの設定は、5700Nmまでさまざまです。

 

特殊仕様も簡単に

また、安全クラッチをニーズに合わせて個別に調整することもできます。MSLシリーズはモジュール式のため、さまざまな組み合わせが可能です。すべての安全クラッチは、クリンゲンベルク工場で指定の遮断トルク値に設定します。新しい構造により、遮断トルク値を現場で変更することもできます。トルク範囲は調整リングに目盛りで示されており、設定値を変更する際の目安になります。遮断トルク値を調整しても、製品の機能や性能に変化はありません。

カップリングを、塵埃の多い環境や液体、強力な洗浄剤などと接触する可能性のある環境で使用する場合に備え、R+Wは内部部品を密閉することを可能にしました。これは同時に、カップリングからグリースが漏れないようにする機能も果たします。この設計では、全部品がハウジングに完全に内蔵され、特殊なシールが施されます。特別に開発されたOリングは、カップリング本体に装着され、大きな移動リングで覆います。この製品は、外部からのあらゆる影響から保護し、クリーンルームでも使用できます。

 

MSLシリーズが新たな基準となる

新しい軽量安全クラッチの開発により、R+Wは駆動技術の新たな標準を打ち立てています。モジュール式の概念と柔軟な設計により、航空宇宙業界のお客様は、個々の用途に求められる条件と最大限の安全性を組み合わせることができます。軽量・小型で強力なMSLシリーズは、安全クラッチの分野に新たな1ページを開き、まったく新しい分野への適用を可能にします。

 

安全クラッチMSL2:2軸用クランプハブ10~400N・m

  • クランプリングおよびISO4762キャップスクリュ
  • ゼロバックラッシの安全クラッチと高剛性ベローズによりミスアライメント許容
  • 超軽量構造で小さな設置スペース
  • MSKシリーズと比較し最大60%軽量化
  • トルク50%アップ
  • 実証済みのボールソケットで完全なゼロバックラッシ
  • 取り付けは容易で、耐久性が高く、メンテナンス不要
  • 調整可能なトルク
  • 自動再連結(W/D型選択可能)
  • 周囲温度-30~+100°C

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高性能ドライブライン試験に不可欠な部品


自動車産業の電化がいっそう高まるにつれて、自動車試験工学分野は、高速で高トルクの電気モータを試験する必要性が急速に増加しています。騒音と振動の低減が重要視されるようになったことと相まって、ロータリ試験機の設計者は、試験機から重量、不均衡など駆動系特有の不必要な要因をこれまで以上に減らす必要性が高まっています。一般的な電気モータ用動力計の設計は、駆動モータ、カップリング、トルク計、被試験物、ブレーキモータなどの部品が最低限必要で、精密な弾性軸継手に対する必要性も高まっています。

ミシガン州デトロイトでは、ドイツのカップリングメーカーR+Wが自動車試験技術者からの技術的な課題に挑戦し、過去最高の性能を誇るカップリングを提供しています。ここでは、R+Wが材料、設計、バランスのカスタマイズによる最適化をさらに進める自動車試験技術の一例を紹介します。この案件では、非常に高い加速度でありながら、前例のないほど小さく、軽量で、慣性モーメントが低い20,000r/minの速さで750N・mまで伝達する弾性軸継手が必要になりました。

 

ぴったりの道具を

R+Wの応用エンジニアは当初から、性能的な目標を達成するには金属ベローズ形カップリングしかないと認識していました。他の精密な弾性軸継手とは異なり、金属ベローズは、回転中も非常に自然なバランスを保ち、全長は短く、同時に柔軟性も発揮する特殊な性能があります。トルクは210,000 Nmまで使用することができます。工作機械、試験機、梱包機、印刷機、繊維機械、自動化機器など変化の多い用途に採用されるのはこのためです。どんな用途にも対応できるように、素材、公差、寸法、性能など、さまざまな選択肢があらかじめ用意されています。もう1つのメリットは、ベローズの同心上に接着剤または溶接で組み付けたハブが、どのような設備にも取り付けられるようになっていることです。ミスアライメントや慣性モーメント、アンバランスを助長し大型のアダプタなしで機械に締結することができます。精密なベローズ形カップリングは、一般的にマンドレルで組み立てられます。マンドレルは、取り付け時にベローズに曲げ応力や圧縮応力を加えることなく、それぞれのハブを正確に同心上に組み付けます。これにより、機械のドライブラインに直接カップリングを取り付けることができ、性能を低下させることはありません。金属ベローズのさらなるメリットは、摩耗知らずの一体ものであることです。ベローズ形カップリングは剛性が高いので適切に取り付けられた場合、ミスアライメントがあっても、理論的には寿命は半永久的です。高速回転が求められる用途では、100時間も稼働すれば数億回転に達するため、特にメリットが感じられるでしょう。

 

最適な性能を発揮するためのカスタマイズ

この事例では、カップリングを駆動モータとフランジ付きトルク計間に設置することになっていました。モータ軸との締結はテーパーロックを使用しました。外側のクランプリングが、内部のテーパーを上に引き上げ、ハブを軸の周りで同心円上に押さえつけます。テーパー付きブッシュを使用する場合は、締め付けにばらつきがあると、カップリングが軸上で傾く可能性がありますが、クランプリングを使用すれば、取り付けミスによって傾くのはリングのみで、カップリングは軸穴の中心に保つことができるのです。最小重量と慣性モーメントの目標を達成できるように、クランプリングの材質はチタンGrade 5(ASTM規格)です。ハブの表面の周りには大きな貫通穴が配置されていますが、この穴には2つの役割があります。1つ目は、ハブの重さをより軽くすることです。そして2つ目はキャップスクリュがベローズ本体とハブを貫通し、反対側にあるトルク計のスクリュ穴に直接挿入することです。これにより、ベローズ形カップリングのフランジは極めて薄くなりました。最適な設計にするために、実際に使用するトルク計のロータをR+Wに送り、フランジの内径を研磨して軽い圧入ができるよう正確にすり合わせを行いました。これによりカップリングの軸穴から反対側のトルク計ロータまで、さらに高い同心性を確保することに成功しました。

弾性軸継手のバランスに関しては、ISOのバランス等級G1.0でこれほどの高速回転が実現可能かという問題が生じます。これに対する意見として、カップリングは柔軟な部品であることから、論理的にはこのレベルの精度でバランス取りを行うことができても、工具から取り外し、梱包し、出荷し、最終的にわずかなミスアライメントがある機械に設置すれば、実際のバランス等級は失われるというものです。バランス等級を可能な限り維持するために、この事例ではそれぞれのカップリングに、バランス調整アーバとサポートシャフトの両方として機能する専用のバランスツールを使用し、搬送中や取り扱い中にほんのわずかでもベローズが曲がるのを防ぎました。これにより、現場で取り付けを行う際、バランスツールからカップリングを慎重に取り外し、完璧な状態で接続することができました。

 

試験機向けカップリング製造におけるリーダーシップの伝統

R+W1990年の創業以来、回転試験機向けにカスタマイズされた精密カップリングや安全クラッチの設計、製造に携わってきました。その間に開発されたカップリングは、小型ベローズ形、エラストマ形、大型の板ばね形、150,000Nmまで対応可能なベローズ形カップリングなど多岐にわたります。2017年、世界最大のボールソケット式安全クラッチを製造し、最大2千万Nmの遮断トルクで洋上風力発電機用ギアボックスの試験を行いました。精密試験機向けのカップリング製造業界において、R+Wはさまざまな点で世界の技術をリードしています。業界が限界を超えていく中で、試験機メーカーと部品メーカーは、究極のカップリングを追求するために、引き続き協力していきます。

 

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駆動技術におけるカップリングの条件


部品としてのカップリングに求められるが満たすべき条件は、特殊さを増しています。駆動技術における新しい用途には、特殊なカップリングが必要です。したがって、分野に応じてカップリングを分類することがメリットとなります。


機械工学は多面的で非常に面白い分野です。従来からの機械の概念では、高い剛性や速度、短いサイクルタイムで100分の1mm単位の高精度な位置決めを必要とます。包装機械、印刷機、産業用ロボット、自動化システムなどは、このような条件が求めれられることも少なくありません。その一方で、従来の概念とまったく異なる課題に直面する場合もあります。その対象となるのが通常では考えられないほどの塵埃の蓄積、並外れた温度変化、非常に強い力などの極端な環境条件を満たさなければならない機械です。これは製鉄所や鉄工所、海洋工学、または調整・工程技術などの分野に当てはまり、正確さだけでは日々の要求に対応できません。

このような背景に対してR+Wは、設計者が世界中のどこからでも、特定の用途に合う完璧なカップリングを素早く見つけられるよう、2つの分野を設けました。「精密機器」と「重工業」の2つの分野により、上記の用途すべてのパターンに対応するカップリングをご用意しております。精度の高いカップリング界の牽引役として、R+Wはここ数年、重工業分野で飛躍的な発展を遂げてきました。R+Wは用途ありきの製品に特化しているため、今日では多くの分野で「カップリング」の代名詞となっています。それでは、様々な用途について説明します。

 

鉄鋼・非鉄金属分野 

鉄鋼・非鉄金属加工は非常に大きな分野です。この分野のお客様との取引が始まったのは20年前のことです。最初は熱間圧延鋼メーカからの、冷却ラインに新しいカップリングが欲しいという問い合わせでした。このライン上で圧延された帯鋼は、巻き取り機でコイルを形成する前に、冷却スプレーによって1,300°C超から約800°Cまで冷却します。冷却ラインは個々に制御された50以上のフィードローラからなり、これらがローラコンベアを構成しています。従来使用されていたシンプルなジョーカップリングには、ミスアライメントを許容するためにポリアミドや樹脂などが使用されていましたが、熱間圧延鋼の高い放射熱により破損することが多くありました。コストのかかる設備停止時間に加えて、取り付ける数の分だけ交換用を在庫する必要があり、余計なコストが発生していました。スペースが小さいことから、取り付け・取り外しには非常に時間がかかり、その分のコストもかかっていました。そこでR+Wは、標準のベローズ形カップリングMBK2を基にした製品を開発しました。このカップリングは、非常にダイナミックなサーボドライブと使用するために、軸のミスアライメントを許容すると同時に、トルクを伝達する際には剛性が高く、長年人気のある商品です。今回は過酷な環境に合わせるため、改良が加えられました。クランプハブは通常の高強度アルミニウム製ではなく、鋼製に変更しました。また、特殊な焼き入れ工程によって生成された酸化皮膜は、冷却水に対して腐食からの保護に優れています。ベローズが破損した場合の飛散防止機能も追加し、安全性を強化しました。ステンレス鋼ベローズがトルク過負荷や不適切な取り付け方法によって損傷を受けた場合でも、内部の固定機構により、トルクを確実に伝達することができます。これにより、倉庫の在庫と、カップリング交換に必要な設備停止時間を、年に1回の定期点検のみに減らすことができます。

 

高トルク化 

また別の例では、最大トルクまで保護することが求められました。上下ペアになった、垂直方向に調整可能なワークロールからなるシステムは、鋼板の平坦度を調整する役割を果たします。システムには30KWの電気モータを使用しており、1,150r/minで約250N・mのトルクを発生します。従来使用されていたブレーキディスク一体型のエラストマ形カップリングは、トルクをトランスファーギヤボックスの入力軸に伝達していました。これは、歯車を順番にシフトダウンさせ、ユニバーサルシャフトでギヤボックスの出力シャフトに接続された上下のワークロール間にトルクを分配します。

調整される前の鋼板の厚さは常に同じとは限らないため、ワークロールに入る前に傾きやツマリが発生することがあり、極端に大きなトルクがかかることがあります。これは週に数回の頻度で発生します。このトルクは時間の経過とともに、ユニバーサルシャフト、オイルワイパー、ロール表面などの部品に繰り返し損傷を与え、高価なギヤボックスの損傷に至ることもあります。この問題を解決するためにR+Wは、精密安全クラッチと一体化したエラストマ形カップリングを紹介しました。この安全クラッチはばねを利用したボールソケット式で、設定されたトルクに達すると、数ミリ秒以内に動力を遮断します。トルクが再び通常に戻ると、カップリングは自動的に再連結し、トルクを伝達し続けます。動力の遮断は、移動リングの移動を近接スイッチで検出することができ、すぐに機械を停止させることができます。ブレーキを保持するのに必要なブレーキディスクもカップリングに含まれています。またR+Wの技術者は、既存のカップリングを置き換えることで他の部品の修正などが発生しないように、カップリングの形状を適応させました。お客様にとっては無理のない置き換えで済み、将来的には設備の可動率が向上するでしょう。

設備の可動率を高めるという課題は、生産ラインの担当者に共通しており、自動車産業用の冷延鋼鈑メーカにも当てはまります。ある例では20年もののワークロールを使用した冷間圧延機の部品を交換する必要がありました。従来の駆動源は1,100KWの低電圧モータで、歯車形カップリングを用いて、トルクをヘリカルギヤ装置の入力軸に伝達していました。これは純粋なトランスファーギヤボックスとしてワークロールを作動させます。2本のギヤボックス出力軸とワークロールはスピンドルギヤで連結します。基本的にこのカップリングは、より大きな両軸端間距離を締結するための中間軸を備えた金属製の特殊な歯車形カップリングです。スピンドルギヤとギヤボックスの出力軸の間には、トルクリミッタの機能を持った流体継手もあり、これにより交換作業が困難であることがわかりました。故障発生後に稼働を再開させるのは複雑で、時間を要しました。カップリングの再試運転に必要な修理キットも、在庫として保管する必要がありました。これらの修理キットは高価で、必要なときに入手できないということがよくあります。ここでもR+Wが状況の改善に貢献しました。スピンドルギヤはMBXタイプの高剛性ベローズ形カップリングに置き換えられ、厳しい生産条件に対応しました。

 

歯車形カップリング一体型重工業向け安全クラッチ  

今回は流体継手をなくし、MST4タイプの安全クラッチに置き換えました。モータとギヤボックス入力間の標準的な歯車形カップリングを置き換えたため、据え付けには影響がありましたが、結果的に、大きなメリットがもたらされました。

  • 交換部品や修理キットの在庫不要
  •  安全クラッチはMST4が1つでOK
  • シンプルな操作性により、特別な技術知識のない作業者も、故障発生時に迅速かつ容易に再試運転を行うことが可能

MSTシリーズは、小型の精密分野安全クラッチと同様にボールソケット式ですが、より高い遮断トルクを実現するために独立してばね荷重を受ける複数のトルクモジュールを利用しています。タイプによっては、最大12個のトルクモジュールを取り付けることが可能です。トルクモジュールの設計は非常に単純です。焼き入れされたクラッチボールが、スクリュがついたハウジングによって軸方向に予圧を与え、皿ばねを圧縮します。クラッチボールの半分はトルクモジュールから飛び出ており、対応するソケットにセットされます。クラッチボールに作用する円周上の力が設定トルクに達すると、ボールは数ミリ秒以内にトルクモジュールのハウジング内に戻ります。ロック機構により、ボールが勝手に外へ戻ってしまうのを防ぎます。このとき、駆動被動間は切り離され、駆動系が保護されます。故障の原因が取り除かれたら、Pハンマーでトルクモジュールの背面に衝撃を加えるだけで、カップリングは再連結されます。

 

特殊仕様も簡単に

また、安全クラッチをニーズに合わせて個別に調整することもできます。MSLシリーズはモジュール式のため、さまざまな組み合わせが可能です。すべての安全クラッチは、クリンゲンベルク工場で指定の遮断トルク値に設定します。新しい構造により、遮断トルク値を現場で変更することもできます。トルク範囲は調整リングに目盛りで示されており、設定値を変更する際の目安になります。遮断トルク値を調整しても、製品の機能や性能に変化はありません。

カップリングを、塵埃の多い環境や液体、強力な洗浄剤などと接触する可能性のある環境で使用する場合に備え、R+Wは内部部品を密閉することを可能にしました。これは同時に、カップリングからグリースが漏れないようにする機能も果たします。この設計では、全部品がハウジングに完全に内蔵され、特殊なシールが施されます。特別に開発されたOリングは、カップリング本体に装着され、大きな移動リングで覆います。この製品は、外部からのあらゆる影響から保護し、クリーンルームでも使用できます。

 

より高い遮断トルク  

年を追うごとに、より高い遮断トルク値に対応する、より大型のカップリングに対する需要が増加しています。早くも2014年にR+Wは大型ギヤボックスメーカから、298kN・mの遮断トルクに対応したMSTを受注しました。そうしている間に、100万N・mの壁を超えることが出来ました。デザインの面ではまだ限界に達しておらず、将来の見通しは明るいでしょう。

時代の変化やビジネスの発展に伴い、R+Wは「精密製品分野カップリング」市場のリーダーとしての評価以上の評価を得ており、現在では「重工業分野カップリング」の高品質サプライヤーとしても認知され、競合他社にはない独自の優位性を持っています。同社の伝統的な設計に対する柔軟性は、多様な機械に精通していることと相まって、過酷な条件に耐えうる駆動技術に貢献しています。この記事で説明したような金属加工の場合も、あるいは過酷な条件下で信頼性の高いカップリングを必要とする他のさまざまな業界の場合でも、成長中の重工業分野は、精密製品分野と同様に、適切なカップリングが見つかる可能性がますます高くなっています。

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R+Wの安全クラッチとガスパイプラインとの関係


大きな設備は、些細なことで大きな違いが生まれます。例えば鋼管メーカーのユーロパイプでは、ゼロバックラッシの安全クラッチが活躍しています。ミュールハイムを拠点とするユーロパイプは、SalzgitterグループとDillinger製鉄所の合弁企業です。二交替制で操業しており、洋上で採掘したガスを輸送するための大口径パイプを1日に最大500本製造しています。長手方向に溶接されたパイプは、直径が約0.6~1.50m、長さが12~18mです。


オーナーから供給される原料は、高強度できめの細かい建築用鋼材である厚板をあらかじめ圧延したものです。製造される最終製品にもよりますが、厚板の重さは最大15トン、厚さは10~40mmです。

厚板は、最終的には、6万トンの出力量を持つ大型プレス機を用いてパイプ状に成形し、裏側、表側の順に長手方向に溶接します。大きさと精度など、正確につき合わせることができるかどうかは厚板の準備段階が勝負です。厚板が曲げプレスに到達する前に、厚板の両端を長手方向に研ぐ必要があります。ローラが厚板を調整テーブルに搬送し、そこで厚板を定位置にクランプします。次に、平削り盤がテーブルの上の厚板の両側に沿って移動し、必要な寸法にフチを調整するのと同時に、次の溶接工程に適した形状に備えます。

平削り盤の重量は約40トンで、4つの132kWモータで動きます。この動力は減速機となるプラネタリギヤに伝達され、プラネタリギヤにはラックにつながるピニオンギヤがつながっています。ここで、R+Wが登場します。R+Wの精密カップリングは、モータとギヤの間を接続します。MSK2/1500は、ゼロバックラッシのトルク伝達用カップリングです。このカップリングは、組み立ての結果生じるモータとギヤシャフト間のミスアライメントをベローズで許容します。ベローズは、偏心、偏角、エンドプレイを許容するために柔軟性がありますが、回転方向に対しては剛性があります。これにより、平削り盤の位置検出に重要な、トルク伝達時の角度の精度が確保されます。軸はクランプハブによって半径方向に固定するスクリュを用い、摩擦力で締結します。お客様の必要に応じてキー溝を追加すれば、軸締結力が向上します。

カップリングは、ドライブトレインを保護する上でより力が試される、第2の役割も担っています。平削り盤は、厚板に沿って65m/分の速度で移動します。最大厚さ9mmの金属を除去するため、各工程で最大25kgの切粉が排出されます。機械の位置決めが正確でないと、刃物が必要以上に厚板の奥まで貫通し、トルクが急激に上昇してしまいます。理論的には、これは制御装置によって検出できます。しかし実際に故障が発生したとき、制御装置が求められる時間内に移動する物体の力に対抗するのにできることは何もありません。その結果、駆動部品は故障し、高額な修繕費だけでなく、生産停止によるコストも発生します。R+Wのカップリングには、トルク過負荷が発生した場合に、数ミリ秒以内に動力を完全に遮断する、特別な安全機能が含まれています。カップリングの内部では、精度の高い特殊な皿ばねを使用してクラッチボールに予圧が与えられています。これにより、ゼロバックラッシの状態で必要なトルクを確実に伝達することができます。ぴったり1,100N・mという設定トルクに到達するとすぐに、ボールは定位置から移動します。これにより連結が解除され、トルクが遮断されます。

機械的なこの仕組みは、ギヤと平削り盤の特殊な刃物の両方をトルク過負荷から効率的に保護します。

装置は1976年から使用されており、この間いたるところをオーバーホールし、改善を図ってきました。ボールソケット式の安全クラッチを採用する前は、トルク過負荷からの保護装置として流体継手を使用していました。この背景と比較しても、R+W製品のメリットは明らかです。まずは取り扱いが非常に簡単です。部品を交換し、ポンプとオイルを使用してカップリングを再び稼働できる状態にする代わりに、遮断後、フリーホイール型の安全クラッチを再連結するのに必要な工具は1つだけです。

さらにR+Wの安全クラッチはトルクを確実に伝達し、設定トルクに達したときのみ遮断することからわかるように、極めて優れた精度を誇っています。ほとんどの駆動装置と同様に、平削り盤の駆動装置の約20mにも及ぶラックは、複数の部分で構成されています。平削り盤がそれぞれの部分のフチを通過するたびに、わずかな障害が発生し、駆動装置には負荷がかかります。4つのモータが、マスタ/スレーブ方式で接続されるので、3つのモータは、残りの1つのモータが制御し、より多くの電力を供給します。出力の急激な増加は、トルクサージを引き起こします。サージが発生した際、流体継手にはわずかなすべりが発生していました。制御装置が複雑なため、特に位置検出に関しては、駆動部品は定期的に複雑な校正が必要でしたがR+W製品の信頼性の高いトルク伝達により、校正は必要なくなりました。

これは、R+Wが些細な事で大きな変化をもたらすことができるということを示しています。永い製品寿命、稼働中の高い信頼性、低コストを実現したR+W製品は、文句なしの成功を収めています。

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