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ギヤポンプの保護


ギヤポンプは、ハウジング内で回転する2つのインボリュート歯車の外周を通して液体を搬送するために使用されます。液体の流量は、歯車の速度によって制御されます。R+Wが開発した特殊な安全クラッチは、ポンプ内に異物が入ってツマリが発生した場合にギヤの損傷を防ぎます。


ギヤポンプを使用して、粘性のある (ゴム状に近い) 液体を搬送するお客様から問い合わせがありました。この液体は、固まるのを防ぐため、高温で搬送する必要があります。また、この液体は、金属片などの異物によって汚染されることが多く、金属探知機が設置されていますが、必ずしもポンプ内への進入を防ぐことができるとは限りません。これらの固形物がポンプに入ると、詰まりを起こして歯車を損傷し、費用のかかる修理につながります。

 

ツマリが発生すると

この製造工程では、液体が均質な状態で搬送されることが不可欠です。固形物が詰まって修理が必要な場合は、まずシステムを冷却する必要があります。それまではポンプを分解することはできません。しかし、搬送中の液体が冷却中に固化すると、ポンプの内部を洗浄する工程は複雑になり手間がかかります。つまり、生産ラインは数時間にわたって停止するため、設備停止によるコストは膨大になります。もしこの工程で部品が破損すれば、高価なギヤ本体の費用に加えて、さらに費用がかさむことになります。ギヤは特殊品であることもあり、納期は長く、その分価格も高くなります。

R+Wの安全クラッチは、このような用途や課題にとって有効な投資であることが証明されています。このポンプにはMST4タイプの(図1)安全クラッチを選定しました。MST4には重工業分野向け安全クラッチの両側に歯車形カップリングがついており、モータとギヤポンプの間に取り付けられます。耐久性の高いMST4歯車形カップリングは、小さなサイズで大きなトルクを伝達しながら、軸のミスアライメントを許容します。最も重要なのは、安全クラッチを使用すれば、ギヤポンプの損傷も防止できるということです。固形物によるトルク過負荷を防ぐ場合、あらかじめ設定されたトルク値でカップリングを遮断し、モータとギヤポンプを切り離します。

モジュール構造により、1サイズにつき3段階のトルク調整範囲を設定できます。つまり、1つの製品で様々な用途に対応できるのです。また、トルクモジュール(図2)はカップリングの外側から容易に脱着できるため、カップリングを取り外すことなく調整範囲を変更することができます。この用途では、トルク調整範囲1.2~4.0 kN・m、遮断トルク2.27 kN・m、外径は220mm、全長は350mmでした。

 

広範囲にわたり連続してトルクを調整 

すべてのトルクモジュールには、お客様指定荷重と、最小値および最大値を示すマーキングが付いています。この用途では、お客様が調整ナットを用いて遮断トルク値を容易に調整できるように、特殊な目盛りも追加しました。トルクモジュールは、ご要望に応じて調整できないタイプも選択いただけます。

この案件では、安全クラッチを使用することで著しく性能が改善しました。カップリングは、そもそもツマリが発生することそのものを防ぐことはできませんが、高価な歯車の損傷を防ぎ、設備の停止時間を大幅に減らすことができます。そのためお客様は、初めて遮断が発生した時点で、その費用対効果を実感することになるでしょう。

MSTシリーズの安全クラッチは、1軸および2軸用に様々な仕様とサイズがあり、200~25万N・mの遮断トルクに対応可能です。条件によっては、100万N・mを超えるような特殊な製品もご用意しております。

 

歯車形カップリングのメリット 

歯車形カップリングは、MST4のように安全クラッチと組み合わせて使用できるだけではありません。MBZシリーズの歯車形カップリングは、純粋なカップリングとして208万N・mまで対応しています。例えば、キー締結またはしまりばめによる締結が可能な軸穴を備えたコンパクトなタイプ(図3)や、スペーサの長さが選択可能なタイプ(図4)も選択可能です。

MBZシリーズの歯車形カップリングは、小さなバックラッシと高い剛性でトルクを伝達します。理想的なトルク伝達を保証するために、ハブ側とフランジ側の両方の歯車が高精度の歯車加工機で製造されています。これによって偏心、偏角、エンドプレイを許容することが可能になります。最適な本体に最適な歯数のインボリュート歯車の形状になっており、歯車形カップリングは、従来の他社製同等品よりも効率的で耐久性に優れています。歯車のかみ合い率が高いことにより歯にかかる負荷は低く、同じ空間でもより高いトルクを伝達し、キーを2か所用いることでさらに高い出力密度を実現できます。特に条件の厳しい用途の場合、同じサイズで許容トルクを45%アップすることができる代替材料もご用意しております。MBZシリーズの設計は、全体的な摩耗を防ぐだけでなく、永くお使いいただけるようになっています。

 

取り付けは簡単で、柔軟性が高く、頻繁なメンテナンスも不要 

出力密度の強みに加えて、MBZシリーズが魅力的な選択肢であるのには、その他多くの機能が挙げられます。オプションでシールを追加することにより、必要な高性能グリースを長期間保ち、メンテナンス頻度を低減できます。また、MBZシリーズの取り付け、組み立てには細目ねじが使用されており、締め付けトルクは小さく、取り付けが容易です。このシリーズのさらなるメリットは、追加のブレーキディスクや延長ハブ、またはハブを反転させDBSEを広げるなど、お客様の条件に合う無数の特殊仕様は言うまでもなく、その汎用性の高さでしょう。ご要望に応じてその他のオプションもご用意しております。特別な条件がある場合には、ご相談ください。

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駆動技術におけるカップリングの条件


部品としてのカップリングに求められるが満たすべき条件は、特殊さを増しています。駆動技術における新しい用途には、特殊なカップリングが必要です。したがって、分野に応じてカップリングを分類することがメリットとなります。


機械工学は多面的で非常に面白い分野です。従来からの機械の概念では、高い剛性や速度、短いサイクルタイムで100分の1mm単位の高精度な位置決めを必要とます。包装機械、印刷機、産業用ロボット、自動化システムなどは、このような条件が求めれられることも少なくありません。その一方で、従来の概念とまったく異なる課題に直面する場合もあります。その対象となるのが通常では考えられないほどの塵埃の蓄積、並外れた温度変化、非常に強い力などの極端な環境条件を満たさなければならない機械です。これは製鉄所や鉄工所、海洋工学、または調整・工程技術などの分野に当てはまり、正確さだけでは日々の要求に対応できません。

このような背景に対してR+Wは、設計者が世界中のどこからでも、特定の用途に合う完璧なカップリングを素早く見つけられるよう、2つの分野を設けました。「精密機器」と「重工業」の2つの分野により、上記の用途すべてのパターンに対応するカップリングをご用意しております。精度の高いカップリング界の牽引役として、R+Wはここ数年、重工業分野で飛躍的な発展を遂げてきました。R+Wは用途ありきの製品に特化しているため、今日では多くの分野で「カップリング」の代名詞となっています。それでは、様々な用途について説明します。

 

鉄鋼・非鉄金属分野 

鉄鋼・非鉄金属加工は非常に大きな分野です。この分野のお客様との取引が始まったのは20年前のことです。最初は熱間圧延鋼メーカからの、冷却ラインに新しいカップリングが欲しいという問い合わせでした。このライン上で圧延された帯鋼は、巻き取り機でコイルを形成する前に、冷却スプレーによって1,300°C超から約800°Cまで冷却します。冷却ラインは個々に制御された50以上のフィードローラからなり、これらがローラコンベアを構成しています。従来使用されていたシンプルなジョーカップリングには、ミスアライメントを許容するためにポリアミドや樹脂などが使用されていましたが、熱間圧延鋼の高い放射熱により破損することが多くありました。コストのかかる設備停止時間に加えて、取り付ける数の分だけ交換用を在庫する必要があり、余計なコストが発生していました。スペースが小さいことから、取り付け・取り外しには非常に時間がかかり、その分のコストもかかっていました。そこでR+Wは、標準のベローズ形カップリングMBK2を基にした製品を開発しました。このカップリングは、非常にダイナミックなサーボドライブと使用するために、軸のミスアライメントを許容すると同時に、トルクを伝達する際には剛性が高く、長年人気のある商品です。今回は過酷な環境に合わせるため、改良が加えられました。クランプハブは通常の高強度アルミニウム製ではなく、鋼製に変更しました。また、特殊な焼き入れ工程によって生成された酸化皮膜は、冷却水に対して腐食からの保護に優れています。ベローズが破損した場合の飛散防止機能も追加し、安全性を強化しました。ステンレス鋼ベローズがトルク過負荷や不適切な取り付け方法によって損傷を受けた場合でも、内部の固定機構により、トルクを確実に伝達することができます。これにより、倉庫の在庫と、カップリング交換に必要な設備停止時間を、年に1回の定期点検のみに減らすことができます。

 

高トルク化 

また別の例では、最大トルクまで保護することが求められました。上下ペアになった、垂直方向に調整可能なワークロールからなるシステムは、鋼板の平坦度を調整する役割を果たします。システムには30KWの電気モータを使用しており、1,150r/minで約250N・mのトルクを発生します。従来使用されていたブレーキディスク一体型のエラストマ形カップリングは、トルクをトランスファーギヤボックスの入力軸に伝達していました。これは、歯車を順番にシフトダウンさせ、ユニバーサルシャフトでギヤボックスの出力シャフトに接続された上下のワークロール間にトルクを分配します。

調整される前の鋼板の厚さは常に同じとは限らないため、ワークロールに入る前に傾きやツマリが発生することがあり、極端に大きなトルクがかかることがあります。これは週に数回の頻度で発生します。このトルクは時間の経過とともに、ユニバーサルシャフト、オイルワイパー、ロール表面などの部品に繰り返し損傷を与え、高価なギヤボックスの損傷に至ることもあります。この問題を解決するためにR+Wは、精密安全クラッチと一体化したエラストマ形カップリングを紹介しました。この安全クラッチはばねを利用したボールソケット式で、設定されたトルクに達すると、数ミリ秒以内に動力を遮断します。トルクが再び通常に戻ると、カップリングは自動的に再連結し、トルクを伝達し続けます。動力の遮断は、移動リングの移動を近接スイッチで検出することができ、すぐに機械を停止させることができます。ブレーキを保持するのに必要なブレーキディスクもカップリングに含まれています。またR+Wの技術者は、既存のカップリングを置き換えることで他の部品の修正などが発生しないように、カップリングの形状を適応させました。お客様にとっては無理のない置き換えで済み、将来的には設備の可動率が向上するでしょう。

設備の可動率を高めるという課題は、生産ラインの担当者に共通しており、自動車産業用の冷延鋼鈑メーカにも当てはまります。ある例では20年もののワークロールを使用した冷間圧延機の部品を交換する必要がありました。従来の駆動源は1,100KWの低電圧モータで、歯車形カップリングを用いて、トルクをヘリカルギヤ装置の入力軸に伝達していました。これは純粋なトランスファーギヤボックスとしてワークロールを作動させます。2本のギヤボックス出力軸とワークロールはスピンドルギヤで連結します。基本的にこのカップリングは、より大きな両軸端間距離を締結するための中間軸を備えた金属製の特殊な歯車形カップリングです。スピンドルギヤとギヤボックスの出力軸の間には、トルクリミッタの機能を持った流体継手もあり、これにより交換作業が困難であることがわかりました。故障発生後に稼働を再開させるのは複雑で、時間を要しました。カップリングの再試運転に必要な修理キットも、在庫として保管する必要がありました。これらの修理キットは高価で、必要なときに入手できないということがよくあります。ここでもR+Wが状況の改善に貢献しました。スピンドルギヤはMBXタイプの高剛性ベローズ形カップリングに置き換えられ、厳しい生産条件に対応しました。

 

歯車形カップリング一体型重工業向け安全クラッチ  

今回は流体継手をなくし、MST4タイプの安全クラッチに置き換えました。モータとギヤボックス入力間の標準的な歯車形カップリングを置き換えたため、据え付けには影響がありましたが、結果的に、大きなメリットがもたらされました。

  • 交換部品や修理キットの在庫不要
  •  安全クラッチはMST4が1つでOK
  • シンプルな操作性により、特別な技術知識のない作業者も、故障発生時に迅速かつ容易に再試運転を行うことが可能

MSTシリーズは、小型の精密分野安全クラッチと同様にボールソケット式ですが、より高い遮断トルクを実現するために独立してばね荷重を受ける複数のトルクモジュールを利用しています。タイプによっては、最大12個のトルクモジュールを取り付けることが可能です。トルクモジュールの設計は非常に単純です。焼き入れされたクラッチボールが、スクリュがついたハウジングによって軸方向に予圧を与え、皿ばねを圧縮します。クラッチボールの半分はトルクモジュールから飛び出ており、対応するソケットにセットされます。クラッチボールに作用する円周上の力が設定トルクに達すると、ボールは数ミリ秒以内にトルクモジュールのハウジング内に戻ります。ロック機構により、ボールが勝手に外へ戻ってしまうのを防ぎます。このとき、駆動被動間は切り離され、駆動系が保護されます。故障の原因が取り除かれたら、Pハンマーでトルクモジュールの背面に衝撃を加えるだけで、カップリングは再連結されます。

 

特殊仕様も簡単に

また、安全クラッチをニーズに合わせて個別に調整することもできます。MSLシリーズはモジュール式のため、さまざまな組み合わせが可能です。すべての安全クラッチは、クリンゲンベルク工場で指定の遮断トルク値に設定します。新しい構造により、遮断トルク値を現場で変更することもできます。トルク範囲は調整リングに目盛りで示されており、設定値を変更する際の目安になります。遮断トルク値を調整しても、製品の機能や性能に変化はありません。

カップリングを、塵埃の多い環境や液体、強力な洗浄剤などと接触する可能性のある環境で使用する場合に備え、R+Wは内部部品を密閉することを可能にしました。これは同時に、カップリングからグリースが漏れないようにする機能も果たします。この設計では、全部品がハウジングに完全に内蔵され、特殊なシールが施されます。特別に開発されたOリングは、カップリング本体に装着され、大きな移動リングで覆います。この製品は、外部からのあらゆる影響から保護し、クリーンルームでも使用できます。

 

より高い遮断トルク  

年を追うごとに、より高い遮断トルク値に対応する、より大型のカップリングに対する需要が増加しています。早くも2014年にR+Wは大型ギヤボックスメーカから、298kN・mの遮断トルクに対応したMSTを受注しました。そうしている間に、100万N・mの壁を超えることが出来ました。デザインの面ではまだ限界に達しておらず、将来の見通しは明るいでしょう。

時代の変化やビジネスの発展に伴い、R+Wは「精密製品分野カップリング」市場のリーダーとしての評価以上の評価を得ており、現在では「重工業分野カップリング」の高品質サプライヤーとしても認知され、競合他社にはない独自の優位性を持っています。同社の伝統的な設計に対する柔軟性は、多様な機械に精通していることと相まって、過酷な条件に耐えうる駆動技術に貢献しています。この記事で説明したような金属加工の場合も、あるいは過酷な条件下で信頼性の高いカップリングを必要とする他のさまざまな業界の場合でも、成長中の重工業分野は、精密製品分野と同様に、適切なカップリングが見つかる可能性がますます高くなっています。

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弊社では誠に勝手ながら、下記の期間を休業とさせていただきます。
何卒、ご了承のほど、よろしくお願い申し上げます。


期間 平成29年8月11日(金)~16日(水)

8月17日(木)より通常通りの営業となります。

白と黒で時代の流れに乗る


R+Wはこの1年で明確な差別化を図っており、ハノーバーメッセでは、白と黒に分けて展示しました。白は精密製品分野、黒は重工業分野を表しています。代表のFrank Kronmüllerは「当社の専門化戦略は、カップリング部品に対する要求がより特殊になるにつれて必然的なものでした。駆動技術における新たな用途の数は増え続けており、特殊なカップリングが必要とされています。これは、どのシリーズにおいてもかなり特殊な製品を求められていることから明らかでしょう。」と説明しています。


ハノーバーメッセで注目されていたのはエネルギー分野でした。この分野では、大規模な発電所による一方的な供給から、消費者と生産者の相互ネットワークへと、市場が大きく変化しています。消費者は生産者にもなり、その逆の場合もあるでしょう。「統合エネルギー」への傾向は、展示会でのメイントピックの1つです。バイオガスプラント、マイクロガスタービン、風力、水力による発電などにはすべて、適切なカップリングが必要です。

 

エネルギー分野の事例  

例えば風力発電の場合、いわゆるピッチ制御システムは、ロータブレードの傾斜(ピッチ角)を測定し、監視し、制御することで、風の状態が変化にしても一貫した能力を発揮することができます。正確な位置決めには、ゼロバックラッシでメンテナンス不要のベローズ形カップリングが使用され、正確な位置決め、高い再現性、信頼性の高いトルク伝達を組み合わせています。R+Wは、MBK2シリーズを基に大型洋上風力発電所向けの特殊品を開発しました。外洋での厳しい環境条件に耐えることができるように、鋼製のハブには特殊な表面仕上げを施しており、ハブとベローズは溶接で接合されています。

カップリングはバイオガスプラントでも活躍しています。メタンがガスエンジンに送り込まれ、レシプロエンジンで発電します。このバイオガス基質は、前処理の破砕工程において、石などの固体粒子の不純物が混ざり、システムにコストのかかる損傷をもたらすことがあります。そこで、信頼性の高い保護装置として、振動減衰および衝撃吸収が可能なエラストマ形カップリング付き安全クラッチをご提案しました。例えば駆動被動間を接続するためにMELS2シリーズを実際に使用しました。さまざまなショア硬さが選択できるエラストマインサートは、あらゆるミスアライメントを許容し、用途に応じた振動や衝撃を吸収します。固形物によってツマリが生じ、結果としてトルク過負荷が生じた場合、あらかじめ設定された遮断トルクによって、カップリングは、ばねを利用したボールソケット式の機構により、数ミリ秒以内にエンジンとロータを遮断します。これにより損傷を防止し、設備停止時間を短縮します。

3つ目の例はマイクロガスタービンです。分散型発電設備で使用されることが多く、高負荷に曝されることも少なくありません。あるプロジェクトでは、小型ベローズ形カップリングが年間を通じて常に10N・m、7万r/minの速度で確実に作動する必要がありました。R+Wでは、MK 2/100を基に、特殊なベローズによって必要な安全マージンを確保し、ベアリングの損傷がない限り工程内で発生する復元力を低減する特殊な製品を開発しました。標準品の約4倍のトルク過負荷に耐え、作業者に十分な信頼性をもたらすでしょう。

 

自動化の精度 

ハノーバーメッセで注目され続けているもう1つのトピックは自動化です。高度に自動化された工業製品の生産ラインには、ガントリーローダーや産業用ロボットなどに正確なモーションシステムが必要です。ダイナミックな多関節ロボットは、多くの生産ラインにおいてサイクルタイムの短縮に貢献しています。これには、速度、精度、加速度など、高い要求に対応するように設計された駆動部品が必要です。

R+Wは、MELシリーズのエラストマ形カップリングを、産業用ロボットなどの用途向けに開発しました。伸縮性のあるエラストマインサートは、高い柔軟性と優れた強度を同時に実現します。振動や衝撃の減衰効果を持ち、軸のミスアライメントを許容することができます。

エラストマ形カップリングの設計には多くの条件が関わります。荷重、起動、温度要因は、エラストマインサートの耐久性に影響します。インサートは、様々なショア硬さが選択できるため、振動減衰性、剛性、ミスアライメント許容において、ほぼすべての用途に対して適切な解決策が見つかるでしょう。位置決め精度が優先される場合には、ベローズ形カップリングを選択することもできます。R+Wの設計者は、適切なカップリングをおすすめできるように経験を積んでいます。

 

カップリング業界のインダストリー4.0  

自動化と密接に関連しているデジタル化は以前から注目を集めており、無人化による自動化レベルの向上に伴い、精密な作動部品や機能的な安全対策が求められています。インダストリー4.0の時代には、カップリングは生産性を向上させる重要な役割を担い、必要な安全性を確保することができます。

Kronmüllerは「最新の自動化生産ラインでは、考え抜かれたデジタル戦略「インダストリー4.0」でも、カップリングは重要な部品として残っています。これはトルク伝達だけではなく、安全装置としての役割も担います。」と強調します。例えば、機械式安全クラッチが有利な点は、駆動系を遮断するまでの速度であり、これは、電子式あるいはセンサによる手段を大きく上回り、不具合も発生しにくいことが挙げられます。

「電子制御によって遮断する場合には、少なくとも15~17ミリ秒かかります。安全クラッチは3~5ミリ秒以内に反応するため、勝者は明らかです。さらに、センサは不具合の原因となることがあるため、意図せぬ作動停止をしないよう定期的に確認する必要があります。」1つの軸に対して必要なのは1つの安全クラッチだけで、容易に調整ができ、さまざまな取り付け方法に対応しています。「これはカップリングの大きなメリットとなるでしょう。」とKronmüllerは述べています。

R+Wはお客様の生産ラインのデジタル化をサポートしたいと考えており、常に新しい用途を探しています。同時に、標準品についてもできる限り多くの用途に対応できるよう、既存の製品ラインナップを編成し直し、拡大しました。サイズの整理と部分的な再設計により、R+Wは今後の傾向に十分対応できると考えています。

 

ハノーバーメッセについて

「私たちにとって、ハノーバーメッセには2つの目的があります。1つは当然、私たちの技術と製品を紹介し、新しいお客様に良い印象を持ってもらいたいと思っています。これが展示会の最重要点です。もう1つは、ここで紹介されているトレンドとイノベーションです。市場の方向性や、どのような用途に対応する必要があるかを見極める良い指標となります。展示会では、当社の製品を使用することにより改善可能な技術を体験できます。これはとても刺激的なイベントです。」—Frank Kronmüller

カップリングを、塵埃の多い環境や液体、強力な洗浄剤などと接触する可能性のある環境で使用する場合に備え、R+Wは内部部品を密閉することを可能にしました。これは同時に、カップリングからグリースが漏れないようにする機能も果たします。この設計では、全部品がハウジングに完全に内蔵され、特殊なシールが施されます。特別に開発されたOリングは、カップリング本体に装着され、大きな移動リングで覆います。この製品は、外部からのあらゆる影響から保護し、クリーンルームでも使用できます。

 

製品ラインナップの方針 

「カップリングは繋げるのになくてはならない存在です。しかし、本当にカップリングが特別な存在であり、差別化されているところは、付加的な機能の部分です。R+Wではお客様と密に連携し、特殊な用途向けの製品を実現しています。これらの特殊品は、技術的な観点において常に一歩先を行くものであり、市場のニーズに応えるものであるため、私たちとしても高く評価しています。特殊品の開発により得られた知識は、標準シリーズに順次展開され、多くのお客様にメリットをもたらします。どちらも当社にとって重要ですので、将来的には特定のカップリングを指定する必要はありません。」—Frank Kronmüller

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弊社では、ゴールデンウィーク中、カレンダー通りの日程で休業とさせていただきます。
何卒ご了承の程、よろしくお願い申し上げます。

平成29年4月29日(土)~4月30日(日)
5月3日(水)~5月7日(日)

※ 5月1・2日は通常通りの営業となります。

R+Wの安全クラッチとガスパイプラインとの関係


大きな設備は、些細なことで大きな違いが生まれます。例えば鋼管メーカーのユーロパイプでは、ゼロバックラッシの安全クラッチが活躍しています。ミュールハイムを拠点とするユーロパイプは、SalzgitterグループとDillinger製鉄所の合弁企業です。二交替制で操業しており、洋上で採掘したガスを輸送するための大口径パイプを1日に最大500本製造しています。長手方向に溶接されたパイプは、直径が約0.6~1.50m、長さが12~18mです。


オーナーから供給される原料は、高強度できめの細かい建築用鋼材である厚板をあらかじめ圧延したものです。製造される最終製品にもよりますが、厚板の重さは最大15トン、厚さは10~40mmです。

厚板は、最終的には、6万トンの出力量を持つ大型プレス機を用いてパイプ状に成形し、裏側、表側の順に長手方向に溶接します。大きさと精度など、正確につき合わせることができるかどうかは厚板の準備段階が勝負です。厚板が曲げプレスに到達する前に、厚板の両端を長手方向に研ぐ必要があります。ローラが厚板を調整テーブルに搬送し、そこで厚板を定位置にクランプします。次に、平削り盤がテーブルの上の厚板の両側に沿って移動し、必要な寸法にフチを調整するのと同時に、次の溶接工程に適した形状に備えます。

平削り盤の重量は約40トンで、4つの132kWモータで動きます。この動力は減速機となるプラネタリギヤに伝達され、プラネタリギヤにはラックにつながるピニオンギヤがつながっています。ここで、R+Wが登場します。R+Wの精密カップリングは、モータとギヤの間を接続します。MSK2/1500は、ゼロバックラッシのトルク伝達用カップリングです。このカップリングは、組み立ての結果生じるモータとギヤシャフト間のミスアライメントをベローズで許容します。ベローズは、偏心、偏角、エンドプレイを許容するために柔軟性がありますが、回転方向に対しては剛性があります。これにより、平削り盤の位置検出に重要な、トルク伝達時の角度の精度が確保されます。軸はクランプハブによって半径方向に固定するスクリュを用い、摩擦力で締結します。お客様の必要に応じてキー溝を追加すれば、軸締結力が向上します。

カップリングは、ドライブトレインを保護する上でより力が試される、第2の役割も担っています。平削り盤は、厚板に沿って65m/分の速度で移動します。最大厚さ9mmの金属を除去するため、各工程で最大25kgの切粉が排出されます。機械の位置決めが正確でないと、刃物が必要以上に厚板の奥まで貫通し、トルクが急激に上昇してしまいます。理論的には、これは制御装置によって検出できます。しかし実際に故障が発生したとき、制御装置が求められる時間内に移動する物体の力に対抗するのにできることは何もありません。その結果、駆動部品は故障し、高額な修繕費だけでなく、生産停止によるコストも発生します。R+Wのカップリングには、トルク過負荷が発生した場合に、数ミリ秒以内に動力を完全に遮断する、特別な安全機能が含まれています。カップリングの内部では、精度の高い特殊な皿ばねを使用してクラッチボールに予圧が与えられています。これにより、ゼロバックラッシの状態で必要なトルクを確実に伝達することができます。ぴったり1,100N・mという設定トルクに到達するとすぐに、ボールは定位置から移動します。これにより連結が解除され、トルクが遮断されます。

機械的なこの仕組みは、ギヤと平削り盤の特殊な刃物の両方をトルク過負荷から効率的に保護します。

装置は1976年から使用されており、この間いたるところをオーバーホールし、改善を図ってきました。ボールソケット式の安全クラッチを採用する前は、トルク過負荷からの保護装置として流体継手を使用していました。この背景と比較しても、R+W製品のメリットは明らかです。まずは取り扱いが非常に簡単です。部品を交換し、ポンプとオイルを使用してカップリングを再び稼働できる状態にする代わりに、遮断後、フリーホイール型の安全クラッチを再連結するのに必要な工具は1つだけです。

さらにR+Wの安全クラッチはトルクを確実に伝達し、設定トルクに達したときのみ遮断することからわかるように、極めて優れた精度を誇っています。ほとんどの駆動装置と同様に、平削り盤の駆動装置の約20mにも及ぶラックは、複数の部分で構成されています。平削り盤がそれぞれの部分のフチを通過するたびに、わずかな障害が発生し、駆動装置には負荷がかかります。4つのモータが、マスタ/スレーブ方式で接続されるので、3つのモータは、残りの1つのモータが制御し、より多くの電力を供給します。出力の急激な増加は、トルクサージを引き起こします。サージが発生した際、流体継手にはわずかなすべりが発生していました。制御装置が複雑なため、特に位置検出に関しては、駆動部品は定期的に複雑な校正が必要でしたがR+W製品の信頼性の高いトルク伝達により、校正は必要なくなりました。

これは、R+Wが些細な事で大きな変化をもたらすことができるということを示しています。永い製品寿命、稼働中の高い信頼性、低コストを実現したR+W製品は、文句なしの成功を収めています。

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弊社では誠に勝手ながら、下記の期間を休業とさせていただきます。
何卒ご了承の程、よろしくお願い申し上げます。

期間 平成28年12月29日(木)~平成29年1月5日(木)

※ 平成28年12月28日(水)の出荷業務は午前中までとさせていただきます。
平成29年1月6日(金)より平常業務となります。

厳しい条件のための特殊品


ロール成形機は、平面鋼板を加工して、目的の断面形状を成形します。鋼板は、ギヤモータで駆動されるロールを通過します。R+Wの耐久性の高いカップリングにより、駆動装置とロールを接続します。


ロール成形機は、帯鋼や鋼板から断面形状を成形するのに使用します。自動車、家具、建設業、一般的なエンジニアリングなど、多くの業種でロール成形機による成形品が使用されています。代表的な製品としては、建設用足場、ガードレール、スチールラック、引き出しのスライドレールなどがあります。

他の成形方法と比べて、ロール成形は柔軟性と費用対効果が飛び抜けています。生産速度は200m/分にのぼり、特に大量生産に適しています。通常の圧延とは異なり、金属の厚さはほぼ一定に保たれます。しかしツールの配置方法は、通常の圧延にもロール成形にも共通しています。対になったロールが、工程を踏んで連続的に成形します。従来の圧延機と同様に、鋼板は回転する装置によって引き抜かれ、ロール成形機によって、必要な曲げ工程を経て、最終的な形状に加工されます。

最近ますます重要になってきていることですが、品質と工程の安定性を均一に保つためには、使用する駆動装置の信頼性と再現性が高いことが不可欠です。ドイツのカップリングメーカーR+Wは、鉄鋼業界で長年の経験があり、厳しい条件を満たす幅広い種類のカップリングをご用意しています。

 

ミルスタンドは設置スペースに大きく影響します 

アジアにある大規模なロール成形工場では、2つの曲げ工程を有するシステムの導入が計画されていました。スタンド上のロールを、連続して接続されたギヤモータに結合するためには、それぞれの圧延機に精密カップリングが必要でした。カップリングの寸法はミルスタンドの条件に基づき、外径200 mm、全長145 mm以下である必要がありました。コンパクトなサイズにもかかわらず、2,000N・mのトルクを伝達し、十分な安全マージンも必要でした。その結果カップリングは、最大加速トルク3100N・m、最大トルク5,500N・mまで対応する必要がありました。

R+Wの技術者は、これらの条件を満たす製品として、MBK8/1500ベローズ形カップリング(図1)を基に特別な設計により、必要な特性をすべて備えたカップリングを開発しました。この特別に設計されたステンレス製ベローズによって、カップリングの出力密度は実質的に3倍にもなりました。全長144 mm、外径190 mmのカップリングはこの用途にとって完璧な製品でした。MBK 8タイプは、ギヤと直接接続するために開発された、ゼロバックラッシの高剛性ベローズ形カップリングです。コンパクトなこのタイプは、もともとロボットギヤ向けに考案されました。これによって、駆動側と被動側を接続しながら回転方向の剛性を維持し、ミスアライメントも許容します。金属製のベローズは復元力が低く、偏心、偏角、エンドプレイを許容します。歯車との接続には、フランジを使用します。耐摩耗性が高く耐久性に優れ、高速でも確実なトルク伝達を実現します。

 

様々なタイプのカップリング  

金属加工の分野では様々なカップリングが使用されています。ある案件では、重工業分野安全クラッチMST 1の特殊品が選定されました。その時の条件は、偏心、偏角、エンドプレイを許容しながら、トルク過負荷が発生した際、確実に1,500N・mに制限可能な、コンパクトで、回転方向への剛性が高い安全クラッチでした。ミルスタンドで使用されるカップリングは、ギヤシャフトに接続するため、取り付けが容易なクランプハブを使用する必要がありました。さらに安全クラッチは、状況に応じて設定トルクが調整可能である必要がありました。

MST 1/5は、モジュール設計によって、条件を満たす理想的な製品となりました。これらは標準で1軸用に設計されていま すが、ミスアライメントを許容する追加の部品と容易に組み合わせることもできます。インテリジェントモジュール設計では、クランプハブと締結するベローズ形カップリングを、今回の案件ではフランジ取り付けにすることができます(図2)。これにより、歯車と直接締結することが可能となり、ベローズによってミスアライメントの許容もできるようになりました。呼びトルク5kN・mは、1,200~4,000N・mの範囲での使用が可能で、要求された遮断トルク1,500N・mを容易に実現できました。この調整機能は次に紹介する案件でも、理想的な製品が見つかることにつながりました。

MSTシリーズは安全機能がメリットで、重工業分野の用途として高い需要があります。耐久性の高い安全クラッチは、不具合が発生した場合にコストのかかる損傷から駆動系を保護し、また潜在的な設備停止時間を最小限に抑えます。MSTシリーズはそのほかすべてのR+W安全クラッチと同様に、ばねを使用したボールソケット式で、それぞれの安全クラッチが伝達可能なトルクは、トルクモジュールの数とピッチ円直径によって決まります。トルク過負荷が発生すると、トルクモジュール内で予圧を与えられたクラッチボールがソケットから軸方向に移動し、ミリ秒以内に駆動側と被動側の動力が完全に遮断されます。プランジャに軸方向の力を加えると、安全クラッチは簡単に再連結します。あらかじめ設定された遮断トルク値は、必要に応じて簡単に調整可能です。

MSTシリーズの安全クラッチは、条件に応じてカスタマイズが可能です。シリーズやタイプによって、例えばキー、テーパーロック、フランジ(図3)、などの締結方法があり、標準で最大25万N・mの1軸または2軸で使用可能な、回転方向の剛性が高い製品や、振動減衰性のある製品もご用意しております。ご要望に応じて、さらに高いトルク範囲を実現した特殊品も対応可能です。

紹介した2つの例は、カップリングを選定し開発する際に考慮すべき条件の多さを示しています。機能、工程の信頼性、コスト効率の面で適切なカップリングをお客様に提供するためには、カップリングの業界や用途の知識はもとより、柔軟性や技術的な専門知識が重要になります。R+Wは様々な業界の設計担当者や技術者と密に協力しており、今や製品ラインナップは膨大です。歯車形カップリング、板ばね形カップリング、エラストマ形カップリングなど非常に多くのタイプの開発につながり、どのような条件にも適したカップリングが見つかるでしょう。

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R+Wのカップリングで自動化設備を改善


産業界における自動化はますます進んでいます。工程がより複雑で、より速く、より自由自在になるほど、関係するそれぞれの部品と駆動装置が正確に動作することがより重要になります。これを確実にするために、R+Wは最も厳しい要求をも満たす特殊なカップリングを提供しています。


今日の複雑な自動生産ラインは、より速く、より効率的に、より経済的に製品を加工します。求められる性能、安全性、および製品寿命を実現するために、企業が高度な技術に頼ることは問題ないでしょう。労働力が減少したり、設備停止が発生したりすると、多額の経済的損失を被る可能性があります。その中でカップリングは、駆動装置が確実に作動するために重要な役割を果たします。

 

お客様の条件にぴったりの特別なカップリング  

R+Wはドイツに拠点を置く世界有数のカップリングメーカーです。材料供給や組み付け、搬送など自動化技術向けの標準品だけでなく、お客様の条件にぴったりの特殊品も対応可能です。特殊なカップリングを製造する過程ではお客様の要求を詳しく聞き、カップリングの開発を行います。

最近の例では、食品充填設備のサーボモータと弁棒の間でトルクを伝達するための精密カップリングについて問い合わせがありました。カップリングは、5N・mのトルクをバックラッシュなしで正確に伝達し、また22.5N・mの最大トルクに対応する必要がありました。お客様は回転方向の剛性のほかに、全長が短くコンパクトで、また垂直方向に取り付けられるため、3.5kgの重量に耐えられるよう設計する必要がありました。しかし、課題はそれだけではありませんでした。24時間365日稼働し続ける中、カップリングにかかる最大100Nの引張荷重と圧力荷重や偏心、偏角、エンドプレイを考慮する必要がありました。どれも複雑な条件です。

 

小さな本体で抜群の性能  

それにもかかわらず、R+Wの技術者はすべての要求を満たすカップリングを開発しました。カスタマイズされた製品は、R+WのMBK2/15(図1)のベローズ形カップリングを基にしています。垂直に設置され、引張荷重と圧力荷重を受けるため、カップリング内部は軸をサポ―トできるように特殊な設計がされており、最大100Nの引張荷重、圧力荷重に耐えることができます。同時に、回転方向の剛性が高いベローズ(図2)は、取り付けた際に発生する駆動側と被動側のミスアライメントを許容します。最終的には、カップリングの全長を59 mm、外径を49 mmまでにすることで、お客様がご希望のコンパクトな設計を実現できました。

R+Wでは、ハイテク材料を使用しており、小さなサイズであっても抜群の出力密度を実現しています。カップリングは食品加工業の厳しい衛生条件に対応するために、溶接接合によるステンレス鋼製に変更して製造されました。ステンレス鋼は耐食性に優れ、このような環境下で使用される強力な洗浄剤や高温にも耐えられます。その結果、お客様は、取り付け後の機械的な負荷だけでなく、厳しい環境にも強いカップリングを手に入れることが出来ました。

 

お客様にとってのメリット

お客様のニーズに合わせて特別に開発したカップリングによって、お客様にもたらされるメリットは様々です。主な改善点の1つは、充填設備で日常的に行われる洗浄とメンテナンスに関するものです。カップリング内蔵のサポートにより、サーボモータと弁棒をシステム内の装置として持ち上げることができます。これにより、洗浄にかかる時間だけでなく、どんな充填装置にも合うため、取り付けにかかる時間も短縮され、設備のサイクルタイムが大幅に向上します。24時間365日稼動に対応できるように設計されたこのカップリングにより、担当者は生産性を向上させ、市場での立ち位置をより良いものにすることができました。

 

製薬会社の複雑な課題

生産工程の効率性と安全性を高めたいという要望も、新しいお客様がR+Wにやってくる理由の1つでした。製薬業界で事業を展開するこのお客様は、製造工程の柔軟性に対する需要の高まりに直面しています。また、日ごろから製品や工程の変更を行う必要があります。つまり生産設備全体が、必要に応じて工程順序などを変更できるような構造が必要ということです。

調整可能な可動式の「テーブル」もまた、医薬品や化粧品のさらなる加工において重要な役割を果たします。この設備には回転軸に固定された、可動式テーブルがあります。ある工程では、合計500~1,000個の充填されたバイアル瓶がテーブルに搬送、一時保管され、その後スライダによって次の工程に移ります。しかしながら、工程間のこの接点もまた、重要な課題となりました。

製薬会社は、どんなバイアル瓶の形状にもどんな薬品にも対応するために、柔軟性のあるバイアル搬送装置を使用することにしました。しかし荷重によっては、テーブルが旋回点に対して最大0.3mm傾斜する可能性がありました。傾斜による段差によって搬送時に衝撃が発生し、バイアル瓶が落下する可能性があります。このため、可動式テーブルとその前後工程の装置が接触するポイントに、段差が生まれないようにする製品を必要としていました。

お客様は以前、テーブルの回転や調整にサーボモータを使用し、ノーマリークローズのセンサを使用していました。この駆動装置では、振動減衰性のあるエラストマ形カップリングが、減速機と回転軸の間の動力を伝達し、軸のミスアライメントを許容します。サーボモータが機械のシステムを動かし、確実にテーブルの位置合わせができるようにしていました。この方法で荷重による傾きは防げましたが、頻繁な段替えなどにおいてはパラメータの変更が必要となるため、まだ多大な労力が必要でした。このため早く、正確に次工程へつなげるためにバイアルを一時保管する工程はより複雑なものになってしまいました。

 

回転方向の剛性が高い特殊品  

答えはR+Wにありました。R+Wの技術者たちは、必要な回転方向ばね定数、最大ねじれ角度、必要なトルクに完全に対応できるように設計されたベローズ形カップリングを開発しました。柔軟性の高いエラストマ形カップリングの代わりに、回転方向の剛性が高いベローズ形カップリングが使用されることになったため、テーブルの剛性が高まり、バイアル瓶の重さがあっても傾くことがなくなりました。これでバイアル瓶がまっすぐに次工程へ搬送されるようになりました。R+Wが開発した特殊なカップリングの機能により、コストのかかるセンサと電気制御回路の必要性もなくなりました。時間のかかる調整作業は、もはや必要ありません。

バイアル瓶は1つ250ユーロを超えるような場合もあり、テーブルに何らかの保護を追加するという要望も追加されました。R+Wはこの特殊なカップリングに、ベローズ破損保護を設計し、再び最適な製品を提供しました。カップリングの寸法は変更されていません。例えばトルク過負荷などにより最悪の事態が発生してベローズが破損した場合でも、ハブが互いに確実にかみ合い、最低限の機能を維持します。つまり、テーブルが傾いたり倒れたりすることはありません。

お客様にとって、この新しい概念はメリットと言って間違いないでしょう。ドライブトレインが簡素化されたことで、複雑なセンサや制御の必要性がなくなり、何度もテーブルを調整する必要もなくなりました。また、R+Wのカスタマイズが可能な製品により、製品や工程の変化に対しても、効率的にシステムを適応させることができるようになりました。これによりコストと時間の両方が削減され、生産性が向上しました。さらに、ベローズの破損防止機能が内蔵されているため安全性が向上し、確実で安定した工程が実現できます。お客様が今後も柔軟に生産に対応し、それぞれの顧客のニーズを満たし、市場の動向に追随するのに貢献するでしょう。

この例は、自動生産ライン工程がカップリングによってどのように改善されるかを示しています。高いはめ合い精度に加え、ハイテク材料と高品質な加工も重要な役割を果たします。R+Wのカップリングは、標準品でも特殊品でもこれらの基準を満たし、駆動装置に組み込むことで、生産ライン全体が途切れなく稼動するのに不可欠な役割を果たします。

 

自動化用途向けの様々な標準品

カップリングのカスタマイズはR+Wの特長の1つですが、標準品もカップリングに求められる様々な条件に対応しています。ドイツを拠点とするこのメーカは、剛性の高いベローズ形カップリングだけでなく、自動化技術のための高い安全性を備えたエラストマ形カップリングもご用意しております。

MSKシリーズ、MELSシリーズの安全クラッチ (図3) は、MSLシリーズと同様にトルク過負荷発生時に駆動被動間を保護します。MSLシリーズは軽量で、コンパクトな寸法と小さな慣性モーメントにもかかわらず高い出力密度を実現します。振動減衰性のあるエラストマ形カップリング(図4)は、衝撃吸収やミスアライメントを許容する必要がある場合に使用されます。R+Wのすべてのカップリングは、クランプ、テーパーロック、キー、フランジ締結など、サイズも締結方法も様々な製品をご用意しております。

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この度トルク・ディスク用金型寿命に伴い、新規金型製作を行うことによりMJX-88用トルク・ディスクの形状を変更させていただきますので、下記の通りご案内させていただきます。
何卒ご理解・ご協力の程宜しくお願い申し上げます。

対象製品

MJX-88用トルク・ディスク MJ-88-T(標準品)

(MJX-88-○×○ に使用するトルク・ディスクも含む)

変更内容

トルク・ディスク形状の変更(各アイテム共通)

※ 材質(ポリアセタール樹脂)の変更はありません。
※ 現行トルク・ディスクとの互換性を維持し、全長・外径の寸法に変更はありません。
※ 機能・性能につきましては、カタログ記載値からの変更はありません。

変更時期

2016年9月1日以降納入分より

詳しい内容につきまして、直接お問い合わせくださいます様宜しくお願い申し上げます。

回転式仕切弁の安全クラッチ


石炭バンカーか、穀物サイロか、代替燃料(木質ペレットなど)の貯蔵庫か、セメント工場のような貯蔵環境であるかは関係なく、バルク材の大きな貯蔵庫への積み降ろしは、一見複雑に見えるかもしれません。


貯蔵庫に積み込むときと、降ろすときでは、課題が異なります。第1に、モノを輸送し続けることが重要です。貯蔵庫が大きければ大きいほど、貯蔵庫の出口にかかる圧力も大きくなります。しかし、重要なのは流動挙動であり、これはバルク材の種類によって完全に異なります。液体と比べて、貯蔵庫中のバルク材の線形圧力の増加はありません。ここでは、回転式仕切弁が必要な流出量の制御を担っています。仕切弁は砂利用の仕切弁としても知られており、その機能は回転ポンプに似ています。回転式仕切弁は通常、材料貯蔵庫の出入口にフランジが付けられ、フランジが材料の入出力をします。基本的な機能原理は非常に単純です。ハウジング内のロータは電気機械的にコントロールされます。ロータ上には回転方向に平行な薄板金属が一定の角距離で取り付けられており、これがロータセルとなります。圧力と重力によって、材料は、仕切弁の入力側を通り、貯蔵庫の出力側からロータセル内に落下します。ロータの回転とその結果生じる遠心力によって、材料は仕切弁の出力側でロータセルから解放されます。バルク材の流量はロータの回転速度とセルの大きさによって正確に制御できます。より複雑な用途では、回転式仕切弁が同時にエアシールを形成します。例えば、チャンバーミルは、減圧下で使用されることも多くあります。回転式仕切弁はこの役割も担うので、空気が混じってしまうことは最小限に抑えられます。

 

設備故障や設備停止からの保護  

搬送される材料によっては、固まったり、異物が侵入したりして、ロータが固着することがあります。このような状況は必然的に始動トルクの大幅な増加につながり、歯車や仕切弁ロータの故障の原因となることがあります。これは、生産性が低下するだけでなく、故障した駆動部品を交換するために不必要なコストがかかることになります。しかしR+Wは、このような状況を完璧に防ぐことができます。安全クラッチMELS2タイプがおすすめです。

MELS2は、標準的なジョーカップリングのハブが使用されています。ハブの間には、異なるショア硬さが選択可能で、駆動被動間のミスアライメントを許容する柔軟なエラストマインサートがあります。しかし片方のハブには、予圧を与えたばねを利用したボールソケット式の安全クラッチ機能を備えており、バックラッシが発生しないようになっています。クラッチボールがカップリングの本体に支えられており、特殊な皿ばねが動力伝達の基盤となります。伝達されるトルクが設定トルク値に達すると、エンジンとギアの間の動力は、ミリ秒以内に完全に遮断されます。

カップリングの遮断トルクは、お客様のご要望に基づいてあらかじめ設定されており、調整範囲内であれば必要に応じていつでも簡単に再調整できます。様々なサイズをご用意しているため、目的に合わせて柔軟に調整が可能です。遮断トルクは、呼びトルクとタイプによって、1~から1,800N・mに対応可能です。

手動で再連結するフリーホイール型の他に、MELS2には3つの遮断タイプがあります。「原点復帰型」は遮断後、被動側にかかるトルクが許容トルク以下になると、自動的に再連結します。再連結位置は1点のみで、ちょうど360°回転したところで自動的に再連結します。インデックス型も同様に機能しますが、再連結位置は1か所ではなく60°ごとの6か所あり、オプションで30°、45°、90°、120°ごとの再連結も対応可能です。負荷保持型には、トルク過負荷が発生した際に駆動被動間が一定の角度回転後、負荷を維持する機能があります。

 

重工業分野向け安全クラッチ 

高トルク用途にはMST2をお勧めしております。原理的には、この安全クラッチは前述したものと同様の仕組みですが、200~165,000N・mの遮断トルクに対応しています。従来は、シャーピンカップリングが多く使用されていましたが、現在はMST2が制御可能な信頼性の高い緊急停止装置として動作します。また、メンテナンス費用が極めて低く、取り扱いが簡単であるというメリットがあります。設備故障により動力が遮断された後は、カップリングを元の位置に戻すだけです。カップリングに組み込まれたトルクモジュールをプラスチックハンマーで叩くと、カップリングはすぐにお使いいただけるようになります。従来のシャーピンカップリングや流体継手と比べて、ピン、オイル、特別なポンプなどの追加の消耗品は必要ありません。したがって、特別な資格のない担当者も素早く、簡単に再連結を行うことができるのです。

さらに、オプションでMELS 2とMST2は、状態をモニターすることもできます。カップリングが遮断されると、移動リングは軸方向に移動します。この機械な移動は、別途設けた近接スイッチによって検出することができます。MELS2とMST 2はコンパクトな設計にもかかわらず、過酷な環境にも対応しています。特殊ベアリング、追加シール、ハイグレード鋼、ATEX環境対応設計などのオプション機能により、この安全クラッチはあらゆる環境の駆動装置に適した安全装置となるでしょう。

最初に述べた回転式仕切弁の例についてもそうでしたが、一般的にどの遮断タイプが適切か、またどのようなオプションが必要かを判断することはできません。適切なカップリングを選択するには、メーカの経験と専門知識が頼りです。R+Wの営業担当者は世界中におり、世界中どこにいても適切な製品選定をお手伝いできます。

 

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