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MEL/MELP|記事一覧

繋ぐカップリング

簡単に言えば、カップリングは2本の軸間を接続する以外の何物でもありません。しかし、カップリングにできることは他にもあります。

  • トルクを伝達
  • 偏心、偏角、エンドプレイを許容
  • 振動減衰
  • 高価な機器をトルク過負荷から保護

詳しくはカイ・カップリングのビデオをご覧ください

 

正確なトルク伝達

R+Wは、すべてのカップリングをお使いのお客様に対し、それぞれの用途に適したカップリングを提案しています。ここでは伝達トルクが重要な役割を果たします。標準品の場合金属ベローズ形カップリングは0.0510,000Nmの範囲内で伝達しますが、さらに大きなサイズも存在します。例えば、エラストマ形カップリングは通常225,000Nmの範囲に対応しています。

 

カップリングの特性

カップリングの基本的な特長は、用途に合ったカップリングを選択する際の決め手です。MBKシリーズの金属ベローズ形カップリングは剛性が高いことが特長です。つまり、基本的な設計や材質がねじれ変形に強い構造になっています。工作機械、木工機械、包装機械、自動化システム、印刷機械、板金加工機械、ホブ盤などの高速サーボドライブ機構に適しています。対照的に、エラストマ形カップリングは、2種類の部品で構成されており振動減衰性と電気絶縁性を持った設計です。ミスアライメントを許容するエラストマインサートの素材とショア硬さがここで重要な役割を果たします。インサートはショア硬さ98A64D80A65Dが選択可能で振動の程度を最適化します。MELシリーズ(エラストマ形カップリング)MEL6SPタイプ(高速回転用エラストマ形カップリング)MELP(キー締結繊維強化プラススチック製のエラストマ形カップリング)は、サーボドライブ機構、工作機械、包装機械、自動化システム、印刷機、制御/位置決め装置、ポンプ/かくはん機、ローラシャッタなどで使用されます。さらに、すべてのR+W製カップリングはメンテナンス不要で、許容範囲内で使用された場合は保証の対象となります。

 

安全クラッチ 

機械式安全クラッチは、取り扱いが非常に簡単なのにも関わらず、オーバーロード発生時に駆動側と被動側を迅速かつ確実に切り離す機能により、工程の安全性向上に大きく貢献します。MSKシリーズ、MELSシリーズは、0.12,800Nmのトルクに対応しています。当シリーズには様々なタイプがあり、1軸にも2軸にも対応し、クランプ、テーパーロック、シンプルなキー締結が可能です。2軸向けは、剛性の高い金属ベローズ形カップリングと振動減衰性のあるエラストマ形カップリングをご用意しております。またこのシリーズでは必要に応じて、標準的な自動原点復帰型、複数の復帰位置がある自動インデックス型、高速回転対応のフリーホイール型、または負荷保持型など、さまざまな遮断タイプが選択できます。R+Wは、低慣性モーメント、高速化、効率化など、絶えず変化する市場の要求に対応するために、特にトルク密度の高い、軽量安全クラッチ(MSLシリーズ)を提供しています。MSLシリーズは、MSKシリーズと同様に、1軸でも2軸でも使用可能で、さらに、非常に広いトルク調整範囲に対応可能です。

 

機械工学とその応用範囲は多面的です。それぞれの用途は特殊であり、完璧な機械設計が要求されます。したがって、設備の中の機器はそれぞれ最適な選択が必要となります。カップリングの分野では、R+Wの技術営業部門や設計部門が無料で相談を受け付けています。

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駆動技術における条件は多種多様なため、カップリングが使用される分野は多岐にわたります。カップリングは常に、用途と個々の条件に基づいて慎重に選択する必要があります。基本的な役割は、信頼性の高いトルク伝達、そして時には過負荷による破損や設備停止を防ぐことです。R+Wは、精密分野、重工業分野のさまざまな条件を満たすために、標準品とオーダーメイドの特殊品の両方を取り扱っています。

一般的に精密カップリングは、0.0525,000Nmのトルクを伝達します。金属ベローズ形カップリングは特に、工作機械、木工機械、包装機械、自動化システム、印刷機械などの高速サーボ機構に使用されます。2軸の場合に最適で、復元力が低く、偏心、偏角、エンドプレイを許容します。ハブの種類も多く、210,000Nmのトルクに対応しており、ゼロバックラッシかつ高剛性です。小型ベローズ形カップリングは兄弟のようですが、エンコーダ、小型サーボドライブ、タコメータ等0.0510Nmの小さなトルクを正確に伝達します。

柔軟性、振動減衰性、電気絶縁性、モジュール構造などの特性が必要な場合は、エラストマ形カップリングが推奨されます。プリロードがかかったエラストマインサートが心臓部で、0.525,000Nmのトルクをゼロバックラッシで伝達します。偏心、偏角、エンドプレイの許容のほかに、剛性および振動減衰性は、硬度の異なるインサートにより変更できます。軸とハブの締結は、キー、クランプ(半割クランプを含む)、テーパーロック、コレット軸締結などに対応しています。サーボドライブ機構、工作機械、包装機械、自動化システム、印刷機、制御/位置決め装置、ポンプ/かくはん機、ローラーシャッターなどの幅広い用途に使用可能です。

精密安全クラッチは、正確なトルク伝達を必要とする場合に使用されます。0.1 2,800Nmまでのトルクを伝達し、過負荷発生時もミリ秒以内に駆動被動間を確実に遮断します。高価な装置の損傷を防ぎ、設備停止時間を低減するために、安全クラッチが必要となる場面は多くあります。ラインナップには、金属ベローズやエラストマ一体型を含め、1軸、2軸どちらの場合でもゼロバックラッシで伝達する安全クラッチをさまざまな締結方法や遮断/再連結方法で提供しています。

柔軟性の高い長尺形カップリングは、例えばパレット搬送ロボット、印刷機械、包装機械、搬送システム、クレーン、木工機械において、長い距離間を繋ぐ際に適しています。925,000Nmのトルクを、剛性や振動減衰性の高いカップリングによりゼロバックラッシで伝達できます。金属ベローズまたはエラストマインサートで偏心、偏角、エンドプレイも許容します。他には、シリーズ、タイプによって、垂直方向への取り付けが可能なこと、またお客様のご要望によっては最大全長6mまで対応可能であることがメリットです。

重工業向けの場合は、2002,080,000Nmのトルク範囲に対応しています。サイズと許容トルクが大きく違うため、精密分野と重工業分野を区別しています。カタログも白と黒の表紙で2つの分野を視覚的にも区別しています。名称に関しては、基本的に重工業分野も精密分野と共通ですが、剛性の高い板ばね形カップリングや歯車形カップリングなどが加わります。板ばね形カップリングは、製鉄所、印刷機、API規格に準拠したポンプ、試験装置、発電機などに、正確なトルク(35024,000Nm)を伝達します。ミスアライメントを許容し、軸への取り付け方法もさまざまです。

頑丈な構造の歯車形カップリングは剛性が高く、小さなバックラッシで1,9002,080,000Nmのトルクを伝達します。一般的にミキサー、圧延機、ポンプ、試験機、製鉄所、搬送機などの直接駆動に使用されます。さらにトルク密度は、重工業分野での使用に適していることを表しています。ハブのギアと中央のフランジとが精密に噛み合うことでミスアライメントが許容されます。

製品ラインナップを締めくくるのは重工業分野の安全クラッチです。トルクは200250,000 Nm とより高く、圧延機、風力タービン、バケットホイールエクスカベーター、押出成形機、製鋼所、シュレッダー、トンネル掘削機などで1軸および2軸使用が可能です。製品の周囲に耐久性のある遮断モジュールを配置しており、トルク過負荷発生時は動力の伝達を完全に遮断します。このシリーズはトルクを確実に制限するため、設備故障時の停止時間を低減し、生産設備稼働率を向上させます。

 

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押し出し機は、プロセス工学でよく使用されます。押し出し機には主に2つの種類があり、それぞれの工程に応じて分類されます。1つは材料の成形に使用される押し出し機成形機で、もう1つは化学的、物理的な改質に使用される混錬機能のある押し出し成形機です。押し出し工程中に、個体液体を問わずさまざまな材料が圧力をかけられ、出口から押し出されます。対応可能な用途も幅広く、建設、自動車、航空、医療技術および家具製造業における押出技術など様々な分野に用いられます。このため、カップリングを含め適切な部品を選択することがさらに重要になります。


 

押し出し機の構造と機能

押し出し機は通常、シリンダとその中の長いスクリュシャフトで構成されています。シリンダの端には成形の出口(ダイ)が配置されます。シャフトの動力としては歯車駆動の電気モータが使用されることが多く、シリンダの反対側の端に取り付けられます。粘土、セラミック、ゴム、熱可塑性ポリマー、業務用食品生地、アルミニウムなどの材料が、ホッパーからシリンダに供給されます。塗料や強化材などの添加材料が必要な場合は、サイドフィーダーで供給します。シリンダ内部は3つの区域に分かれ、それぞれの区域では異なる工程を担当します。第1区域の加熱区域では材料が供給され、溶融され、圧縮されます。第2区域では材料はさらに圧縮されます。第3区域の押し出し区域では材料が均一にダイへ流れるようにします。押し出し機を使用する製品は、パイプ、ホース、フィルム、自転車のリム、焼き菓子、スナック菓子、カラメルなど、他にもたくさんありますが、駆動装置にとっては、難しい課題になることが多いです。高圧、高温、混錬がこの工程にとって非常に重要です。歯車や軸などの高価な部品を保護するためにトルク過負荷発生時に動力を遮断する安全クラッチは、非常に合理的です。

 

押し出し機に取り付けられた半割クランプの安全クラッチ

重工業分野MSTシリーズの安全クラッチは、どんな種類の押し出し機にも対応可能です。これらの耐久性の高いカップリングはコンパクトな設計にもかかわらず、高いトルクに特化して開発されました。異物が機械へ侵入することによって発生することが多いトルク過負荷。このとき安全クラッチは、押し出し機を損傷から保護するために、1ミリ秒以内で動力を確実に遮断します。これにより、修理費用と設備停止時間を大幅に削減できます。トルク過負荷の原因を取り除いたあと、安全クラッチ外周部に組み付けられているプランジャに軸方向の力を加えれば、安全クラッチは素早く簡単に再連結できます。安全クラッチは、振動を減衰させ衝撃を吸収すると同時に、偏心、偏角、エンドプレイ方向のミスアライメントを許容できるように、エラストマ形カップリングと一体化した状態で設計されています。両側半割クランプ締結、または片側はフランジにもう一方はキー締結ハブを組み合わせるような、ご希望に沿った締結方法に対応いたします。安全クラッチは、軸直角方向から取り付け、取り外しが可能で、モータを取り外すことなく取り付けられます。押し出し機向け特殊安全クラッチは、20014,000Nmの遮断トルクに対応しており、オプションでATEX認定も承っております。

 

モジュール設計

安全クラッチの内蔵部品は、表面に黒色酸化処理を施した硬化鋼でできています。トルクモジュール(ボールソケット式プランジャ)は、遮断トルク調整範囲を変更するために数を増やしたり減らしたりすることができるほか、指定の範囲内でなら設定遮断トルクを変更することも可能です。ハブとエラストマ形カップリングは鋳鉄製です(ダクタイル鋳鉄40)。エラストマインサートはTPUまたはハイトレル®製で、押し出し機の使用方法に合わせたショア硬さを選択できます。例えば98Sh A(高振動減衰)または64Sh D(高剛性)のショア硬さのエラストマインサートを取り扱っており、各タイプは色によって区別されています。エラストマは、カップリングおよびドライブライン全体の特性を左右し、回転方向の振動を最適化するのに役立ちます。

 

安全装置としての安全クラッチMSTシリーズ

R+Wの安全クラッチは、耐久性が高い設計のため、押し出し機のほかにも圧延機やその他の製鉄設備、風力発電機、掘削機、水処理プラント、産業用シュレッダ、トンネル掘削機など、条件の厳しい様々な用途に使用されています。コンパクトでシンプルな設計と精密な調整機能により、これらすべての用途に最適です。安全クラッチは200250,000Nmの範囲に対応しています。1軸と2軸の両方に対応しており、トルク過負荷発生時に、動力を完全に遮断します。

 

低トルクモデル安全クラッチMSKシリーズ

R+Wの安全クラッチは、特に押し出し機と使用する場合には、お客様との度重なるご相談ののち、条件に合った製品を選定、またはカスタマイズいたします。遮断トルク、伝達トルク、締結方法、必要なスペースは、たくさんの要素のうちのほんの一部です。MSKシリーズの精密安全クラッチは低いトルク(0.12,800Nm)の用途に適しています。締結方法は、キー、テーパーロック、クランプ、半割クランプなど、さまざまです。機械の設計によっては、スプロケットまたはプーリを用い1軸で使用することもできます。また、原点復帰型、インデックス型、フリーホイール型、負荷保持型など、4つの遮断システムをご用意しております。それとは別に、カスタマイズも可能です。

 

振動減衰と半割クランプ  

R+W エラストマ形カップリングには、安全クラッチ機能なしのタイプもあり、許容トルクは0.5~25,000Nmです。カップリングは、どんなに取り付けが簡単なものでも、振動減衰とミスアライメント許容が可能です。前述のようにインサートのショア硬さが選択可能で、この特性はドライブライン全体に影響します。締結方法は、キー、テーパーロック、クランプ、半割クランプ締結といった選択肢があります。半割クランプは、押し出し機だけでなく、工作機械、印刷機、包装機のサーボドライブ、制御および位置決め装置にも多く使用されています。

押し出し機に適切なカップリングを採用することは、費用対効果の高い投資と言えるでしょう。R+Wスタッフは、押し出し機の保護について喜んでご相談に乗ります。詳しい情報はHPR+Wアプリへ。

 

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最高の精度とダイナミクスを実現するカップリング


カップリングメーカのR+Wは、国際金属加工見本市EMOのモットーに、「インテリジェント生産のためのコネクティングシステム」を掲げています。カップリングは、インダストリー4.0の時代であっても、設備オペレータにとって重要な役割を果たします。慎重に選択すれば、駆動系の性能を向上させ、速度、安全性、および精度を達成するのに不可欠なものとなるでしょう。


世界最大の金属加工見本市では、業界全体が最新の設備や効率の高い製品を発表します。EMOハノーバーでは、工作機械、生産システム、精密工具、自動マテリアルハンドリング、コンピュータ技術、産業用電子機器および付属品の切削と成形に焦点を当てています。またこの見本市は、その国際的な範囲と規模だけではなく、出展されているイノベーションの数が際立っています。2013年に開催された前回のEMOハノーバーでは、45%の出展者が新しく開発されたものを展示した、という調査結果がありました。カップリング専門メーカであるR+Wは、今年も機械市場にすばらしい革新をもたらすでしょう。

工作機械は、駆動部品にとって条件の厳しい用途です。効果的に稼働することを保証するためには、迅速に、柔軟に、そして正確に作動する必要があります。非常に高速でダイナミックな動きとともに、0に近い公差を持つ正確な位置決めが求められます。このようなシステムは、振動減衰、剛性、バランス、慣性モーメントなどが完璧に調整されて初めて正確に作動します。R+Wには、どのような条件の工作機械であっても適切なカップリングをご提案できる経験があります。

 

ダイナミックな荷重をコントロール 

カップリングは、駆動系の作動状態、そして最終的にはシステム全体に大きな影響を与えます。R+Wは非常にダイナミックな荷重と、正確な再現性および正確なトルク伝達を両立させることを目的とした、精密分野向けのさまざまなゼロバックラッシ対応カップリングをご用意しております。このタスクを実現するためにゼロバックラッシ対応製品には、振動減衰エラストマ形カップリング、剛性の高い金属ベローズ形カップリング、板ばね形カップリング、トルクを遮断する安全クラッチがございます。

ゼロバックラッシの精密機器分野エラストマ形カップリングは、振動を減衰すると同時に、高い位置決め精度のために適度な剛性をもたらします。また、0.5~25,000N・mのトルクに対応し、偏心、偏角、エンドプレイを許容することができます。適切に選択することで、エラストマ形カップリングのインサートが駆動系全体の振動を最適化します。R+Wはどんな要求にも対応できるよう、さまざまなショア硬さなどの特性を持つインサートをご用意しており、振動減衰性、剛性、電気伝導性、熱安定性の条件を満たすことができます。きっと、振動減衰と剛性の間で適当な中間地点が見つかるでしょう。エラストマ形カップリングの締結方法には、取り付けが簡単なクランプ、半割クランプ、コレット軸などがあります。MEL6SPタイプは、スピンドルドライブなどの高速回転向けに開発されています。エラストマインサートは振動を減衰する効果を持ちながら、圧入して取り付けられていることから、ゼロバックラッシを実現します。テーパーロックハブとジョーにより、高い同心度とバランスを維持したまま滑らかな動力伝達が可能です。

 

精度向上のためのモジュール設計

特殊素材に加え、それぞれの部品をスマートに圧縮することで、寿命や精度に影響を与えることなく、さらなる軽量化を実現しました。R+Wのために開発された特殊な皿バネは、ボールソケットの原理を進化させ、トルクを最大50%強化しました。ばね荷重を利用した機構により、お客様が求める、半永久的なゼロバックラッシかつ剛性の高いカップリングが完成しました。クラッチボールは、円錐状のソケットに固定されています。特殊な特性曲線を持つ皿バネにより、瞬時に、正確にトルク過負荷から保護することを可能にします。設定した遮断トルクを超えると、安全クラッチの出番です。クラッチボールは元の位置を離れ、トルクの流れが遮断され、残留摩擦がゼロになります。クラッチボールは、対応するソケットに固定されている間は動きません。これにより、予め設定された遮断トルクに達していない、通常稼働中はクラッチボールが摩耗しないようになっています。遮断時にばね荷重は低下し、移動リングも軽量なため、摩耗は最小限にとどまります。他の摩擦クラッチに発生するような環境要因による遮断トルク値の変化は論外です。

 

位置決め

ゼロバックラッシで高剛性のベローズ形カップリングは、工作機械、歯切り盤、その他自動化システムにおける、非常にダイナミックなサーボモータ軸に課される特有の条件に対応するのに理想的な製品です。これら精密カップリングは、位置決め精度が最優先される場合に使用されます。耐久性が高くと、メンテナンス不要な設計により、高い費用対効果と信頼性を実現します。ベローズ形カップリングは、0.05~10万N・mのトルクを伝達し、さらに偏心、偏角、エンドプレイを許容します。エラストマ形カップリングと同様にベローズ形カップリングも、最適な軸締結方法と組み合わせて長尺形カップリングのご注文も可能です。

 

高速回転対応製品

R+Wの新製品で高速回転に最適なのは、MBK3SPタイプのベローズ形カップリングです。このカップリングは外側のテーパーロックハブが特長で、回転速度が非常に速い場合であっても滑らかに作動します。回転対称性によって優れたバランス品質も保証します。前述した用途の他に、ベローズ形カップリングは試験機、紙工機械、印刷・ラベリング装置、包装機械にも使用されています。MKシリーズは、測定システム、制御システム、より小さなサーボドライブやロータリエンコーダーなどの用途に適しています。

 

クーラントが軸の中を通る!? 

EMOでは、高い耐久性と性能が求められる場合に理想的な、板ばね形カップリングの多彩な用途を発見する場でもありました。板ばね形カップリングは350~24,000N・mに対応しており、高い剛性を持っています。様々なタイプから選択可能で、ゼロバックラッシのテーパーロック締結が可能なMLP3(ダブル)とMLP4(シングル)は、特に逆回転のトルクにも適しています。

さまざまな標準品に加えて、中間軸にクーラント供給システムが一体化した特殊品もご用意しております。これは、特にDBSEが長い工作機械を扱うメーカにとっては、大きなメリットです。特別に設計されたこのカップリングは、パイプの両端にハブが固定されており、長い距離でもクーラントを直接工具に導くことができます。テーパーロックハブと動バランス取りによって、滑らかな動作と最小限の振動が実現します。さらに、軸のミスアライメントは、剛性の高い板ばねによって許容されます。耐久性が高く、強力なMLPシリーズは、お客様にシンプルな設計、短い組み立て時間、速い加工速度、永い寿命をもたらします。

MSK、MELS、とMSLシリーズのゼロバックラッシ精密機器分野安全クラッチは、0.1~2,800N・mに対応しており、多くのメリットを提供します。あらかじめ設定した遮断トルクにより、安全クラッチは、ギヤ、軸、ボールねじなどの機械部品を、トルク過負荷とその後の損傷から保護することができます。この機能により、故障時の設備停止時間を大幅に短縮します。R+Wの重工業分野製品のMSTシリーズは更に大きな最大25万N・m以上のトルクに対応できる製品もご用意しております。

 

R+Wアプリのバーチャルカップリング  

今年のEMOハノーバーもまた、R+Wの様々なカップリングをご紹介する素晴らしい舞台となるでしょう。しかし、そんなに長く待てない!という皆さまには、新しいR+Wアプリをご紹介します。バーチャルリアリティによって、お客様はこれまで以上に3次元的で双方向的かつ詳細に、さまざまなカップリングを体験することができます。製品に近づくための唯一の方法は、実際に触れることです。最新バージョンのアプリでは、安全クラッチの調整や再連結の方法などについて知ることもできます。バーチャルショールームでは、R+Wの可能性をご紹介します。R+Wは、このような革新的なアイデアによって、仮想的な方法だけでなく、実用的で大胆な方法で製品をお客様に提供しています。

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白と黒で時代の流れに乗る


R+Wはこの1年で明確な差別化を図っており、ハノーバーメッセでは、白と黒に分けて展示しました。白は精密製品分野、黒は重工業分野を表しています。代表のFrank Kronmüllerは「当社の専門化戦略は、カップリング部品に対する要求がより特殊になるにつれて必然的なものでした。駆動技術における新たな用途の数は増え続けており、特殊なカップリングが必要とされています。これは、どのシリーズにおいてもかなり特殊な製品を求められていることから明らかでしょう。」と説明しています。


ハノーバーメッセで注目されていたのはエネルギー分野でした。この分野では、大規模な発電所による一方的な供給から、消費者と生産者の相互ネットワークへと、市場が大きく変化しています。消費者は生産者にもなり、その逆の場合もあるでしょう。「統合エネルギー」への傾向は、展示会でのメイントピックの1つです。バイオガスプラント、マイクロガスタービン、風力、水力による発電などにはすべて、適切なカップリングが必要です。

 

エネルギー分野の事例  

例えば風力発電の場合、いわゆるピッチ制御システムは、ロータブレードの傾斜(ピッチ角)を測定し、監視し、制御することで、風の状態が変化にしても一貫した能力を発揮することができます。正確な位置決めには、ゼロバックラッシでメンテナンス不要のベローズ形カップリングが使用され、正確な位置決め、高い再現性、信頼性の高いトルク伝達を組み合わせています。R+Wは、MBK2シリーズを基に大型洋上風力発電所向けの特殊品を開発しました。外洋での厳しい環境条件に耐えることができるように、鋼製のハブには特殊な表面仕上げを施しており、ハブとベローズは溶接で接合されています。

カップリングはバイオガスプラントでも活躍しています。メタンがガスエンジンに送り込まれ、レシプロエンジンで発電します。このバイオガス基質は、前処理の破砕工程において、石などの固体粒子の不純物が混ざり、システムにコストのかかる損傷をもたらすことがあります。そこで、信頼性の高い保護装置として、振動減衰および衝撃吸収が可能なエラストマ形カップリング付き安全クラッチをご提案しました。例えば駆動被動間を接続するためにMELS2シリーズを実際に使用しました。さまざまなショア硬さが選択できるエラストマインサートは、あらゆるミスアライメントを許容し、用途に応じた振動や衝撃を吸収します。固形物によってツマリが生じ、結果としてトルク過負荷が生じた場合、あらかじめ設定された遮断トルクによって、カップリングは、ばねを利用したボールソケット式の機構により、数ミリ秒以内にエンジンとロータを遮断します。これにより損傷を防止し、設備停止時間を短縮します。

3つ目の例はマイクロガスタービンです。分散型発電設備で使用されることが多く、高負荷に曝されることも少なくありません。あるプロジェクトでは、小型ベローズ形カップリングが年間を通じて常に10N・m、7万r/minの速度で確実に作動する必要がありました。R+Wでは、MK 2/100を基に、特殊なベローズによって必要な安全マージンを確保し、ベアリングの損傷がない限り工程内で発生する復元力を低減する特殊な製品を開発しました。標準品の約4倍のトルク過負荷に耐え、作業者に十分な信頼性をもたらすでしょう。

 

自動化の精度 

ハノーバーメッセで注目され続けているもう1つのトピックは自動化です。高度に自動化された工業製品の生産ラインには、ガントリーローダーや産業用ロボットなどに正確なモーションシステムが必要です。ダイナミックな多関節ロボットは、多くの生産ラインにおいてサイクルタイムの短縮に貢献しています。これには、速度、精度、加速度など、高い要求に対応するように設計された駆動部品が必要です。

R+Wは、MELシリーズのエラストマ形カップリングを、産業用ロボットなどの用途向けに開発しました。伸縮性のあるエラストマインサートは、高い柔軟性と優れた強度を同時に実現します。振動や衝撃の減衰効果を持ち、軸のミスアライメントを許容することができます。

エラストマ形カップリングの設計には多くの条件が関わります。荷重、起動、温度要因は、エラストマインサートの耐久性に影響します。インサートは、様々なショア硬さが選択できるため、振動減衰性、剛性、ミスアライメント許容において、ほぼすべての用途に対して適切な解決策が見つかるでしょう。位置決め精度が優先される場合には、ベローズ形カップリングを選択することもできます。R+Wの設計者は、適切なカップリングをおすすめできるように経験を積んでいます。

 

カップリング業界のインダストリー4.0  

自動化と密接に関連しているデジタル化は以前から注目を集めており、無人化による自動化レベルの向上に伴い、精密な作動部品や機能的な安全対策が求められています。インダストリー4.0の時代には、カップリングは生産性を向上させる重要な役割を担い、必要な安全性を確保することができます。

Kronmüllerは「最新の自動化生産ラインでは、考え抜かれたデジタル戦略「インダストリー4.0」でも、カップリングは重要な部品として残っています。これはトルク伝達だけではなく、安全装置としての役割も担います。」と強調します。例えば、機械式安全クラッチが有利な点は、駆動系を遮断するまでの速度であり、これは、電子式あるいはセンサによる手段を大きく上回り、不具合も発生しにくいことが挙げられます。

「電子制御によって遮断する場合には、少なくとも15~17ミリ秒かかります。安全クラッチは3~5ミリ秒以内に反応するため、勝者は明らかです。さらに、センサは不具合の原因となることがあるため、意図せぬ作動停止をしないよう定期的に確認する必要があります。」1つの軸に対して必要なのは1つの安全クラッチだけで、容易に調整ができ、さまざまな取り付け方法に対応しています。「これはカップリングの大きなメリットとなるでしょう。」とKronmüllerは述べています。

R+Wはお客様の生産ラインのデジタル化をサポートしたいと考えており、常に新しい用途を探しています。同時に、標準品についてもできる限り多くの用途に対応できるよう、既存の製品ラインナップを編成し直し、拡大しました。サイズの整理と部分的な再設計により、R+Wは今後の傾向に十分対応できると考えています。

 

ハノーバーメッセについて

「私たちにとって、ハノーバーメッセには2つの目的があります。1つは当然、私たちの技術と製品を紹介し、新しいお客様に良い印象を持ってもらいたいと思っています。これが展示会の最重要点です。もう1つは、ここで紹介されているトレンドとイノベーションです。市場の方向性や、どのような用途に対応する必要があるかを見極める良い指標となります。展示会では、当社の製品を使用することにより改善可能な技術を体験できます。これはとても刺激的なイベントです。」—Frank Kronmüller

カップリングを、塵埃の多い環境や液体、強力な洗浄剤などと接触する可能性のある環境で使用する場合に備え、R+Wは内部部品を密閉することを可能にしました。これは同時に、カップリングからグリースが漏れないようにする機能も果たします。この設計では、全部品がハウジングに完全に内蔵され、特殊なシールが施されます。特別に開発されたOリングは、カップリング本体に装着され、大きな移動リングで覆います。この製品は、外部からのあらゆる影響から保護し、クリーンルームでも使用できます。

 

製品ラインナップの方針 

「カップリングは繋げるのになくてはならない存在です。しかし、本当にカップリングが特別な存在であり、差別化されているところは、付加的な機能の部分です。R+Wではお客様と密に連携し、特殊な用途向けの製品を実現しています。これらの特殊品は、技術的な観点において常に一歩先を行くものであり、市場のニーズに応えるものであるため、私たちとしても高く評価しています。特殊品の開発により得られた知識は、標準シリーズに順次展開され、多くのお客様にメリットをもたらします。どちらも当社にとって重要ですので、将来的には特定のカップリングを指定する必要はありません。」—Frank Kronmüller

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