MSK/MELS/MSL|記事一覧
航空機器対応小型で効率的な安全クラッチ
軽量化、小型化、効率化といった傾向は、近年、航空宇宙産業に革命をもたらしています。先端素材と最新の生産技術を駆使したスマート軽量構造は、新たな設計・開発の理念です。このような状況の中、ドイツのクリンゲンベルグに本社を置く安全クラッチメーカー、R+Wは、航空業界向けの新しいハイテク部品の開発に取り組んでいます。小型で強力な安全クラッチによって設置スペースの大小を問わず、高精度でトルク過負荷から保護することを実現しています。
航空機・航空機器の大手メーカーから、輸送・サービス業務用の移動キャビンに搭載されるスマートリフト向け安全クラッチについて問い合わせがありました。目標は、コンパクトな設計による質量と慣性モーメントの削減です。航空機のモデルによって異なりますが、全長30mm以下、総重量200g以下で、40~135N・mの遮断トルクが必要です。最終的には、この安全クラッチを最小限のスペースでシザーリフトに組み込むことになります。この航空機メーカーは、安全クラッチメーカーであるR+Wの革新的な軽量安全クラッチを選択しました。MSLPタイプの呼びトルク30が採用され、お客様の更なる条件に対応すべく仕様が変更されました。この装置はあらゆる気象条件下で使用できるように、液体や汚れから保護する密閉設計で、トルク過負荷からの保護も果たすことが必要でした。
軽量安全クラッチ MSLシリーズ
R+Wが技術系大学と共同で開発したMSLシリーズは、このような厳しい要求の用途に理想的な製品です。先端素材と特殊塗料を組み合わせた、軽量かつ小型で強力な設計。ボールソケットの原理により、ゼロバックラッシで安全に作動します。先端素材と特殊塗料によりMSKシリーズに比べて最大60%の軽量化を実現しています。例えば、MSLPの呼びトルク30は、トルク調整範囲は最大135N・m、質量200g、慣性モーメント0.1×10-3kg・m2です。本体とフランジの特殊加工により、繰り返し精度+/-5%でミリ秒以内に反応できる安全クラッチを実現しています。MSLシリーズの安全クラッチは、許容トルクと寸法および質量の比率が世界市場においても他に類を見ないものとなっています。
精度向上のためのモジュール設計
特殊素材に加え、それぞれの部品をスマートに圧縮することで、寿命や精度に影響を与えることなく、さらなる軽量化を実現しました。R+Wのために開発された特殊な皿バネは、ボールソケットの原理を進化させ、トルクを最大50%強化しました。ばね荷重を利用した機構により、お客様が求める、半永久的なゼロバックラッシかつ剛性の高いカップリングが完成しました。クラッチボールは、円錐状のソケットに固定されています。特殊な特性曲線を持つ皿バネにより、瞬時に、正確にトルク過負荷から保護することを可能にします。設定した遮断トルクを超えると、安全クラッチの出番です。クラッチボールは元の位置を離れ、トルクの流れが遮断され、残留摩擦がゼロになります。クラッチボールは、対応するソケットに固定されている間は動きません。これにより、予め設定された遮断トルクに達していない、通常稼働中はクラッチボールが摩耗しないようになっています。遮断時にばね荷重は低下し、移動リングも軽量なため、摩耗は最小限にとどまります。他の摩擦クラッチに発生するような環境要因による遮断トルク値の変化は論外です。
4タイプの遮断方法
現在MSL軽量シリーズは標準仕様でMSLN、MSLP、MSL2、MSLE、MELSLの5つのタイプを取り揃えております。お客様は取り付け方法に応じて、1軸(プーリやスプロケットなどに接続)用のクランプまたはキー締結、2軸用のクランプハブを選択可能で、後者はミスアライメントも許容します。また剛性の高い金属ベローズ形カップリングか、振動減衰性の高いエラストマ形カップリングのいずれかを選択できます。どのタイプも自動再連結対応で、原点復帰型またはインデックス型をお選びいただけます。
原点復帰型(W型)は、特殊な配列のソケットが本体側に加工されており、360°回転すると元の位置に戻ります。クラッチボールとソケットの数は、カップリングが安全に機能し、再連結後も摩耗しないように設計されています。これにより、ドライブトレインは完全に同じ速度で回転します。インデックス型(D型)も同じ原理で動作しますが、ソケットは等間隔に配置されているので、再連結は60°ごと6か所の位置で行われます。お客様の条件に応じて、工場にて連結位置を30°、45°、90°、120°に変更することも可能です。各タイプには呼びトルク30、60、150、300のサイズがあります。遮断トルクの設定は、5~700N・mまでさまざまです。
特殊仕様も簡単に
また、安全クラッチをニーズに合わせて個別に調整することもできます。MSLシリーズはモジュール式のため、さまざまな組み合わせが可能です。すべての安全クラッチは、クリンゲンベルク工場で指定の遮断トルク値に設定します。新しい構造により、遮断トルク値を現場で変更することもできます。トルク範囲は調整リングに目盛りで示されており、設定値を変更する際の目安になります。遮断トルク値を調整しても、製品の機能や性能に変化はありません。
カップリングを、塵埃の多い環境や液体、強力な洗浄剤などと接触する可能性のある環境で使用する場合に備え、R+Wは内部部品を密閉することを可能にしました。これは同時に、カップリングからグリースが漏れないようにする機能も果たします。この設計では、全部品がハウジングに完全に内蔵され、特殊なシールが施されます。特別に開発されたOリングは、カップリング本体に装着され、大きな移動リングで覆います。この製品は、外部からのあらゆる影響から保護し、クリーンルームでも使用できます。
MSLシリーズが新たな基準となる
新しい軽量安全クラッチの開発により、R+Wは駆動技術の新たな標準を打ち立てています。モジュール式の概念と柔軟な設計により、航空宇宙業界のお客様は、個々の用途に求められる条件と最大限の安全性を組み合わせることができます。軽量・小型で強力なMSLシリーズは、安全クラッチの分野に新たな1ページを開き、まったく新しい分野への適用を可能にします。
安全クラッチMSL2:2軸用クランプハブ10~400N・m
- クランプリングおよびISO4762キャップスクリュ
- ゼロバックラッシの安全クラッチと高剛性ベローズによりミスアライメント許容
- 超軽量構造で小さな設置スペース
- MSKシリーズと比較し最大60%軽量化
- トルク50%アップ
- 実証済みのボールソケットで完全なゼロバックラッシ
- 取り付けは容易で、耐久性が高く、メンテナンス不要
- 調整可能なトルク
- 自動再連結(W型/D型選択可能)
- 周囲温度-30~+100°C
繋ぐカップリング
簡単に言えば、カップリングは2本の軸間を接続する以外の何物でもありません。しかし、カップリングにできることは他にもあります。
- トルクを伝達
- 偏心、偏角、エンドプレイを許容
- 振動減衰
- 高価な機器をトルク過負荷から保護
詳しくはカイ・カップリングのビデオをご覧ください
正確なトルク伝達
R+Wは、すべてのカップリングをお使いのお客様に対し、それぞれの用途に適したカップリングを提案しています。ここでは伝達トルクが重要な役割を果たします。標準品の場合金属ベローズ形カップリングは0.05~10,000N・mの範囲内で伝達しますが、さらに大きなサイズも存在します。例えば、エラストマ形カップリングは通常2~25,000N・mの範囲に対応しています。
カップリングの特性
カップリングの基本的な特長は、用途に合ったカップリングを選択する際の決め手です。MBKシリーズの金属ベローズ形カップリングは剛性が高いことが特長です。つまり、基本的な設計や材質がねじれ変形に強い構造になっています。工作機械、木工機械、包装機械、自動化システム、印刷機械、板金加工機械、ホブ盤などの高速サーボドライブ機構に適しています。対照的に、エラストマ形カップリングは、2種類の部品で構成されており振動減衰性と電気絶縁性を持った設計です。ミスアライメントを許容するエラストマインサートの素材とショア硬さがここで重要な役割を果たします。インサートはショア硬さ98A、64D、80A、65Dが選択可能で振動の程度を最適化します。MELシリーズ(エラストマ形カップリング)、MEL6SPタイプ(高速回転用エラストマ形カップリング)、MELP(キー締結繊維強化プラススチック製のエラストマ形カップリング)は、サーボドライブ機構、工作機械、包装機械、自動化システム、印刷機、制御/位置決め装置、ポンプ/かくはん機、ローラシャッタなどで使用されます。さらに、すべてのR+W製カップリングはメンテナンス不要で、許容範囲内で使用された場合は保証の対象となります。
安全クラッチ
機械式安全クラッチは、取り扱いが非常に簡単なのにも関わらず、オーバーロード発生時に駆動側と被動側を迅速かつ確実に切り離す機能により、工程の安全性向上に大きく貢献します。MSKシリーズ、MELSシリーズは、0.1~2,800N・mのトルクに対応しています。当シリーズには様々なタイプがあり、1軸にも2軸にも対応し、クランプ、テーパーロック、シンプルなキー締結が可能です。2軸向けは、剛性の高い金属ベローズ形カップリングと振動減衰性のあるエラストマ形カップリングをご用意しております。またこのシリーズでは必要に応じて、標準的な自動原点復帰型、複数の復帰位置がある自動インデックス型、高速回転対応のフリーホイール型、または負荷保持型など、さまざまな遮断タイプが選択できます。R+Wは、低慣性モーメント、高速化、効率化など、絶えず変化する市場の要求に対応するために、特にトルク密度の高い、軽量安全クラッチ(MSLシリーズ)を提供しています。MSLシリーズは、MSKシリーズと同様に、1軸でも2軸でも使用可能で、さらに、非常に広いトルク調整範囲に対応可能です。
機械工学とその応用範囲は多面的です。それぞれの用途は特殊であり、完璧な機械設計が要求されます。したがって、設備の中の機器はそれぞれ最適な選択が必要となります。カップリングの分野では、R+Wの技術営業部門や設計部門が無料で相談を受け付けています。
高性能ドライブライン試験に不可欠な部品
自動車産業の電化がいっそう高まるにつれて、自動車試験工学分野は、高速で高トルクの電気モータを試験する必要性が急速に増加しています。騒音と振動の低減が重要視されるようになったことと相まって、ロータリ試験機の設計者は、試験機から重量、不均衡など駆動系特有の不必要な要因をこれまで以上に減らす必要性が高まっています。一般的な電気モータ用動力計の設計は、駆動モータ、カップリング、トルク計、被試験物、ブレーキモータなどの部品が最低限必要で、精密な弾性軸継手に対する必要性も高まっています。
ミシガン州デトロイトでは、ドイツのカップリングメーカーR+Wが自動車試験技術者からの技術的な課題に挑戦し、過去最高の性能を誇るカップリングを提供しています。ここでは、R+Wが材料、設計、バランスのカスタマイズによる最適化をさらに進める自動車試験技術の一例を紹介します。この案件では、非常に高い加速度でありながら、前例のないほど小さく、軽量で、慣性モーメントが低い20,000r/minの速さで750N・mまで伝達する弾性軸継手が必要になりました。
ぴったりの道具を
R+Wの応用エンジニアは当初から、性能的な目標を達成するには金属ベローズ形カップリングしかないと認識していました。他の精密な弾性軸継手とは異なり、金属ベローズは、回転中も非常に自然なバランスを保ち、全長は短く、同時に柔軟性も発揮する特殊な性能があります。トルクは2~10,000 Nmまで使用することができます。工作機械、試験機、梱包機、印刷機、繊維機械、自動化機器など変化の多い用途に採用されるのはこのためです。どんな用途にも対応できるように、素材、公差、寸法、性能など、さまざまな選択肢があらかじめ用意されています。もう1つのメリットは、ベローズの同心上に接着剤または溶接で組み付けたハブが、どのような設備にも取り付けられるようになっていることです。ミスアライメントや慣性モーメント、アンバランスを助長し大型のアダプタなしで機械に締結することができます。精密なベローズ形カップリングは、一般的にマンドレルで組み立てられます。マンドレルは、取り付け時にベローズに曲げ応力や圧縮応力を加えることなく、それぞれのハブを正確に同心上に組み付けます。これにより、機械のドライブラインに直接カップリングを取り付けることができ、性能を低下させることはありません。金属ベローズのさらなるメリットは、摩耗知らずの一体ものであることです。ベローズ形カップリングは剛性が高いので適切に取り付けられた場合、ミスアライメントがあっても、理論的には寿命は半永久的です。高速回転が求められる用途では、100時間も稼働すれば数億回転に達するため、特にメリットが感じられるでしょう。
最適な性能を発揮するためのカスタマイズ
この事例では、カップリングを駆動モータとフランジ付きトルク計間に設置することになっていました。モータ軸との締結はテーパーロックを使用しました。外側のクランプリングが、内部のテーパーを上に引き上げ、ハブを軸の周りで同心円上に押さえつけます。テーパー付きブッシュを使用する場合は、締め付けにばらつきがあると、カップリングが軸上で傾く可能性がありますが、クランプリングを使用すれば、取り付けミスによって傾くのはリングのみで、カップリングは軸穴の中心に保つことができるのです。最小重量と慣性モーメントの目標を達成できるように、クランプリングの材質はチタンGrade 5(ASTM規格)です。ハブの表面の周りには大きな貫通穴が配置されていますが、この穴には2つの役割があります。1つ目は、ハブの重さをより軽くすることです。そして2つ目はキャップスクリュがベローズ本体とハブを貫通し、反対側にあるトルク計のスクリュ穴に直接挿入することです。これにより、ベローズ形カップリングのフランジは極めて薄くなりました。最適な設計にするために、実際に使用するトルク計のロータをR+Wに送り、フランジの内径を研磨して軽い圧入ができるよう正確にすり合わせを行いました。これによりカップリングの軸穴から反対側のトルク計ロータまで、さらに高い同心性を確保することに成功しました。
弾性軸継手のバランスに関しては、ISOのバランス等級G1.0でこれほどの高速回転が実現可能かという問題が生じます。これに対する意見として、カップリングは柔軟な部品であることから、論理的にはこのレベルの精度でバランス取りを行うことができても、工具から取り外し、梱包し、出荷し、最終的にわずかなミスアライメントがある機械に設置すれば、実際のバランス等級は失われるというものです。バランス等級を可能な限り維持するために、この事例ではそれぞれのカップリングに、バランス調整アーバとサポートシャフトの両方として機能する専用のバランスツールを使用し、搬送中や取り扱い中にほんのわずかでもベローズが曲がるのを防ぎました。これにより、現場で取り付けを行う際、バランスツールからカップリングを慎重に取り外し、完璧な状態で接続することができました。
試験機向けカップリング製造におけるリーダーシップの伝統
R+Wは1990年の創業以来、回転試験機向けにカスタマイズされた精密カップリングや安全クラッチの設計、製造に携わってきました。その間に開発されたカップリングは、小型ベローズ形、エラストマ形、大型の板ばね形、150,000Nmまで対応可能なベローズ形カップリングなど多岐にわたります。2017年、世界最大のボールソケット式安全クラッチを製造し、最大2千万Nmの遮断トルクで洋上風力発電機用ギアボックスの試験を行いました。精密試験機向けのカップリング製造業界において、R+Wはさまざまな点で世界の技術をリードしています。業界が限界を超えていく中で、試験機メーカーと部品メーカーは、究極のカップリングを追求するために、引き続き協力していきます。
一般的に安全クラッチは装置や周辺部品を保護し、意図しない不具合や故障によって起こるトルク過負荷からの安全を確保します。そうすることで、設備停止時間の削減というさらなるメリットがもたらされます。
過大なトルクがかかった場合に、確実かつ効果的に駆動被動間を切り離すこと。安全クラッチの主な役割は、ほとんどの場合この1点に限られるでしょう。R+Wはさまざまな業界のお客様に、特殊な条件にもぴったりの製品を提供しています。R+Wのスタッフと相談することで、それぞれの状況に応じた適切な安全クラッチが選定できます。どのような用途に使用するかが分かれば、選択肢を提案いたします。そして提案したカップリングの概要および、機能とメリットに関する情報をお伝えします。このステップでは、可能な限り実演やサンプルによってより深くご理解をいただきます。次に、R+Wの設計担当者とともに適切な安全クラッチを選択します。標準製品で条件を満たすことができない場合は、特殊な製品をご用意いたします。
シャーピン型カップリングはもう時代遅れです
露天採掘場で働く保全担当者から、現在稼働中の3台の機械に使用しているシャーピン型カップリングに関する問い合わせがありました。この装置は移動式破砕装置で、採掘した土からきめの粗い石や砂利を取り除き、例えば粘土に加工します。振動や衝撃を減衰させるために、これまでは、駆動系を衝撃の大きなトルク過負荷(図1)から保護する弾性の高いシャーピン型カップリングが使用されて来ました。トルク過負荷が発生した場合、シャーピンがせん断され切り離されるまで応力が加わります。これは確かにコストの低い設計で、従来は文句なしの方法でした。しかし、メーカーがピンの材質を変更したため、せん断した際に取り外すのが難しくなってしまいました。そのためピンの破損状況によっては、機械が稼働を再開できるまでには、早くても1時間、ひどい場合には丸1日かかってしまうこともありました。R+Wの重工業分野安全クラッチMST2(図2)は、設備停止時間と復旧にかかる時間が短く、このような状況には最適です。
安全クラッチが選ばれる理由とその原理
安全クラッチは、ドライブトレイン中のツマリなどによるトルク過負荷から機械を保護します。トルク過負荷が発生すると(すなわちトルクが許容値を超えると)、安全クラッチが動力を確実に遮断します。機械を再び作動させるのに特別な工具は必要ありません。従来のシャーピン形カップリングとは異なり、交換部品の在庫も不要です。この安全クラッチは、ゼロバックラッシのボールソケット原理に基づいています。他のカップリングとは異なり、ソケットとトルク調節可能なトルクモジュールで構成されています。それぞれのトルクモジュールにはばねが内蔵されており、クラッチボールを軸方向に押し当てています。ボールの半分がセーフティモジュールから飛び出し、相手側の円錐型ソケットに入り込みます。この機構により、バックラッシなく正確にトルクが伝達されます。ばねがクラッチボールを押し当てることができなくなるまで接線力が発生すると、クラッチボールはトルクモジュールのハウジング内に後退します。遮断されている間、クラッチボールは軸方向に動くプランジャによってハウジング内に導かれるようになっています。カップリングを再連結するには、マレットでソケットを軽くたたくか、またはトルクモジュールの裏側のプランジャをレバーで押し戻すことによって、クラッチボールを元の位置に戻すだけです。設備停止による計り知れないコストは、安全クラッチに投資することで削減し、防ぐことができます。シャーピンと比較すると初期投資は多少大きくなりますが、設備停止の短縮によるコスト削減によってすぐに回収できるでしょう。
25万N・mを超えるトルクからの保護
MSTシリーズの安全クラッチは、最大250,000N・mのトルクに対応した標準品があり、設備によってはさらに大きなトルクにも対応できる特殊品もご用意できます。耐久性が高く、強力な安全クラッチは、さまざまな締結方法(キー締結、テーパーロック締結など)と多様な条件に対応可能なサイズをご用意しております。お客様にぴったりの製品は、1個からでもご購入いただけます。
ゼロバックラッシの安全クラッチ
MSKシリーズは、0.1~2,800N・mの遮断トルクに対応しています。このシリーズには、キー、テーパーロック、クランプ締結で1軸および2軸使用に対応しており、高剛性のベローズ形カップリングまたは振動減衰性のあるエラストマ形カップリングをご用意しております。さまざまな条件に対応するために、自動再連結が可能な原点復帰型とインデックス型、高速回転対応の手動再連結フリーホイール型、再連結する前にわずかな角度だけ遮断する特殊な負荷保持型の4つの遮断/再連結方法があります。小さな慣性モーメント、高速回転、より効率的な工程など、絶えず変化する市場の要件に対応するために、R+Wは特に高い出力密度を特長とする軽量の安全クラッチ、MSLシリーズもございます。1軸および2軸使用に対応しており(図3)、さまざまな仕様をご用意しております。
ATEX認証の製品もお任せください
重工業分野、精密機器製品分野の両分野においてR+Wの安全クラッチはATEX認証が必要となる爆発性雰囲気でも使用できます。欧州連合ATEXガイドラインに適合した特殊なATEX認定リミットスイッチで安全クラッチの遮断を検知し、緊急停止状態を知らせることができます。ATEX対応の製品についてはお問い合わせください。
付属品
R+Wは、安全クラッチに使用する実用的な専用ツールを幅広くご用意しております。重工業分野向け安全クラッチのメンテナンスを迅速かつ簡単に行うための切り離しツール、トルク調整を容易にする調整レンチ、遮断を検出し、緊急停止信号を送る近接センサーやリミットスイッチもございます。
効果てきめんの危険回避
貴重な機器を保護し、ダウンタイムを回避するにはコンマ1秒単位が勝負です。機械式の安全クラッチは、取り付けと使用が容易であるという重要な技術的メリットをお客様にもたらすだけでなく、工程の安全性向上にも大きく貢献します。
詳しい情報はHPまたは無料のR+Wアプリで安全クラッチについてご確認いただけます。ぜひご覧ください!
押し出し機は、プロセス工学でよく使用されます。押し出し機には主に2つの種類があり、それぞれの工程に応じて分類されます。1つは材料の成形に使用される押し出し機成形機で、もう1つは化学的、物理的な改質に使用される混錬機能のある押し出し成形機です。押し出し工程中に、個体液体を問わずさまざまな材料が圧力をかけられ、出口から押し出されます。対応可能な用途も幅広く、建設、自動車、航空、医療技術および家具製造業における押出技術など様々な分野に用いられます。このため、カップリングを含め適切な部品を選択することがさらに重要になります。
押し出し機の構造と機能
押し出し機は通常、シリンダとその中の長いスクリュシャフトで構成されています。シリンダの端には成形の出口(ダイ)が配置されます。シャフトの動力としては歯車駆動の電気モータが使用されることが多く、シリンダの反対側の端に取り付けられます。粘土、セラミック、ゴム、熱可塑性ポリマー、業務用食品生地、アルミニウムなどの材料が、ホッパーからシリンダに供給されます。塗料や強化材などの添加材料が必要な場合は、サイドフィーダーで供給します。シリンダ内部は3つの区域に分かれ、それぞれの区域では異なる工程を担当します。第1区域の加熱区域では材料が供給され、溶融され、圧縮されます。第2区域では材料はさらに圧縮されます。第3区域の押し出し区域では材料が均一にダイへ流れるようにします。押し出し機を使用する製品は、パイプ、ホース、フィルム、自転車のリム、焼き菓子、スナック菓子、カラメルなど、他にもたくさんありますが、駆動装置にとっては、難しい課題になることが多いです。高圧、高温、混錬がこの工程にとって非常に重要です。歯車や軸などの高価な部品を保護するためにトルク過負荷発生時に動力を遮断する安全クラッチは、非常に合理的です。
押し出し機に取り付けられた半割クランプの安全クラッチ
重工業分野MSTシリーズの安全クラッチは、どんな種類の押し出し機にも対応可能です。これらの耐久性の高いカップリングはコンパクトな設計にもかかわらず、高いトルクに特化して開発されました。異物が機械へ侵入することによって発生することが多いトルク過負荷。このとき安全クラッチは、押し出し機を損傷から保護するために、1ミリ秒以内で動力を確実に遮断します。これにより、修理費用と設備停止時間を大幅に削減できます。トルク過負荷の原因を取り除いたあと、安全クラッチ外周部に組み付けられているプランジャに軸方向の力を加えれば、安全クラッチは素早く簡単に再連結できます。安全クラッチは、振動を減衰させ衝撃を吸収すると同時に、偏心、偏角、エンドプレイ方向のミスアライメントを許容できるように、エラストマ形カップリングと一体化した状態で設計されています。両側半割クランプ締結、または片側はフランジにもう一方はキー締結ハブを組み合わせるような、ご希望に沿った締結方法に対応いたします。安全クラッチは、軸直角方向から取り付け、取り外しが可能で、モータを取り外すことなく取り付けられます。押し出し機向け特殊安全クラッチは、200~14,000N・mの遮断トルクに対応しており、オプションでATEX認定も承っております。
モジュール設計
安全クラッチの内蔵部品は、表面に黒色酸化処理を施した硬化鋼でできています。トルクモジュール(ボールソケット式プランジャ)は、遮断トルク調整範囲を変更するために数を増やしたり減らしたりすることができるほか、指定の範囲内でなら設定遮断トルクを変更することも可能です。ハブとエラストマ形カップリングは鋳鉄製です(ダクタイル鋳鉄40)。エラストマインサートはTPUまたはハイトレル®製で、押し出し機の使用方法に合わせたショア硬さを選択できます。例えば98Sh A(高振動減衰)または64Sh D(高剛性)のショア硬さのエラストマインサートを取り扱っており、各タイプは色によって区別されています。エラストマは、カップリングおよびドライブライン全体の特性を左右し、回転方向の振動を最適化するのに役立ちます。
安全装置としての安全クラッチMSTシリーズ
R+Wの安全クラッチは、耐久性が高い設計のため、押し出し機のほかにも圧延機やその他の製鉄設備、風力発電機、掘削機、水処理プラント、産業用シュレッダ、トンネル掘削機など、条件の厳しい様々な用途に使用されています。コンパクトでシンプルな設計と精密な調整機能により、これらすべての用途に最適です。安全クラッチは200~250,000N・mの範囲に対応しています。1軸と2軸の両方に対応しており、トルク過負荷発生時に、動力を完全に遮断します。
低トルクモデル安全クラッチMSKシリーズ
R+Wの安全クラッチは、特に押し出し機と使用する場合には、お客様との度重なるご相談ののち、条件に合った製品を選定、またはカスタマイズいたします。遮断トルク、伝達トルク、締結方法、必要なスペースは、たくさんの要素のうちのほんの一部です。MSKシリーズの精密安全クラッチは低いトルク(0.1~2,800N・m)の用途に適しています。締結方法は、キー、テーパーロック、クランプ、半割クランプなど、さまざまです。機械の設計によっては、スプロケットまたはプーリを用い1軸で使用することもできます。また、原点復帰型、インデックス型、フリーホイール型、負荷保持型など、4つの遮断システムをご用意しております。それとは別に、カスタマイズも可能です。
振動減衰と半割クランプ
R+W エラストマ形カップリングには、安全クラッチ機能なしのタイプもあり、許容トルクは0.5~25,000N・mです。カップリングは、どんなに取り付けが簡単なものでも、振動減衰とミスアライメント許容が可能です。前述のようにインサートのショア硬さが選択可能で、この特性はドライブライン全体に影響します。締結方法は、キー、テーパーロック、クランプ、半割クランプ締結といった選択肢があります。半割クランプは、押し出し機だけでなく、工作機械、印刷機、包装機のサーボドライブ、制御および位置決め装置にも多く使用されています。
押し出し機に適切なカップリングを採用することは、費用対効果の高い投資と言えるでしょう。R+Wスタッフは、押し出し機の保護について喜んでご相談に乗ります。詳しい情報はHPとR+Wアプリへ。
最高の精度とダイナミクスを実現するカップリング
カップリングメーカのR+Wは、国際金属加工見本市EMOのモットーに、「インテリジェント生産のためのコネクティングシステム」を掲げています。カップリングは、インダストリー4.0の時代であっても、設備オペレータにとって重要な役割を果たします。慎重に選択すれば、駆動系の性能を向上させ、速度、安全性、および精度を達成するのに不可欠なものとなるでしょう。
世界最大の金属加工見本市では、業界全体が最新の設備や効率の高い製品を発表します。EMOハノーバーでは、工作機械、生産システム、精密工具、自動マテリアルハンドリング、コンピュータ技術、産業用電子機器および付属品の切削と成形に焦点を当てています。またこの見本市は、その国際的な範囲と規模だけではなく、出展されているイノベーションの数が際立っています。2013年に開催された前回のEMOハノーバーでは、45%の出展者が新しく開発されたものを展示した、という調査結果がありました。カップリング専門メーカであるR+Wは、今年も機械市場にすばらしい革新をもたらすでしょう。
工作機械は、駆動部品にとって条件の厳しい用途です。効果的に稼働することを保証するためには、迅速に、柔軟に、そして正確に作動する必要があります。非常に高速でダイナミックな動きとともに、0に近い公差を持つ正確な位置決めが求められます。このようなシステムは、振動減衰、剛性、バランス、慣性モーメントなどが完璧に調整されて初めて正確に作動します。R+Wには、どのような条件の工作機械であっても適切なカップリングをご提案できる経験があります。
ダイナミックな荷重をコントロール
カップリングは、駆動系の作動状態、そして最終的にはシステム全体に大きな影響を与えます。R+Wは非常にダイナミックな荷重と、正確な再現性および正確なトルク伝達を両立させることを目的とした、精密分野向けのさまざまなゼロバックラッシ対応カップリングをご用意しております。このタスクを実現するためにゼロバックラッシ対応製品には、振動減衰エラストマ形カップリング、剛性の高い金属ベローズ形カップリング、板ばね形カップリング、トルクを遮断する安全クラッチがございます。
ゼロバックラッシの精密機器分野エラストマ形カップリングは、振動を減衰すると同時に、高い位置決め精度のために適度な剛性をもたらします。また、0.5~25,000N・mのトルクに対応し、偏心、偏角、エンドプレイを許容することができます。適切に選択することで、エラストマ形カップリングのインサートが駆動系全体の振動を最適化します。R+Wはどんな要求にも対応できるよう、さまざまなショア硬さなどの特性を持つインサートをご用意しており、振動減衰性、剛性、電気伝導性、熱安定性の条件を満たすことができます。きっと、振動減衰と剛性の間で適当な中間地点が見つかるでしょう。エラストマ形カップリングの締結方法には、取り付けが簡単なクランプ、半割クランプ、コレット軸などがあります。MEL6SPタイプは、スピンドルドライブなどの高速回転向けに開発されています。エラストマインサートは振動を減衰する効果を持ちながら、圧入して取り付けられていることから、ゼロバックラッシを実現します。テーパーロックハブとジョーにより、高い同心度とバランスを維持したまま滑らかな動力伝達が可能です。
精度向上のためのモジュール設計
特殊素材に加え、それぞれの部品をスマートに圧縮することで、寿命や精度に影響を与えることなく、さらなる軽量化を実現しました。R+Wのために開発された特殊な皿バネは、ボールソケットの原理を進化させ、トルクを最大50%強化しました。ばね荷重を利用した機構により、お客様が求める、半永久的なゼロバックラッシかつ剛性の高いカップリングが完成しました。クラッチボールは、円錐状のソケットに固定されています。特殊な特性曲線を持つ皿バネにより、瞬時に、正確にトルク過負荷から保護することを可能にします。設定した遮断トルクを超えると、安全クラッチの出番です。クラッチボールは元の位置を離れ、トルクの流れが遮断され、残留摩擦がゼロになります。クラッチボールは、対応するソケットに固定されている間は動きません。これにより、予め設定された遮断トルクに達していない、通常稼働中はクラッチボールが摩耗しないようになっています。遮断時にばね荷重は低下し、移動リングも軽量なため、摩耗は最小限にとどまります。他の摩擦クラッチに発生するような環境要因による遮断トルク値の変化は論外です。
位置決め
ゼロバックラッシで高剛性のベローズ形カップリングは、工作機械、歯切り盤、その他自動化システムにおける、非常にダイナミックなサーボモータ軸に課される特有の条件に対応するのに理想的な製品です。これら精密カップリングは、位置決め精度が最優先される場合に使用されます。耐久性が高くと、メンテナンス不要な設計により、高い費用対効果と信頼性を実現します。ベローズ形カップリングは、0.05~10万N・mのトルクを伝達し、さらに偏心、偏角、エンドプレイを許容します。エラストマ形カップリングと同様にベローズ形カップリングも、最適な軸締結方法と組み合わせて長尺形カップリングのご注文も可能です。
高速回転対応製品
R+Wの新製品で高速回転に最適なのは、MBK3SPタイプのベローズ形カップリングです。このカップリングは外側のテーパーロックハブが特長で、回転速度が非常に速い場合であっても滑らかに作動します。回転対称性によって優れたバランス品質も保証します。前述した用途の他に、ベローズ形カップリングは試験機、紙工機械、印刷・ラベリング装置、包装機械にも使用されています。MKシリーズは、測定システム、制御システム、より小さなサーボドライブやロータリエンコーダーなどの用途に適しています。
クーラントが軸の中を通る!?
EMOでは、高い耐久性と性能が求められる場合に理想的な、板ばね形カップリングの多彩な用途を発見する場でもありました。板ばね形カップリングは350~24,000N・mに対応しており、高い剛性を持っています。様々なタイプから選択可能で、ゼロバックラッシのテーパーロック締結が可能なMLP3(ダブル)とMLP4(シングル)は、特に逆回転のトルクにも適しています。
さまざまな標準品に加えて、中間軸にクーラント供給システムが一体化した特殊品もご用意しております。これは、特にDBSEが長い工作機械を扱うメーカにとっては、大きなメリットです。特別に設計されたこのカップリングは、パイプの両端にハブが固定されており、長い距離でもクーラントを直接工具に導くことができます。テーパーロックハブと動バランス取りによって、滑らかな動作と最小限の振動が実現します。さらに、軸のミスアライメントは、剛性の高い板ばねによって許容されます。耐久性が高く、強力なMLPシリーズは、お客様にシンプルな設計、短い組み立て時間、速い加工速度、永い寿命をもたらします。
MSK、MELS、とMSLシリーズのゼロバックラッシ精密機器分野安全クラッチは、0.1~2,800N・mに対応しており、多くのメリットを提供します。あらかじめ設定した遮断トルクにより、安全クラッチは、ギヤ、軸、ボールねじなどの機械部品を、トルク過負荷とその後の損傷から保護することができます。この機能により、故障時の設備停止時間を大幅に短縮します。R+Wの重工業分野製品のMSTシリーズは更に大きな最大25万N・m以上のトルクに対応できる製品もご用意しております。
R+Wアプリのバーチャルカップリング
今年のEMOハノーバーもまた、R+Wの様々なカップリングをご紹介する素晴らしい舞台となるでしょう。しかし、そんなに長く待てない!という皆さまには、新しいR+Wアプリをご紹介します。バーチャルリアリティによって、お客様はこれまで以上に3次元的で双方向的かつ詳細に、さまざまなカップリングを体験することができます。製品に近づくための唯一の方法は、実際に触れることです。最新バージョンのアプリでは、安全クラッチの調整や再連結の方法などについて知ることもできます。バーチャルショールームでは、R+Wの可能性をご紹介します。R+Wは、このような革新的なアイデアによって、仮想的な方法だけでなく、実用的で大胆な方法で製品をお客様に提供しています。
白と黒で時代の流れに乗る
R+Wはこの1年で明確な差別化を図っており、ハノーバーメッセでは、白と黒に分けて展示しました。白は精密製品分野、黒は重工業分野を表しています。代表のFrank Kronmüllerは「当社の専門化戦略は、カップリング部品に対する要求がより特殊になるにつれて必然的なものでした。駆動技術における新たな用途の数は増え続けており、特殊なカップリングが必要とされています。これは、どのシリーズにおいてもかなり特殊な製品を求められていることから明らかでしょう。」と説明しています。
ハノーバーメッセで注目されていたのはエネルギー分野でした。この分野では、大規模な発電所による一方的な供給から、消費者と生産者の相互ネットワークへと、市場が大きく変化しています。消費者は生産者にもなり、その逆の場合もあるでしょう。「統合エネルギー」への傾向は、展示会でのメイントピックの1つです。バイオガスプラント、マイクロガスタービン、風力、水力による発電などにはすべて、適切なカップリングが必要です。
エネルギー分野の事例
例えば風力発電の場合、いわゆるピッチ制御システムは、ロータブレードの傾斜(ピッチ角)を測定し、監視し、制御することで、風の状態が変化にしても一貫した能力を発揮することができます。正確な位置決めには、ゼロバックラッシでメンテナンス不要のベローズ形カップリングが使用され、正確な位置決め、高い再現性、信頼性の高いトルク伝達を組み合わせています。R+Wは、MBK2シリーズを基に大型洋上風力発電所向けの特殊品を開発しました。外洋での厳しい環境条件に耐えることができるように、鋼製のハブには特殊な表面仕上げを施しており、ハブとベローズは溶接で接合されています。
カップリングはバイオガスプラントでも活躍しています。メタンがガスエンジンに送り込まれ、レシプロエンジンで発電します。このバイオガス基質は、前処理の破砕工程において、石などの固体粒子の不純物が混ざり、システムにコストのかかる損傷をもたらすことがあります。そこで、信頼性の高い保護装置として、振動減衰および衝撃吸収が可能なエラストマ形カップリング付き安全クラッチをご提案しました。例えば駆動被動間を接続するためにMELS2シリーズを実際に使用しました。さまざまなショア硬さが選択できるエラストマインサートは、あらゆるミスアライメントを許容し、用途に応じた振動や衝撃を吸収します。固形物によってツマリが生じ、結果としてトルク過負荷が生じた場合、あらかじめ設定された遮断トルクによって、カップリングは、ばねを利用したボールソケット式の機構により、数ミリ秒以内にエンジンとロータを遮断します。これにより損傷を防止し、設備停止時間を短縮します。
3つ目の例はマイクロガスタービンです。分散型発電設備で使用されることが多く、高負荷に曝されることも少なくありません。あるプロジェクトでは、小型ベローズ形カップリングが年間を通じて常に10N・m、7万r/minの速度で確実に作動する必要がありました。R+Wでは、MK 2/100を基に、特殊なベローズによって必要な安全マージンを確保し、ベアリングの損傷がない限り工程内で発生する復元力を低減する特殊な製品を開発しました。標準品の約4倍のトルク過負荷に耐え、作業者に十分な信頼性をもたらすでしょう。
自動化の精度
ハノーバーメッセで注目され続けているもう1つのトピックは自動化です。高度に自動化された工業製品の生産ラインには、ガントリーローダーや産業用ロボットなどに正確なモーションシステムが必要です。ダイナミックな多関節ロボットは、多くの生産ラインにおいてサイクルタイムの短縮に貢献しています。これには、速度、精度、加速度など、高い要求に対応するように設計された駆動部品が必要です。
R+Wは、MELシリーズのエラストマ形カップリングを、産業用ロボットなどの用途向けに開発しました。伸縮性のあるエラストマインサートは、高い柔軟性と優れた強度を同時に実現します。振動や衝撃の減衰効果を持ち、軸のミスアライメントを許容することができます。
エラストマ形カップリングの設計には多くの条件が関わります。荷重、起動、温度要因は、エラストマインサートの耐久性に影響します。インサートは、様々なショア硬さが選択できるため、振動減衰性、剛性、ミスアライメント許容において、ほぼすべての用途に対して適切な解決策が見つかるでしょう。位置決め精度が優先される場合には、ベローズ形カップリングを選択することもできます。R+Wの設計者は、適切なカップリングをおすすめできるように経験を積んでいます。
カップリング業界のインダストリー4.0
自動化と密接に関連しているデジタル化は以前から注目を集めており、無人化による自動化レベルの向上に伴い、精密な作動部品や機能的な安全対策が求められています。インダストリー4.0の時代には、カップリングは生産性を向上させる重要な役割を担い、必要な安全性を確保することができます。
Kronmüllerは「最新の自動化生産ラインでは、考え抜かれたデジタル戦略「インダストリー4.0」でも、カップリングは重要な部品として残っています。これはトルク伝達だけではなく、安全装置としての役割も担います。」と強調します。例えば、機械式安全クラッチが有利な点は、駆動系を遮断するまでの速度であり、これは、電子式あるいはセンサによる手段を大きく上回り、不具合も発生しにくいことが挙げられます。
「電子制御によって遮断する場合には、少なくとも15~17ミリ秒かかります。安全クラッチは3~5ミリ秒以内に反応するため、勝者は明らかです。さらに、センサは不具合の原因となることがあるため、意図せぬ作動停止をしないよう定期的に確認する必要があります。」1つの軸に対して必要なのは1つの安全クラッチだけで、容易に調整ができ、さまざまな取り付け方法に対応しています。「これはカップリングの大きなメリットとなるでしょう。」とKronmüllerは述べています。
R+Wはお客様の生産ラインのデジタル化をサポートしたいと考えており、常に新しい用途を探しています。同時に、標準品についてもできる限り多くの用途に対応できるよう、既存の製品ラインナップを編成し直し、拡大しました。サイズの整理と部分的な再設計により、R+Wは今後の傾向に十分対応できると考えています。
ハノーバーメッセについて
「私たちにとって、ハノーバーメッセには2つの目的があります。1つは当然、私たちの技術と製品を紹介し、新しいお客様に良い印象を持ってもらいたいと思っています。これが展示会の最重要点です。もう1つは、ここで紹介されているトレンドとイノベーションです。市場の方向性や、どのような用途に対応する必要があるかを見極める良い指標となります。展示会では、当社の製品を使用することにより改善可能な技術を体験できます。これはとても刺激的なイベントです。」—Frank Kronmüller
カップリングを、塵埃の多い環境や液体、強力な洗浄剤などと接触する可能性のある環境で使用する場合に備え、R+Wは内部部品を密閉することを可能にしました。これは同時に、カップリングからグリースが漏れないようにする機能も果たします。この設計では、全部品がハウジングに完全に内蔵され、特殊なシールが施されます。特別に開発されたOリングは、カップリング本体に装着され、大きな移動リングで覆います。この製品は、外部からのあらゆる影響から保護し、クリーンルームでも使用できます。
製品ラインナップの方針
「カップリングは繋げるのになくてはならない存在です。しかし、本当にカップリングが特別な存在であり、差別化されているところは、付加的な機能の部分です。R+Wではお客様と密に連携し、特殊な用途向けの製品を実現しています。これらの特殊品は、技術的な観点において常に一歩先を行くものであり、市場のニーズに応えるものであるため、私たちとしても高く評価しています。特殊品の開発により得られた知識は、標準シリーズに順次展開され、多くのお客様にメリットをもたらします。どちらも当社にとって重要ですので、将来的には特定のカップリングを指定する必要はありません。」—Frank Kronmüller
R+Wの安全クラッチとガスパイプラインとの関係
大きな設備は、些細なことで大きな違いが生まれます。例えば鋼管メーカーのユーロパイプでは、ゼロバックラッシの安全クラッチが活躍しています。ミュールハイムを拠点とするユーロパイプは、SalzgitterグループとDillinger製鉄所の合弁企業です。二交替制で操業しており、洋上で採掘したガスを輸送するための大口径パイプを1日に最大500本製造しています。長手方向に溶接されたパイプは、直径が約0.6~1.50m、長さが12~18mです。
オーナーから供給される原料は、高強度できめの細かい建築用鋼材である厚板をあらかじめ圧延したものです。製造される最終製品にもよりますが、厚板の重さは最大15トン、厚さは10~40mmです。
厚板は、最終的には、6万トンの出力量を持つ大型プレス機を用いてパイプ状に成形し、裏側、表側の順に長手方向に溶接します。大きさと精度など、正確につき合わせることができるかどうかは厚板の準備段階が勝負です。厚板が曲げプレスに到達する前に、厚板の両端を長手方向に研ぐ必要があります。ローラが厚板を調整テーブルに搬送し、そこで厚板を定位置にクランプします。次に、平削り盤がテーブルの上の厚板の両側に沿って移動し、必要な寸法にフチを調整するのと同時に、次の溶接工程に適した形状に備えます。
平削り盤の重量は約40トンで、4つの132kWモータで動きます。この動力は減速機となるプラネタリギヤに伝達され、プラネタリギヤにはラックにつながるピニオンギヤがつながっています。ここで、R+Wが登場します。R+Wの精密カップリングは、モータとギヤの間を接続します。MSK2/1500は、ゼロバックラッシのトルク伝達用カップリングです。このカップリングは、組み立ての結果生じるモータとギヤシャフト間のミスアライメントをベローズで許容します。ベローズは、偏心、偏角、エンドプレイを許容するために柔軟性がありますが、回転方向に対しては剛性があります。これにより、平削り盤の位置検出に重要な、トルク伝達時の角度の精度が確保されます。軸はクランプハブによって半径方向に固定するスクリュを用い、摩擦力で締結します。お客様の必要に応じてキー溝を追加すれば、軸締結力が向上します。
カップリングは、ドライブトレインを保護する上でより力が試される、第2の役割も担っています。平削り盤は、厚板に沿って65m/分の速度で移動します。最大厚さ9mmの金属を除去するため、各工程で最大25kgの切粉が排出されます。機械の位置決めが正確でないと、刃物が必要以上に厚板の奥まで貫通し、トルクが急激に上昇してしまいます。理論的には、これは制御装置によって検出できます。しかし実際に故障が発生したとき、制御装置が求められる時間内に移動する物体の力に対抗するのにできることは何もありません。その結果、駆動部品は故障し、高額な修繕費だけでなく、生産停止によるコストも発生します。R+Wのカップリングには、トルク過負荷が発生した場合に、数ミリ秒以内に動力を完全に遮断する、特別な安全機能が含まれています。カップリングの内部では、精度の高い特殊な皿ばねを使用してクラッチボールに予圧が与えられています。これにより、ゼロバックラッシの状態で必要なトルクを確実に伝達することができます。ぴったり1,100N・mという設定トルクに到達するとすぐに、ボールは定位置から移動します。これにより連結が解除され、トルクが遮断されます。
機械的なこの仕組みは、ギヤと平削り盤の特殊な刃物の両方をトルク過負荷から効率的に保護します。
装置は1976年から使用されており、この間いたるところをオーバーホールし、改善を図ってきました。ボールソケット式の安全クラッチを採用する前は、トルク過負荷からの保護装置として流体継手を使用していました。この背景と比較しても、R+W製品のメリットは明らかです。まずは取り扱いが非常に簡単です。部品を交換し、ポンプとオイルを使用してカップリングを再び稼働できる状態にする代わりに、遮断後、フリーホイール型の安全クラッチを再連結するのに必要な工具は1つだけです。
さらにR+Wの安全クラッチはトルクを確実に伝達し、設定トルクに達したときのみ遮断することからわかるように、極めて優れた精度を誇っています。ほとんどの駆動装置と同様に、平削り盤の駆動装置の約20mにも及ぶラックは、複数の部分で構成されています。平削り盤がそれぞれの部分のフチを通過するたびに、わずかな障害が発生し、駆動装置には負荷がかかります。4つのモータが、マスタ/スレーブ方式で接続されるので、3つのモータは、残りの1つのモータが制御し、より多くの電力を供給します。出力の急激な増加は、トルクサージを引き起こします。サージが発生した際、流体継手にはわずかなすべりが発生していました。制御装置が複雑なため、特に位置検出に関しては、駆動部品は定期的に複雑な校正が必要でしたがR+W製品の信頼性の高いトルク伝達により、校正は必要なくなりました。
これは、R+Wが些細な事で大きな変化をもたらすことができるということを示しています。永い製品寿命、稼働中の高い信頼性、低コストを実現したR+W製品は、文句なしの成功を収めています。
R+Wのカップリングで自動化設備を改善
産業界における自動化はますます進んでいます。工程がより複雑で、より速く、より自由自在になるほど、関係するそれぞれの部品と駆動装置が正確に動作することがより重要になります。これを確実にするために、R+Wは最も厳しい要求をも満たす特殊なカップリングを提供しています。
今日の複雑な自動生産ラインは、より速く、より効率的に、より経済的に製品を加工します。求められる性能、安全性、および製品寿命を実現するために、企業が高度な技術に頼ることは問題ないでしょう。労働力が減少したり、設備停止が発生したりすると、多額の経済的損失を被る可能性があります。その中でカップリングは、駆動装置が確実に作動するために重要な役割を果たします。
お客様の条件にぴったりの特別なカップリング
R+Wはドイツに拠点を置く世界有数のカップリングメーカーです。材料供給や組み付け、搬送など自動化技術向けの標準品だけでなく、お客様の条件にぴったりの特殊品も対応可能です。特殊なカップリングを製造する過程ではお客様の要求を詳しく聞き、カップリングの開発を行います。
最近の例では、食品充填設備のサーボモータと弁棒の間でトルクを伝達するための精密カップリングについて問い合わせがありました。カップリングは、5N・mのトルクをバックラッシュなしで正確に伝達し、また22.5N・mの最大トルクに対応する必要がありました。お客様は回転方向の剛性のほかに、全長が短くコンパクトで、また垂直方向に取り付けられるため、3.5kgの重量に耐えられるよう設計する必要がありました。しかし、課題はそれだけではありませんでした。24時間365日稼働し続ける中、カップリングにかかる最大100Nの引張荷重と圧力荷重や偏心、偏角、エンドプレイを考慮する必要がありました。どれも複雑な条件です。
小さな本体で抜群の性能
それにもかかわらず、R+Wの技術者はすべての要求を満たすカップリングを開発しました。カスタマイズされた製品は、R+WのMBK2/15(図1)のベローズ形カップリングを基にしています。垂直に設置され、引張荷重と圧力荷重を受けるため、カップリング内部は軸をサポ―トできるように特殊な設計がされており、最大100Nの引張荷重、圧力荷重に耐えることができます。同時に、回転方向の剛性が高いベローズ(図2)は、取り付けた際に発生する駆動側と被動側のミスアライメントを許容します。最終的には、カップリングの全長を59 mm、外径を49 mmまでにすることで、お客様がご希望のコンパクトな設計を実現できました。
R+Wでは、ハイテク材料を使用しており、小さなサイズであっても抜群の出力密度を実現しています。カップリングは食品加工業の厳しい衛生条件に対応するために、溶接接合によるステンレス鋼製に変更して製造されました。ステンレス鋼は耐食性に優れ、このような環境下で使用される強力な洗浄剤や高温にも耐えられます。その結果、お客様は、取り付け後の機械的な負荷だけでなく、厳しい環境にも強いカップリングを手に入れることが出来ました。
お客様にとってのメリット
お客様のニーズに合わせて特別に開発したカップリングによって、お客様にもたらされるメリットは様々です。主な改善点の1つは、充填設備で日常的に行われる洗浄とメンテナンスに関するものです。カップリング内蔵のサポートにより、サーボモータと弁棒をシステム内の装置として持ち上げることができます。これにより、洗浄にかかる時間だけでなく、どんな充填装置にも合うため、取り付けにかかる時間も短縮され、設備のサイクルタイムが大幅に向上します。24時間365日稼動に対応できるように設計されたこのカップリングにより、担当者は生産性を向上させ、市場での立ち位置をより良いものにすることができました。
製薬会社の複雑な課題
生産工程の効率性と安全性を高めたいという要望も、新しいお客様がR+Wにやってくる理由の1つでした。製薬業界で事業を展開するこのお客様は、製造工程の柔軟性に対する需要の高まりに直面しています。また、日ごろから製品や工程の変更を行う必要があります。つまり生産設備全体が、必要に応じて工程順序などを変更できるような構造が必要ということです。
調整可能な可動式の「テーブル」もまた、医薬品や化粧品のさらなる加工において重要な役割を果たします。この設備には回転軸に固定された、可動式テーブルがあります。ある工程では、合計500~1,000個の充填されたバイアル瓶がテーブルに搬送、一時保管され、その後スライダによって次の工程に移ります。しかしながら、工程間のこの接点もまた、重要な課題となりました。
製薬会社は、どんなバイアル瓶の形状にもどんな薬品にも対応するために、柔軟性のあるバイアル搬送装置を使用することにしました。しかし荷重によっては、テーブルが旋回点に対して最大0.3mm傾斜する可能性がありました。傾斜による段差によって搬送時に衝撃が発生し、バイアル瓶が落下する可能性があります。このため、可動式テーブルとその前後工程の装置が接触するポイントに、段差が生まれないようにする製品を必要としていました。
お客様は以前、テーブルの回転や調整にサーボモータを使用し、ノーマリークローズのセンサを使用していました。この駆動装置では、振動減衰性のあるエラストマ形カップリングが、減速機と回転軸の間の動力を伝達し、軸のミスアライメントを許容します。サーボモータが機械のシステムを動かし、確実にテーブルの位置合わせができるようにしていました。この方法で荷重による傾きは防げましたが、頻繁な段替えなどにおいてはパラメータの変更が必要となるため、まだ多大な労力が必要でした。このため早く、正確に次工程へつなげるためにバイアルを一時保管する工程はより複雑なものになってしまいました。
回転方向の剛性が高い特殊品
答えはR+Wにありました。R+Wの技術者たちは、必要な回転方向ばね定数、最大ねじれ角度、必要なトルクに完全に対応できるように設計されたベローズ形カップリングを開発しました。柔軟性の高いエラストマ形カップリングの代わりに、回転方向の剛性が高いベローズ形カップリングが使用されることになったため、テーブルの剛性が高まり、バイアル瓶の重さがあっても傾くことがなくなりました。これでバイアル瓶がまっすぐに次工程へ搬送されるようになりました。R+Wが開発した特殊なカップリングの機能により、コストのかかるセンサと電気制御回路の必要性もなくなりました。時間のかかる調整作業は、もはや必要ありません。
バイアル瓶は1つ250ユーロを超えるような場合もあり、テーブルに何らかの保護を追加するという要望も追加されました。R+Wはこの特殊なカップリングに、ベローズ破損保護を設計し、再び最適な製品を提供しました。カップリングの寸法は変更されていません。例えばトルク過負荷などにより最悪の事態が発生してベローズが破損した場合でも、ハブが互いに確実にかみ合い、最低限の機能を維持します。つまり、テーブルが傾いたり倒れたりすることはありません。
お客様にとって、この新しい概念はメリットと言って間違いないでしょう。ドライブトレインが簡素化されたことで、複雑なセンサや制御の必要性がなくなり、何度もテーブルを調整する必要もなくなりました。また、R+Wのカスタマイズが可能な製品により、製品や工程の変化に対しても、効率的にシステムを適応させることができるようになりました。これによりコストと時間の両方が削減され、生産性が向上しました。さらに、ベローズの破損防止機能が内蔵されているため安全性が向上し、確実で安定した工程が実現できます。お客様が今後も柔軟に生産に対応し、それぞれの顧客のニーズを満たし、市場の動向に追随するのに貢献するでしょう。
この例は、自動生産ライン工程がカップリングによってどのように改善されるかを示しています。高いはめ合い精度に加え、ハイテク材料と高品質な加工も重要な役割を果たします。R+Wのカップリングは、標準品でも特殊品でもこれらの基準を満たし、駆動装置に組み込むことで、生産ライン全体が途切れなく稼動するのに不可欠な役割を果たします。
自動化用途向けの様々な標準品
カップリングのカスタマイズはR+Wの特長の1つですが、標準品もカップリングに求められる様々な条件に対応しています。ドイツを拠点とするこのメーカは、剛性の高いベローズ形カップリングだけでなく、自動化技術のための高い安全性を備えたエラストマ形カップリングもご用意しております。
MSKシリーズ、MELSシリーズの安全クラッチ (図3) は、MSLシリーズと同様にトルク過負荷発生時に駆動被動間を保護します。MSLシリーズは軽量で、コンパクトな寸法と小さな慣性モーメントにもかかわらず高い出力密度を実現します。振動減衰性のあるエラストマ形カップリング(図4)は、衝撃吸収やミスアライメントを許容する必要がある場合に使用されます。R+Wのすべてのカップリングは、クランプ、テーパーロック、キー、フランジ締結など、サイズも締結方法も様々な製品をご用意しております。
回転式仕切弁の安全クラッチ
石炭バンカーか、穀物サイロか、代替燃料(木質ペレットなど)の貯蔵庫か、セメント工場のような貯蔵環境であるかは関係なく、バルク材の大きな貯蔵庫への積み降ろしは、一見複雑に見えるかもしれません。
貯蔵庫に積み込むときと、降ろすときでは、課題が異なります。第1に、モノを輸送し続けることが重要です。貯蔵庫が大きければ大きいほど、貯蔵庫の出口にかかる圧力も大きくなります。しかし、重要なのは流動挙動であり、これはバルク材の種類によって完全に異なります。液体と比べて、貯蔵庫中のバルク材の線形圧力の増加はありません。ここでは、回転式仕切弁が必要な流出量の制御を担っています。仕切弁は砂利用の仕切弁としても知られており、その機能は回転ポンプに似ています。回転式仕切弁は通常、材料貯蔵庫の出入口にフランジが付けられ、フランジが材料の入出力をします。基本的な機能原理は非常に単純です。ハウジング内のロータは電気機械的にコントロールされます。ロータ上には回転方向に平行な薄板金属が一定の角距離で取り付けられており、これがロータセルとなります。圧力と重力によって、材料は、仕切弁の入力側を通り、貯蔵庫の出力側からロータセル内に落下します。ロータの回転とその結果生じる遠心力によって、材料は仕切弁の出力側でロータセルから解放されます。バルク材の流量はロータの回転速度とセルの大きさによって正確に制御できます。より複雑な用途では、回転式仕切弁が同時にエアシールを形成します。例えば、チャンバーミルは、減圧下で使用されることも多くあります。回転式仕切弁はこの役割も担うので、空気が混じってしまうことは最小限に抑えられます。
設備故障や設備停止からの保護
搬送される材料によっては、固まったり、異物が侵入したりして、ロータが固着することがあります。このような状況は必然的に始動トルクの大幅な増加につながり、歯車や仕切弁ロータの故障の原因となることがあります。これは、生産性が低下するだけでなく、故障した駆動部品を交換するために不必要なコストがかかることになります。しかしR+Wは、このような状況を完璧に防ぐことができます。安全クラッチMELS2タイプがおすすめです。
MELS2は、標準的なジョーカップリングのハブが使用されています。ハブの間には、異なるショア硬さが選択可能で、駆動被動間のミスアライメントを許容する柔軟なエラストマインサートがあります。しかし片方のハブには、予圧を与えたばねを利用したボールソケット式の安全クラッチ機能を備えており、バックラッシが発生しないようになっています。クラッチボールがカップリングの本体に支えられており、特殊な皿ばねが動力伝達の基盤となります。伝達されるトルクが設定トルク値に達すると、エンジンとギアの間の動力は、ミリ秒以内に完全に遮断されます。
カップリングの遮断トルクは、お客様のご要望に基づいてあらかじめ設定されており、調整範囲内であれば必要に応じていつでも簡単に再調整できます。様々なサイズをご用意しているため、目的に合わせて柔軟に調整が可能です。遮断トルクは、呼びトルクとタイプによって、1~から1,800N・mに対応可能です。
手動で再連結するフリーホイール型の他に、MELS2には3つの遮断タイプがあります。「原点復帰型」は遮断後、被動側にかかるトルクが許容トルク以下になると、自動的に再連結します。再連結位置は1点のみで、ちょうど360°回転したところで自動的に再連結します。インデックス型も同様に機能しますが、再連結位置は1か所ではなく60°ごとの6か所あり、オプションで30°、45°、90°、120°ごとの再連結も対応可能です。負荷保持型には、トルク過負荷が発生した際に駆動被動間が一定の角度回転後、負荷を維持する機能があります。
重工業分野向け安全クラッチ
高トルク用途にはMST2をお勧めしております。原理的には、この安全クラッチは前述したものと同様の仕組みですが、200~165,000N・mの遮断トルクに対応しています。従来は、シャーピンカップリングが多く使用されていましたが、現在はMST2が制御可能な信頼性の高い緊急停止装置として動作します。また、メンテナンス費用が極めて低く、取り扱いが簡単であるというメリットがあります。設備故障により動力が遮断された後は、カップリングを元の位置に戻すだけです。カップリングに組み込まれたトルクモジュールをプラスチックハンマーで叩くと、カップリングはすぐにお使いいただけるようになります。従来のシャーピンカップリングや流体継手と比べて、ピン、オイル、特別なポンプなどの追加の消耗品は必要ありません。したがって、特別な資格のない担当者も素早く、簡単に再連結を行うことができるのです。
さらに、オプションでMELS 2とMST2は、状態をモニターすることもできます。カップリングが遮断されると、移動リングは軸方向に移動します。この機械な移動は、別途設けた近接スイッチによって検出することができます。MELS2とMST 2はコンパクトな設計にもかかわらず、過酷な環境にも対応しています。特殊ベアリング、追加シール、ハイグレード鋼、ATEX環境対応設計などのオプション機能により、この安全クラッチはあらゆる環境の駆動装置に適した安全装置となるでしょう。
最初に述べた回転式仕切弁の例についてもそうでしたが、一般的にどの遮断タイプが適切か、またどのようなオプションが必要かを判断することはできません。適切なカップリングを選択するには、メーカの経験と専門知識が頼りです。R+Wの営業担当者は世界中におり、世界中どこにいても適切な製品選定をお手伝いできます。